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APIファーストでオープンなエッジNW基盤に機械学習ソリューションも追加、予測的NWへ

HPE Aruba、インテリジェントなエッジNW戦略をSVPが語る

2017年06月23日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本ヒューレット・パッカード HPE Aruba事業統括本部(HPE Aruba)は6月22日、6月初旬の「HPE Discover 2017」で発表された最新の事業戦略や新製品に関する説明会を開催した。なお同日、ネットワークエンジニア向けコミュニティ「AirHeads」の日本版をスタートしたことも発表している。

説明会に出席した米HPE Aruba グローバルセールス担当SVPのアラン・カーペンター(Alain Carpentier)氏

機械学習ベースのソリューション追加など、プラットフォームを強化

 無線LANアクセスやBLEビーコンによるロケーションサービスをはじめとするエッジネットワークソリューションを展開するHPE Arubaが、昨年から提唱しているのが「モバイルファースト・プラットフォーム」だ。先日のHPE Discoverでは、ここに新たなキャンパスコアスイッチ「Aruba 8400」と、「Arubaアセットトラッキング(追跡)ソリューション」の追加が発表されている。

HPE Arubaの「モバイルファースト・プラットフォーム」

 Aruba 8400では、キャリアクラスの高い可用性、パフォーマンスを実現するハードウェア実装に加えて、運用管理にインテリジェンスをもたらす新OS「ArubaOS-CX」を搭載している。ArubaOS-CXは、Aruba独自のアナリティクスエンジンを提供し、ネットワーク/システム/アプリケーション/セキュリティに関連するアクティビティの自動的な可視化とインサイトを提供する。また、PythonインタプリタとREST APIを介したプログラマビリティを提供することで、複雑なネットワークタスクの自動化と簡素化、ネットワーク管理の大幅な効率化を実現する。

 Arubaアセットトラッキングソリューションは、Arubaの無線LAN環境で検出できる小型Arubaタグ(BLEビーコン)を利用した室内位置情報アプリケーションを開発できるソリューション。タグを取り付けたアセットの室内位置情報をリアルタイムに取得でき、たとえば医療機関における高価な医療機器の管理、小売店舗における顧客動線や機材配置のトラッキングなどに活用できる。

Discoveryで発表された「Aruba 8400」コアスイッチと「Arubaアセットトラッキングソリューション」

 さらにカーペンター氏は、買収によって、モバイルファースト・プラットフォームに2つの新たな能力が追加されたことを説明した。ネットワークパフォーマンス分析の「RASA」と、モバイル/IoTデバイスを起点とする内部脅威に対応するセキュリティの「Niara」で、いずれも機械学習技術をベースに、リアルタイムな情報の可視化だけでなく、将来予測も可能にする。

機械学習ベースで将来予測も可能な2ソリューションを追加した

“APIファースト”でオープンなプラットフォームがキーワード

 カーペンター氏は、モバイルファースト・プラットフォームではAPIを通じてネットワークのコントロール/オーケストレーションをオープンにしていく「APIファースト」のスタンスであることを強調した。ここが競合との差別化ポイントのひとつだという。

 「ネットワークの世界はもはや“静的”ではない。かつては(ネットワーク機器を)CLIからコントロールしていたが、現在のニーズや脅威に対応するには静的すぎる。そこでモバイルファースト・プラットフォームでは、APIを通じた動的なオーケストレーションを可能にする。このプラットフォーム上で、パートナーや顧客自身がさまざまなソリューションを構築できる」(カーペンター氏)

 またカーペンター氏は、同プラットフォームを通じた人/場所/モノにまつわる情報の統合と、そこから得られるインサイトを通じて、Arubaでは「ワークプレイス体験」「オペレーション体験」「ブランド体験」そして「IT体験」の変革を実現していくと説明した。

ワークプレイス変革だけでなく、IoT融合による工場などでのオペレーション変革、小売店舗やホテルなどでのブランド変革、そして自動化と将来予測によるIT変革を実現していく

 そうした変革を実現した事例として、米保険会社トラベラーズにおけるワークプレイス変革、米小売大手ホームデポにおける顧客エンゲージメント変革、米ユナイテッド航空における空港オペレーション変革がそれぞれ紹介された。2200の実店舗を持つホームデポでは、アマゾンへの対抗策として「店舗をデジタルストア化する」戦略を立て、買い物客に安定したゲストWi-Fi環境を提供するだけでなく、エンゲージメント向上のための各種分析を実施しているという。

Arubaソリューションの導入事例。無線LANインフラを顧客エンゲージメントやオペレーションの改善に活用している

Airheadsコミュニティ日本版スタート、アカデミーやスクールも開講

 説明会では、Arubaがグローバルに展開するネットワークエンジニア向けコミュニティの日本版「Airheads Japan(AHJ)」の本格的展開開始もアナウンスされた。AHJでは、Arubaユーザーに限らず幅広くネットワークエンジニアの参加を促し、「ネットワークエンジニアの日常業務を革新する」(HPE Aruba パートナー技術部 部長の天野重敏氏)のが狙いだという。

 具体的には、オンラインコミュニティで日本語フォーラムを開設するほか、「AHJアカデミー(セミナー)」や「AHJスクール(トレーニング)」、技術ドキュメント、研修会イベントなどを提供していく。特にパートナーのエンジニアに対しては、顧客への「提案」「設計/構築」「問題解決」に役立つ具体的な情報と技術習得機会を提供すると、天野氏は説明した。

「Airheads Japan」で提供する内容

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