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三井造船が社内変革、業界再編・中韓への対抗につながるか

2017年06月15日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積み出し設備)は、三井造船にとって成長が期待できる事業分野の一つだ 写真提供:三井海洋開発

「社員の意識改革を強烈な勢いで進めたい」。田中孝雄・三井造船社長が不退転の決意で社内変革に臨んでいる。

 5月22日、三井造船は来年4月に予定される持ち株会社体制への移行に向けて分割準備会社を設立した。75年間冠した三井造船という社名から「造船」の2文字を取って「三井E&Sホールディングス」に変更する方針も発表し、変革への意気込みを示した。

 三井造船の連結売上高に占める船舶事業の構成比は17%にすぎない。ディーゼルエンジンの製造や、プラントの設計、建設など、事業分野は多岐にわたっている。

 分社化については、「それぞれの事業に最も合った経営スタイルで意思決定を機動的に行うべく、経営陣の間ではかなり前から検討していた」(田中社長)という。

 実際に、各事業の独立採算制が徹底されていない現体制では、「自分が属する事業部門が赤字でも、どこかの事業部門が稼いでくれるという甘えがあった」と、三井造船社員は打ち明ける。これを機に、各事業が責任を持って収益を確保する組織体を目指す。

 例えば営業赤字が続く船舶事業では、適正価格での案件受注を徹底する他、造船の工程を部分的に工賃の安い海外企業に外注するなど、臨機応変に動くことで収益体質の確立を急ぐ。

統合アレルギーはない

 この変革の当座の目的は、事業単位でのコストダウンや業務効率化にあるが、「新体制発足は、将来的な競合他社との協業やM&Aへの布石なのでは」(複数の業界関係者)との声も聞かれる。

 三井造船には2013年に一度、川崎重工業との統合話が持ち上がりながら破談に至った過去がある。両社にしこりが残り、統合協議の再開など考えられない時期もあったが、実は田中社長にアレルギーはないようだ。船舶事業など、「補完的にやっていけることがあるならば、選択肢を狭めるつもりはない」と柔軟な考えを示す。

 折しも川崎重工は今年3月、船舶海洋事業の構造改革を発表したばかり。しかし、競合他社との提携など抜本策に欠けたプランであったことを考えれば、両社が再び合流することもあり得る。

 近年、日本の造船業界では再編が加速している。13年にはJFEホールディングスやIHIなどによってジャパン マリンユナイテッド(JMU)が誕生。足元では、三菱重工業が今治造船などの専業メーカーと提携に向けて動いている。

 業界きっての再編論者である三島愼次郎・JMU社長が、「5000億円の売り上げ規模が欲しい」と常々明言していることから、三井造船とJMUとの事業統合などの可能性もささやかれる。

 安値攻勢をかける中国、韓国勢の台頭がすさまじい造船業界。三井造船の変革の本気度が問われている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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