Ryzenのダイを半分にする代わりに
VegaベースのGPUを搭載するRaven Ridge
Ryzen Threadripperに続き、第4四半期頃に予定されているのがRaven Ridgeである。COMPUTEXではRyzen Mobileとして紹介されたが、デスクトップ向けにSocket AM4のパッケージもほぼ同時期に提供されるとしている。
こちらのコアは、CPUコアは4つで、つまりもともとのRyzenのダイの半分(Core Complexが1つ)になるが、その代わりVegaのGPUコアが統合される形になる。要するにKaveri/Godavari/Bristol Ridgeの後継となるAPUである。
これに関しては登場時期も明らかではないし、まだOEMメーカーに対してAMDも具体的なSKUを提示していないようで、具体的なモデルナンバーと動作周波数は伝わってこない。ただRaven Ridgeの世代では今のところCPUは4コアのモデルのみで、あとはGPUの側が何種類あるか、という程度の違いでしかないらしい。
何種類、というのはシェーダーをどれだけ搭載するかという話である。下の画像はTDPが15Wというモバイル向けに向けたSKU用のサンプルだそうだが、デスクトップ向けならTDPが65Wあたりが普通で、場合によっては95Wでも許容される。
そうなると動作周波数を引き上げるのみならず、シェーダーの数を増やすことも容易だからだ。ただコストを考えると、あまり大きなダイサイズにするのも厳しいわけで、むしろこちらでシェーダーの数が決まりそうである。
ちなみにモデルナンバーであるが、連載397回でも解説した通り、グラフィックス統合製品は末尾にGが付くので、例えば「Ryzen 5 1450G」という感じになるはずだ。実際にはRyzen 7グレードのRaven Ridgeは今のところ考えていないようで、まずはRyzen 5およびRyzen 3に向けてラインナップが展開されることになると思われる。
ちなみに2018年以降に関してもいろいろ話が聞こえてくるが、これはGlobalfoundriesのプロセスの動向とも絡んでくる。なのでこちらは回を改めてまた解説したい。
この連載の記事
-
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ -
第764回
PC
B100は1ダイあたりの性能がH100を下回るがAI性能はH100の5倍 NVIDIA GPUロードマップ -
第763回
PC
FDD/HDDをつなぐため急速に普及したSASI 消え去ったI/F史 -
第762回
PC
測定器やFDDなどどんな機器も接続できたGPIB 消え去ったI/F史 -
第761回
PC
Intel 14Aの量産は2年遅れの2028年? 半導体生産2位を目指すインテル インテル CPUロードマップ -
第760回
PC
14nmを再構築したIntel 12が2027年に登場すればおもしろいことになりそう インテル CPUロードマップ -
第759回
PC
プリンター接続で業界標準になったセントロニクスI/F 消え去ったI/F史 -
第758回
PC
モデムをつなぐのに必要だったRS-232-CというシリアルI/F 消え去ったI/F史 -
第757回
PC
「RISC-VはArmに劣る」と主張し猛烈な批判にあうArm RISC-Vプロセッサー遍歴 - この連載の一覧へ