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20cmの超大型フロントファンと14cmリアファンで通気性強化

最高クラス性能の小型PCは水冷が効いて音も静かでスゴイ

2017年06月22日 09時00分更新

文● 宮里圭介 編集●八尋/ASCII

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「G-Master Hydro Z270-ITX」

 Mini-ITXマザーを採用するコンパクトなタワー型パソコン「G-Master Hydro Z270-ITX」。CPUだけでなくグラボにも水冷クーラーを採用し、サイズだけでなく静音性にもこだわった1台だ。大型のタワーケースと比べるとケース内のスペースに余裕がなく、熱がこもりやすくなってしまうが、そこは20cmという超大型のフロントファン、14cmのリアファンを使うことで通気性を強化し、熱がこもらないよう工夫されている。

CPUのラジエーターはフロント、グラボのラジエーターは天板に装備。スペースの少ない小型ケースでも、意外とケース内には余裕がある

 せっかくの水冷クーラー採用なのに、ラジエーター用に2つ、フロント、リアと合わせ合計4つもファンを搭載してしまうと、かなりの騒音になるのではと考えてしまうが、どのファンも回転数が低いこともあり、実際は静か。さすがに耳を近づければファンの回転音は聞こえるものの、30cmも離れればほとんど気にならない程度だ。

 試しに高負荷時の音がどうなるのかと「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」を動かしてみたが、耳を近づけても騒音が増えたかどうか気づけないレベルでしか変化しなかった。また、CPUに負荷をかけてみようと「CINEBENCH R15」を連続して実行してみたが、こちらも同じく騒音の変化がわからないまま。水冷クーラーを使うことで熱源を移動でき、フロントとリアのファンで効率よく排熱できている証拠といえるだろう。

ノーマルのMini-ITXケースではグラボの熱がこもりやすいが、熱を水冷クーラーで上部へと移動することで、熱をこもらせる事なく排出できるよう工夫されている

小型でもハイスペック構成なだけに性能はトップクラス

 性能にサイズはほとんど関係ないとはいえ、小型パソコンだとどうしても性能が低く感じてしまう。そこで、どのくらいの性能があるのかをベンチでチェックしてみよう。G-Master Hydro Z270-ITXの主なスペックは、Core i7-7700K(4.2GHz)、GeForce GTX 1080 Ti、16GBメモリー、480GB SSDなど。

 まずはCPU性能からということで、定番の「CINEBENCH R15」を動かしたところ、スコアーはマルチスレッドの“CPU”が959cb、シングルスレッドとなる“CPU(Single Core)”が187cbという結果になった。この数値は一般的なCore i7-7700K搭載機とほぼ同じで、小型ケースに水冷クーラーを搭載していることがボトルネックとなっていない。熱ダレなどの問題はなく、しっかりと冷却されていることがわかる。

CPUの性能を見るのに便利な「CINEBENCH R15」スコアもしっかりと出ており、静かな水冷クーラーで十分冷却されているのがわかる

 続いて3D性能として「3DMark」を見てみよう。Fire Strikeのスコアーは21000ピッタリで、まるで数値を書き換えたかのような結果となっているが、まごうことなき実値だ。ゲーミングパソコンで比較されるRyzenよりもシングルスレッドに強い傾向にあるためか、スコアの伸びがいい。Ryzen 7 1700とGeForce GTX 1080 Tiの組み合わせでは18000に届かなかっただけに、ゲーミング性能にこだわりたいというのであれば、Core i7-7700Kを選ぶのはありだろう。Time Spyのスコアも8580と高く、グラボの実力がしっかりと発揮されている。

「3DMark」(Fire Strike)のスコアーは堂々の20000超え。ここまで高いスコアが出せると、ほぼすべてのゲームが軽快に動作する

Direct X12のテストとなるTime Spyでもスコアは8580の好成績。ハイスペック構成だというのが実感できる瞬間だ

 続いてゲームベンチの代表として「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」でチェックしてみよう。解像度はフルHDとし、最高品質、フルスクリーンモードでのスコアーは18489で、「非常に快適」という結果になった。水冷クーラーのおかげかベンチ中も騒音が大きくなった気配はほとんどなく、スコアだけでなく、動作音まで“非常に快適”といえるパソコンに仕上がっている。

7000を超えれば「非常に快適」となるが、この2倍以上となる18489。多くのキャラクターが画面内に表示されるシーンでも、重たくなることなく遊べるだろう

気になるCPUとGPUの速度と温度を調べてみる

 各種ベンチマークや動画再生など、しばらくG-Master Hydro Z270-ITXを使ってみた限りでは速度の低下や騒音が大きくなるといったことはなかったので、実際どのくらいの温度でCPUやGPUが動いているのか気になるところ。そこで、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」実行中の動作クロックと温度を「HWiNFO」を使ってログをとり、グラフにしてチェックしていこう。まずはCPUから。

 CPUほどではないにしろ動作クロックは比較的安定しており、前半は1870~1890MHzと狭い範囲で変動。ベンチの終盤シーンは負荷が高くなるため若干落ちるが、それでも1800MHz前後と高い動作クロックを維持できていた。

 気になる温度はCPUよりもさらに右肩上の傾向があるとはいえ、前半は60度以下、負荷の高い終盤でも66度までしか上昇しておらず、安定して冷却できているというのが確認できる結果となった。

 続いてGPUを見てみよう。CPUほどではないにしろ動作クロックは比較的安定しており、前半は1870~1890MHzと狭い範囲で変動。ベンチの終盤シーンは負荷が高くなるため若干落ちるが、それでも1800MHz前後と高い動作クロックを維持できていた。気になる温度はCPUよりもさらに右肩上の傾向があるとはいえ、前半は60度以下、負荷の高い終盤でも66度までしか上昇しておらず、安定して冷却できているというのが確認できる結果となった。

 小さな本体なのに水冷、しかもCPUとグラボの両方というと本当に冷却できるのか若干不安があったが、実際にG-Master Hydro Z270-ITXの性能や温度をチェックしてみて、この不安が杞憂だというのが確認できた。最高クラスのゲーミング性能を小型パソコンで手に入れたいというのであれば、要チェックの1台といえるだろう。

試用機の主なスペック
機種名 G-Master Hydro Z270-ITX
CPU Core i7-7700K(4.2GHz)
GPU GeForce GTX 1080 Ti
チップセット Z270チップセット
メモリー 16GB
ストレージ 480GB SSD
フォームファクター Mini-ITX
光学ドライブ
通信規格 有線LAN(1000BASE-T)、無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)、Bluetooth
サイズ およそ幅230×奥行395×高さ375mm
OS オプション(試用機はWindows 10 Homeを採用)

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