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三菱UFJがITシステムをクラウド化、アマゾンに移管の衝撃

2017年05月17日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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金融業界のITシステムの基準策定を行う財団法人金融情報システムセンターでもクラウド活用についての基準を設定。"最も堅い"業界でも急速にクラウド化が進む(写真はイメージ) Photo:PIXTA

 今年は大手ITベンダーにとって「終わりの始まりの年」と記憶されるかもしれない。そんな“地殻変動”が静かに進んでいる。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、ITシステムにクラウド(インターネットでつながったコンピューター上で運用するシステム)の採用を決め、金融・IT業界の注目を集めているのだ。

 銀行のITシステムといえば、かつては自社保有のメーンフレーム(大型汎用)・コンピューター上で運用する最も“重い”システムの代表格だった。勘定系と呼ばれる基幹系システムの統合や更新には数年を要し、銀行の経営を左右する。加えて、市場や業務に関わるシステムも業務の多様化やフィンテックの普及で急増し、MUFGの場合、その数はグループ全体でなんと1000を超える。

 そんな超重量級のITシステムを持つ銀行が、ITシステムをそもそも保有しないという、正反対のクラウドの採用に動いたのは、その維持費用が膨れ上がっているからだ。例えばMUFG傘下の三菱東京UFJ銀行(BTMU)では、保守費用も含めたIT投資費用は年間1000億円にも上る。

 こうした中、MUFGでは、いかに費用を抑え、最新技術も取り入れた上で短期間でのシステム開発を行うかという課題に対応するため、クラウドを選択。現在はクラウド最大手の米アマゾンウェブサービスと組み、業務システムの一部から移行を進めている。

 今後5年間で100億円のコスト削減が可能といい、将来的には1000を超えるシステムの約半分をクラウド化していく計画だ。また、「クラウドへのシステム移行は聖域を設けず全面的に行う。現在は技術的な問題で移行は難しいが、それが解決されるツールが将来的に出てくれば勘定系システムを移行する可能性は十分ある」(BTMU幹部)としているのだ。

 BTMUには他行から問い合わせが引きも切らないといい、クラウドへの移行効果が表れれば、この流れは一気に銀行業界全体に広がる可能性が大きい。

日系ITベンダーには打撃

 この流れを戦々恐々と見ているのが、ITシステムの販売で食ってきた旧来の大手ITベンダーだ。金融系のITサービスは年間で国内約3兆円の市場で、NTTデータ、富士通など上位4社で約10%ずつシェアを持つ。これが貴重な飯の種になってきた。

 一方、アマゾンのクラウドサービスに対抗できる日本のITベンダーは存在しない。NECなどは逆にアマゾンのクラウドを顧客企業に導入する業務を行う「協力企業」にくら替えしたほどだ。

 最も“堅い”とみられていた銀行という得意先の変節は、顧客のIT資産のお守りが食いぶちである国内ITベンダーの収益基盤に大きな風穴を開けたといっても過言ではない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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