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タカタ遅すぎた破綻の内幕、自動車メーカーの都合で“延命”

2017年07月03日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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KSSへの事業譲渡が実行され次第、経営責任を取って辞任すると表明した高田重久会長兼社長 Photo:AP/アフロ

 エアバッグの大量リコール問題で業績が悪化したタカタが6月26日、ついに経営破綻した。タカタは今後、中国・寧波均勝電子傘下の米キー・セイフティー・システムズ(KSS)の下で経営再建を目指す。

 ところで気になるのは、タカタの再建問題がなぜここまで長引き、そしてなぜこのタイミングで法的整理に至ったかだ。

 タカタが弁護士らで構成する外部専門家委員会を発足させ、再建計画の策定を委託したのは昨年2月。高田重久会長兼社長は26日の記者会見で、「昨年12月までの時間軸」で再建策をまとめる予定だったと明らかにしている。それが半年もずれ込んだ理由については「自動車メーカーの意向を一つのボイスとしてまとめるのは難しかった。考え方の相違もあり、想定よりはるかに調整が複雑だった」と説明する。

 確かに関係する車メーカーが国内外十数社に上り、スポンサーとなるKSSとの商取引には各社で濃淡があるため、調整が長引いたのは事実だ。だが、それ以上に車メーカー側には、タカタをあえて“死に体”のまま生き永らえさせたい思惑もあったようだ。関係者が証言する。

「米国で車メーカーはタカタと連名で訴訟を起こされていた。リコールも相次いだ。タカタがすぐにつぶれてしまえば、全ての責任を負わされる。訴訟やリコールに一定のめどが付くまで、タカタを存続させた方が車メーカーにとって得策だった」

 また車メーカーには、リコール費用の引当金を積む時間的猶予も必要だった。実際、各社は今年3月期決算までにほぼ全ての引当金を計上し、業績への影響を最小限に抑えている。さらにこの間、部品の供給元を他メーカーに切り替え、タカタがいつ倒産しても対応できる体制を整えたのだった。

私的整理を断念

 一方、タカタは「製品の安定供給継続に最も望ましい」(高田会長)として、関係者の合意に基づく私的整理を求めていた。

 だが多額のリコール費用を肩代わりする車メーカーが主張したのは、裁判所が債務の弁済率を客観的に決める法的整理だ。「(リコール債権を)銀行借り入れや社債と公平に取り扱ってもらわないと株主への説明がつかない」。それが車メーカーの本音だった。

 こうして調整が長引く間に、タカタの選択肢は徐々に減らされていく。

 来年2月には、米司法省と合意した和解金の支払期限が控えている。その手続きに必要な時間を勘案し「先延ばしできない状況」(外部専門家委員会委員長の須藤英章弁護士)まで追い込まれた。

 そして金融機関から返済期限の延長を断られ、万事休すとなった。もはや最期のタカタに“死に方”を選ぶ権利は残されていなかったのである。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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