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FIWARE FoundationのNECが業界動向や設計思想を説明

欧州発のIoTプラットフォーム「FIWARE」が目指すオープンなデータ交換

2017年06月21日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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6月20日、NECはEUのスマートシティで導入が進むOSSベースのIoTプラットフォーム「FIWARE(ファイウェア)」についての説明を行なった。FIWAREの開発や普及を推進するFIWARE FoundationのメンバーでもあるNEC 執行役員の望月康則氏は、FIWAREの業界動向や設計思想などを説明した。

OpenStackをベースにしたデータ交換のためのプラットフォーム

 Future Internetを冠するFIWAREは、EUの官民連携プログラムで開発・実証されたOSSのIoTプラットフォームになる。データの利活用が進む欧州で「Open APIs for Open Minds」を標榜したデータ交換を目指しており、これまで基盤ソフトウェアの研究開発で6400万ユーロ(約6.4億円)、8つのユースケースの実証で3億ユーロ(約300億円)のファウンディングを受けてきたという。

NEC 執行役員の望月康則氏

 FIWAREの最大の特徴はNGSI(Next Generation Service Interface)と呼ばれるデータ交換のためのコンテキストを標準化している点。生データに属性情報を付与することで、アプリケーションからはコンテキストとして利用できる。FIWAREでは、これらのコンテキストを利用するためのOpenAPIを定義しており、グローバルで360以上あると言われるさまざまなIoTプラットフォーム間で利用することが可能だという。

 アーキテクチャとしてはOpenStackをベースにした7つのカテゴリ、37個のモジュールで構成されており、新規開発だけではなく、デファクトOSSの再利用も行なわれている。リアルタイムプロセッシングやデータキューイング、BI/ETL、ビッグデータ、IoTなど複数の「Generic Enabler」や特殊用途向けの「Specific Enabler」などのミドルウェアのビルディングブロックとなっている。

スマートシティの基盤構築に採用 今後は農業や工業分野へ

 FIWAREは、昨年開発・運用主体がEUの官民連携プログラムから欧州のIT・通信事業者によって構成されたFIWARE Foundationという民間の非営利団体に移っており、モジュール開発を引き継ぎ、品質管理の仕組みも立ち上げている。また、FIWARE FoundationではFIWARE普及促進のためのさまざまな施策を実施しており、FIWAREのクラウド環境を提供するFIWARE Lab、スタートアップ向けのFIWARE Accelerate、FIWAREの世界での普及を目指すFIWARE Mundus、コミュニティを立ち上げるためのFIWARE iHubsなどを展開している。

 現在、FIWAREはスマートシティ向けのプラットフォームのデファクトスタンダードとして欧州を中心に利用されており、今後はスマートアグリカルチャー、スマートインダストリーなどの分野にも利用範囲を拡大していくという。また、22カ国109都市が参加するOASC(Open&Agile Smart Cities) Initiativeのようなスマートシティ推進団体や通信キャリア、データエコノミーなどの各種団体と連携しており、最近では米国政府やNISTなどとも連携を始めているという。

 日本ではまだまだ知名度は低いが、自民党のIT戦略特命委員会で取り上げられたり、官民データ連携プラットフォームの構築でFIWARE/NGSIの活用が謳われている。NECは2017年3月にFIWARE Foundationにプラチナメンバーとして参画。また、7月21・22日に開催されるOpenStack DayでもFIWARE FoundationのCEOが来日して講演を行なうという。

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