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8000社の導入実績、顧客要件に合った豊富な提供形態をアピール、国内施策も強化へ

ヴイエムウェアが「vSAN」を中核としたHCI市場戦略を説明

2017年06月28日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ヴイエムウェアは6月27日、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)市場における同社の戦略と取り組みに関する記者説明会を開催した。SDS(Software-Defined Storage)製品である「VMware vSAN」の導入実績を強調するとともに、幅広いパートナーエコシステムを生かした柔軟なHCI/SDDC(Software-Defined Data Center)の提供形態をアピールした。日本法人における組織体制の強化も発表している。

米ヴイエムウェア ストレージ&アベイラビリティ担当SVP 兼 GMのヤンビン・リー氏

ヴイエムウェア日本法人 ソリューションビジネス本部 本部長の小林泰子氏

8000社を超えるvSAN導入実績、柔軟な提供形態と先進技術を強調

 説明会に出席した米ヴイエムウェア ストレージ&アベイラビリティ担当SVP 兼 GMのヤンビン・リー氏は、まず、ストレージ市場における顧客ニーズの変化に触れた。デジタルデータの増大に合わせてストレージ市場は今後も拡大していくが、その流れの中で顧客が選択するのは従来型ストレージではなく、HCI(サーバーSAN)やハイパースケール向けSDSになっていくことが予想されている。

2012~2026年のストレージ市場予測(出典:Wikibon、2016年)。HCIが急速に従来型ストレージを置き換えていく

 こうした顧客ニーズの急速な移り変わりは、HCIが従来のストレージ市場に存在した「ギャップ」をうまく埋めたからだと、リー氏は説明した。複雑で大きな初期投資を必要とする従来型のオンプレミスストレージと、コントロール性や柔軟性に欠けるクラウドストレージの中間的存在として、両者の課題を解消するHCIへの注目が集まっているというわけだ。

 「だからこそ、HCIはストレージ市場、インフラ市場で現在最も成長の著しいカテゴリーになっている。パブリッククラウドよりも成長が速い」(リー氏)

 また、ヴイエムウェア日本法人 ソリューションビジネス本部 本部長の小林泰子氏は、顧客はHCIに対して「ストレージコスト削減」「運用管理効率化」「サーバーとストレージのライフサイクル統一」「投資の平準化」といった点を強く期待しているという、同社顧客アンケートの結果を紹介した。

 こうした市場の中で、vSphere環境にHCI機能を提供するvSANは、すでに8000社を超える顧客に導入されているという。この顧客数は、HCI専業ベンダーとして認知度の高いニュータニックス(Nutanix)とシンプリビティ(SimpliVity、現在はHPE傘下)の2社を合わせたよりも多い数だと、リー氏は強調した。

 「8000社のvSAN顧客は、決して偶然に手に入れたわけではない」(リー氏)

2014年の提供開始から、vSANは急速に顧客数を増やしてきた

 vSANの強みはまず、パートナーエコシステムを通じた幅広い提供形態を持つことだ。「Dell EMC VxRAIL」のようなオールインワンの「HCIアプライアンス」形態だけでなく、認証済みサーバー「vSAN Ready Node」にSIベンダー独自のサービスをパッケージした「HCIソリューション」、顧客の個別要件に応じてvSAN Ready Nodeベースで構成する「カストマイズドvSAN」、そして「VMware NSX」や「SDDC Manager」も組み合わせた「SDDCアプライアンス」という4形態があると、小林氏は説明する。

 これにより、中堅中小企業からエンタープライズ、さらにクラウドサービスプロバイダーまで幅広い顧客層をカバーすることができる。小林氏は、実際にvCloud Air Network(vCAN)パートナーのクラウドプロバイダーにおいても「サービスインフラへのvSAN適用が始まっている」と語った。グローバルではすでに約300社のクラウドプロバイダーで、vSANがサービスインフラに採用されているという。

vSANは、パートナーを通じてさまざまな形態で提供される

 また、vSANテクノロジーそのものの強みもある。小林氏は、vSANはハイパーバイザカーネルに標準で組み込まれておりオーバーヘッドが小さいこと、仮想マシンごとにパフォーマンスやデータ保護のポリシーを設定できること、仮想マシンと管理を一体化/自動化できること、などのメリットを挙げた。

vSphere環境に統合されているvSANには多くの優位性がある

 加えてリー氏は、vSANにおけるイノベーションのスピードを強調した。vSANは3年間で6回のバージョンアップを重ねてきており、たとえば今春発表した最新版(Ver.6.6)でも、ソフトウェアベースのネイティブ暗号化(vSAN Encryption)、ストレッチクラスタの保護機能強化、インテルの「Optane NVMe SSD」サポートなどの機能強化がなされている。

 もうひとつ、将来的なITインフラ全体のSoftware-Defined化、SDDCへのアップグレードパスが用意されていることも強みだ。小林氏によれば、エンタープライズ顧客がSDDC化を目指す際に、ネットワーク(NSX)よりもまずはストレージ(vSAN)から着手するケースが多いという。さらに、AWSやIBM、vCANパートナーなどのパブリッククラウドを活用することで、ハイブリッドクラウド環境における一元的な管理手段を手に入れることもできる。

将来的なSoftware-Defined化/SDDC化にもつなげていくことができる

急速な進化でビジネスクリティカルなワークロードへの適用も進む

 リー氏は、vSANの適用領域はVDIやブランチオフィスの小規模なシステムに限定されるものではなく、実際の顧客調査でもビジネスクリティカルなアプリケーションの本番環境における採用が最も多いと述べ、導入事例を紹介した。

vSAN顧客への調査(2016年)では、ビジネスクリティカルなアプリケーションへの適用を挙げる顧客が最も多かった

 たとえばドイツのルフトハンザ航空では、大量のチケット予約トランザクションを処理するシステムにvSANを採用している。またデンマークの小売業、クープでは、在庫管理からカスタマーポータル、クレジットカード取引処理といった重要なシステムをvSANでカバーしていると説明した。

 「“Tier 1”ワークロードでのvSAN採用も多く、実際にOracle RACやSAPに適用されているケースもある。技術の視点で考えると、HCIはハイパフォーマンスストレージの『未来』だ。1ノードあたり15万IOPS、(クラスタ全体の最大で)900万IOPSを提供できる」(リー氏)

ユニークな導入事例としては、航空機内にある約30万個のセンサーデータを収集、リアルタイム分析するエアバスの「A380」機内システムにも採用されている

 また小林氏も、“HCI=VDI向け”のように取り上げるメディアも多いが、現実にはvSANは特定用途に制限されたストレージではなく「ふつうのストレージ」として採用されていると強調した。サーバー追加/更新を行うタイミングでストレージを検討する際に、最近はvSANがその俎上に載るケースが国内でも増えているという。ちなみに「vSAN導入顧客の3分の2が、オールフラッシュ構成でvSANを採用している」(小林氏)。

パートナー協業強化や組織体制変更、国内市場でもvSAN展開加速

 最後に、国内市場におけるHCI/vSANの拡販施策も紹介された。ヴイエムウェア日本法人では、今年2月の事業戦略説明会において2016年のvSAN成長率が500%となったことを明らかにしており、国内市場におけるさらなる成長を見込んでいる。

 vSAN拡販施策として小林氏は、「国内サーバーメーカーとの協業強化」「パートナー協業を通じた多様なニーズへの対応」「クラウドサービスプロバイダーへの展開」の3つを挙げた。たとえばすでに、富士通が提供するHCIアプライアンス「PRIMEFLEX HS」、日立システムズによる低コストHCIソリューション、またクラウドプロバイダー向けのHCIパッケージ提供などの取り組みがあり、今後もさらに強化していく。

 また、国内における急速な需要拡大への対応として、従来のSDDC担当部門からvSAN/HCI製品担当チームを独立させたほか、パートナー担当部門にも専任エンジニアチームを設けたこと、保守サポート要員の大幅拡充に合わせてvSAN専任サポートチームを発足している。

国内導入事例として、みずほトラストシステムズ、サイボウズ、アットホームのコメントも紹介された

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