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従業員の要望とセキュリティーを両立させることが重要

「日本企業のセキュリティーポリシーは時代に即していない」 デル報告書より

2017年05月15日 20時10分更新

文● 天野透/ASCII

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 デルは5月15日、日本とアジア太平洋地域の企業における「従業員の働き方変革(ワークフォーストランスフォーメーション)」に有効なテクノロジーの導入における、主な課題、推進要因、トレンドについての調査結果を発表した。

 フォレスターコンサルティング社がデルの委託を受けて実施した独自調査で、アジア太平洋地域の企業に在籍するIT・業務部門の意思決定者327名を対象に、企業の優先事項、課題、各種業界で採用されている方法を調べたもの。調査には日本の回答者61名が含まれる。

顧客と従業員のエクスペリエンス向上がカギ

 成熟市場にある日本企業は、顧客向けに絶えず価値を創造し、優れた独自のエクスペリエンスを提供することが競争力の維持に必要であることを理解していると調査では分析。回答者の72%は、今後12カ月間の優先事項として顧客体験の向上に重点を置くと回答。従業員体験を重視する回答は41%あった。

 BYOD(個人保有の機器)ポリシーの導入、または採用する機器の増加、エンタープライズ・モビリティーソリューションの拡張または改善は、31%の回答者が関心を寄せている。また、デバイスの選択肢をより多く用意することが組織のコミュニケーション向上につながり、最新技術の使用と従業員のデバイス選択に関する自由度の向上は、人材をひきつけ、維持する上で役に立つと、調査対象者の36%が回答した。

複雑化するIT環境が導くセキュリティリスクの増大

 デバイス、プラットフォーム、OSの数の増加に伴い、日本企業は時代に則さないセキュリティーポリシーと情報侵害という課題に直面していると報告書は指摘。日本は地域最先端のテクノロジー戦略を採用しており、日本企業が従業員のデバイスから直接攻撃を受けることは多くはないとしながらも、従業員のデバイスからの異種プラットフォーム間および異種OS間の通信が増加したことで、セキュリティーの懸念は大幅に増大したとする。回答者の62%は、PCとモバイルデバイスの混在がセキュリティーの脆弱性拡大につながると考えている。

 日本の回答者の33%は、過去12か月間に組織で発生したセキュリティー侵害の原因で、最も多かったのは社内インシデントと回答した。また、回答者の80%は、デバイスセキュリティーの最大の懸念はBYODポリシーに起因する潜在的な法的責任であると回答。77%はデーターセキュリティーが不十分であることを懸念し、69%はデバイス間通信における既存の保護機能が適切なセキュリティーを提供できていないことを懸念しているとする。

 日本の回答者の72%は、堅固なデバイスセキュリティーを確立するためにデバイス間通信の暗号化が欠かせないと考えているという。また、66%は新しいPCハードウェアは古いものより大幅に安全であると回答。デバイスを脆弱にする重要な課題として、43%はユーザー認証を挙げている。

 調査ではコストとサポートに関する問題を指摘する結果も報告された。IT部門の回答者の66%は、コストの上昇がPCライフサイクル管理における重要な課題であり、46%は予算的な重圧の増大が重要な課題であると考えている。

 日本企業は、PCライフサイクル管理に関するテクノロジープロバイダーとの連携と、それらが提供するデバイスに関心を寄せているとし、いくつかの重要な属性として、回答者の40%はITおよび業務部門の責任者と効果的に連携できる能力を最上位に挙げている。また、36%は業界固有の深いエクスペリエンスを構築する能力を求め、35%は横断的なサポートを求めている。

画一的なスタイルの押しつけはビジネスを鈍化させる

 これらの結果を受けて報告書では、効果的な「従業員の働き方変革」を実現するために、日本企業に向けて3つの要点を挙げている。

 1点目は画一的なアプローチを排し、オペレーションチームとマーケターや他の業務部門の責任者とがテクノロジー戦略で連携すること。2点目は常に従業員への影響を最小限に抑えるよう考慮し、優れたセキュリティーを提供すること。3点目はデバイスだけでなく、堅牢なネットワーク認証とアクセスシステムを用意し、エンドポイントとアプリケーションの間のデーターフローの監視までを戦略に含めること。

 調査を受けて、デルでは従業員のワークスタイルを見直し類型化する重要性を指摘。「働き方改革を支援するデルの7つのメソッド」というサイトを開設し、必要なテクノロジーとデバイスを見直すことで、従業員の満足度や生産性の向上を実現するとしている。

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