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麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負第14回

沖仁、ジャコ・パストリアス、チャック・ベリー

麻倉推薦:驚異のギター演奏からAQUAPLUS最新盤まで

2017年07月02日 12時00分更新

文● 麻倉怜士 編集●HK(ASCII)

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 評論家・麻倉怜士先生による、今月もぜひ聴いておきたい“ハイレゾ音源”集。おすすめの曲には「特薦」「推薦」のマークもつけています。e-onkyo musicなどハイレゾ配信サイトをチェックして、ぜひ体験してみてください!!

『Clasico [クラシコ]』
沖 仁

 驚異のテクニシャン・ギタリスト、沖仁の約4年ぶりのスタジオ・セッション・アルバム。ゲストは葉加瀬太郎。オリジナル曲「Tierra [ティエラ] ~大地行進曲~」を核にジャズ・スタンダード「Someone to watch over me」、チック・コリアの「Spain」、映画音楽「禁じられた遊び」「ロミオとジュリエット」などカヴァー曲で固める。制作期間、4年を掛けた大作だ。

 1曲目「SPAIN」。冒頭は葉加瀬のやさしいバイオリンで始まり、ソロギターになると一転、スペインの濃密な空気感に包まれる。アランフェス協奏曲の第2楽章のメロディが登場し、オーボエの旋律がヴァイオリンで奏される。チェロも加わり、いつも聴いているオーケスト版ラとは違う、明瞭な楽器感の存在が新鮮だ。ギターもロドリーゴのスコアそのものではなく、いかにもスペイン風なフラメンコ的な和声感と切れ味で聴かせる。2曲目「マドリードの花市場」は、躍動的な踊りの音楽とメローなヴァイオリンの音色が嬉しい。

 「禁じられた遊び」「SOMEONE TO WATCH OVER ME」などのスタンダードカヴァーも意外なアーティキュレーションでとても素敵。

 録音はひじょうにクリヤー。音像はギターが最大で、二つのスピーカーを睥睨するように拡がる。

FLAC:96kHz/24bit
VICTOR STUDIO HD-Sound、e-onkyo music

『Truth, Liberty & Soul』
Jaco Pastorius

 偉大なるベース・プレーヤー、ジャコ・パストリアス (Jaco Pastorius、1951年12月1日 - 1987年9月21日) の「ワード・オブ・マウス・ビッグ・バンド」時代の発掘ハイレゾだ。逝去後30年にして発見された、貴重な放送音源である。1982年6月27日のニューヨークはジョージ・ウエインズ、クール・ジャズ・フェスティヴァルにおける、アヴェリー・フィッシャーホールでの1曲目のInvitationから14曲目のFannie Maeまでの当日のセットリスト、全14曲、130分以上の演奏の全てが収録されている。

オリジナル24チャンネルのアナログ音源を、カナダの2xHDレーベルが独自のハイレゾ処理方式、Fusion ProcessにてWAV 96kHz/24bit、WAV 192kHz/24bit、flac 96kHz/24bit、flac 192kHz/24bit、DSF 2.8MHz/1bit、DSF 5.6MHz/1bit、DSF 11.2MHz/1bitに変換している。2xHDは音質に徹底的にこだわるレーベル。本ファイルのように多数のデジタルオプションを提供するのは、ノルウエーの2Lか日本のウナマスレーベルぐらいのものだろう。

 まずflac 192kHz/24bitで聴く。ストレートな音の噴出感、躍動的なライブ感はこれほど古い録音だとは信じられないクオリティの高さ。。192kHz/24bitは音像から音が飛び出す感覚であり、DSD11.2MHzは、ひじょうにリッチな会場の空気感が特徴だ。それも七色に着色された感覚だ。演奏自体は、もちろん音像から直接に音が噴出しているのだが、同時にアンビエントがカラフルに色づけされていくことが、眼前のドキュメンタリーとして耳で確認できる。ソノリティが濃く、音色は暖色系。密度感が高い会場の空気感が愉しい。

WAV:96kHz/24bit、192kHz/24bit
FLAC:96kHz/24bit、192kHz/24bit
DSF:2.8MHz/1bit、5.6MHz/1bit、11.2MHz/1bit
2xHD、e-onkyo music

『Chuck』
チャック・ベリー

 2017年3月18日に逝去した、ロックンロールのオリジネーター、チャック・ベリーの最後の新盤。通算20枚目のスタジオ・アルバムだ。10曲うち8曲はベリーが作詞・作曲した新曲。残り2曲はスタンダード・ソング。彼の本拠地のセントルイスのスタジオで録音された。パーソネルは一家を中心に固めている。

 凄い。彼の古典的なロックンロールの歌唱や、粘っこく、ダックウォークなギターサウンドはそのままで、音がもの凄くクリヤーで、力強い。過去の録音をリマスターしたのではなく、完全な新作だから、最新の音がする。思わず踊り出したくなるような、挑発的なチャック節はまったく変わらず、音だけが最新になっている不思議さ。2曲目の先行シングル「ビッグ・ボーイズ」のリフはまるで「ジョーニー・B・グッド」。歌唱の雰囲気もそっくり。6曲目の、名曲「ジョニー・B.グッド」の続編「レディ・グッド」は、さらにそっくり度が高まる。懐かしくも、まるで新鮮。

FLAC:44.1kHz/24bit
Decca、e-onkyo music

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