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HISが海外旅行シェアで首位に、JTBの牙城ハワイをも制した執念

2017年06月02日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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JTBの本格的なパンフレットに対して、HISはプリンターで印刷しただけの簡易版でコストを下げる

 旅行業界のシェア争いに異変が起こった。業界のガリバーといえばJTB。総取扱高では、KNT-CTホールディングス、日本旅行、エイチ・アイ・エス(HIS)などの同業の約3倍を誇り、国内旅行でも海外旅行でも圧倒的な存在感を示してきた。ところが、2月の海外旅行取扱高でHISがJTBを抜いてトップになったのだ。

 JTBが強い欧州旅行がテロの影響で不振だったことや、2月はJTBが得意とする企業の団体旅行(成績優秀なセールスパーソンや代理店を表彰するインセンティブツアーや展示会への視察旅行など)が少ない月だったという事情はある。HISは個人客向けに攻勢をかけ、5年ぶりに海外旅行で月間トップの座を奪った。

ハワイもHISが僅差でトップ

 それ以上に、業界に衝撃を与えたのは、日本人の海外旅行先として人気が高い米ハワイへのパッケージ旅行の2016年(11月まで)の累計取扱高で、HISが僅差ながらJTBを抜いてトップになったことだ。

 HISの低価格志向とナンバーワンへの執念のたまものだ。日本航空などに比べて割安な韓国・大韓航空などを使ってツアーを積極的に作り、「エイチ・アイ・エスの利用者なら、アラモアナショッピングセンターなどの観光地を回るバスに無料で乗れる」と店頭では割安感を訴えた。バスサービスで先行したのはJTBだったにもかかわらずである。

 しかも、追い風はHISの方に吹いている。今年3月に、格安旅行会社のてるみくらぶが破綻したが、同社のハワイ旅行の取扱高は業界3番手で、大手旅行会社の代表格である日本旅行を超えていたともいわれる。ある業界関係者は、「てるみくらぶが得意としていたのも、大韓航空を使ったパッケージ旅行。HISの得意分野で、座席の買い取りで攻勢を強めている」と話す。買い取りは旅行会社にはリスクとなるが、「座席がないからツアーが作れない」という機会損失は避けられる。

 さらには航空機の座席供給の拡大もHISには追い風だ。10年に日本線を就航したハワイ航空は羽田、成田にとどまらず、関西や新千歳の各空港への路線も拡大している。ANAは500席以上の座席数を持つ航空機「A380」を19年に飛ばすことを表明している。

 HISは、団体旅行の余った座席を買い取る格安航空券ビジネスで成長を遂げてきただけに、ノウハウの蓄積がある。

 JTBは、収益性が高い団体旅行と富裕層の個人旅行を重視し、静観しているともいわれる。ただ、ハワイは「LOOK JTB」ブランドの顔であるだけに、反撃に出るのは時間の問題といえそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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