ギター、マンドリン、コントラバスのトリオ。典雅で優雅なアコースティックサウンドだ。サイデラ・スタジオでのDSD録音。ゆったりとビーチのリゾートカフェで、アフターヌーン・ティをいただきながら、波の行く去るを眺めるという場面にぴったりの、癒しの音楽。「古城のワルツ」はマンドリンの少しコケティッシュな、快活で、憂いを含んだ音色にて、ベースの弓弾きのサステインとよく似合う。
WAV:96kHz/24bit、FLAC:96kHz/24bit、DSF:5.6MHz/1bit
Saidera Mastering & Live Recording、e-onkyo music
伝説のバンド、core of soulのヴォーカリストLOVEが、バンド解散後、ソロ・デビューし、今年で10年になる。1曲目、Drive。まさにタイトルとおりの、駆動力とドライブ感が横溢する、良質なポップだ。ハッピーな雰囲気が、躍動感のある前向きなメジャー調で描かれる。ヴォーカルはほわっというやや曖昧な音像感で、センターに定位。バック楽器の音場もセンターに蝟集している。7曲目「はたちのころ」は、センター定位は変わらないが、時折、バスドラが位相シフトにより、聴取位置まで出てくるのが面白い。レンジ感は中域に集中しているが、もう少しヌケのクリヤーさも欲しい。
WAV:48kHz/24bit、FLAC:48kHz/24bit
Air Play、e-onkyo music
『God's Problem Child』
Willie Nelson
84歳になったウィリー・ネルソンの最新アルバム。「God'sProblem Child」の邦題は「なんてこったい!」だ。1曲目。Little House on the Hill。カントリーの大御所の声質はまろやかで深く、聴く者に安寧感を与えてくれる。ビロード的な豊潤な質感には、まったく変りはなく、ディープでグロッシーな声がとても嬉しい。録音も細部をきりきりとくっきりと表現するような特性指向でなく、ウイリー・ネルソンのジェントルで、ヒューマンな朗々たる歌唱をインティミットに、麗しく、そして豊かな容量感にて録ることを、方針にしたようだ。寛容と癒しがコンセプトだ。
FLAC:96kHz/24bit
Legacy Recordings、e-onkyo music
アメリカのブルース・アーティスト、タジ・マハールとケブ・モのコラボ・アルバム。心地良いビートと、輪郭が明瞭で説得性に富む大人のロックヴォーカルが、気持ち良い。
1曲目、Don't Leave Me Hereではヴォーカル音像はセンターにしっかりと位置し、バックの楽団が2つのスピーカーの間に広い範囲で分散。ブラスが左、リードギターとドラムスがセンター、リズムが右に定位。2曲目、She Knows How To Rock Meも快活なリズムに乗って、南部的なハッピーな叙唱だ。カントリーとブルースが合体したような、前のめりな進行と、ちょっとビターなヴォーカルがいい味を醸し出している。
FLAC:44.1kHz/24bit
Concord、e-onkyo music
この連載の記事
-
第89回
AV
最終回、皆さんありがとう!「麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負」ラストを飾るのはこの10作品!! -
第88回
AV
テクノロジーの奇跡感じた音源分離技術、The Beatlesの新アルバムなど〜麻倉怜士推薦音源 -
第87回
AV
静謐だ。ピアノならではの美しさ、オラフソン『J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲』ほか~麻倉怜士推薦音源 -
第86回
AV
ラフマニノフ生誕150周年、山中千尋、麗しいハイドンほか~麻倉怜士推薦音源 -
第85回
AV
ラフマニノフは艶やかで厚い質感、宮﨑駿監督作品を久石譲が自演~麻倉怜士推薦音源 -
第84回
AV
全員男性の“組員”で構成したアンサンブル、石田組ほか~麻倉怜士推薦音源 -
第83回
AV
いま世界で最も注目を浴びる27歳の指揮者、クラウス・マケラの『春の祭典』ほか~麻倉怜士推薦音源 -
第82回
AV
100万ドルのヴァイオリニスト? フランスの新鋭ルカ・ファウリーシのデビューアルバムほか~麻倉怜士推薦音源 -
第81回
AV
マニアックな選曲で話題を集めた2023年のニューイヤー・コンサートほか~麻倉怜士推薦音源 -
第80回
AV
DSDの名録音を集めたベスト盤など注目録音~麻倉怜士推薦盤 -
第79回
AV
ユーミン万歳! 松任谷由美の50周年記念アルバムほか~麻倉怜士推薦盤 - この連載の一覧へ