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ASCII STARTUP 今週のイチオシ!第56回

“なくてはならぬ”サービスで駐車場不足という社会問題解決へ

シェアをバズワードで終わらせない 駐車場活用でビジネスを拡大させるakippa

2017年05月19日 07時00分更新

文● 山下竜大 聞き手・編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●曽根田元

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“なくてはならぬ”がakippaの始まり

 そもそもakippaは、2009年2月に大阪に設立された「合同会社ギャラクシーエージェンシー」を母体としている。同社は、2011年9月に東京オフィスを開設し、2014年4月に駐車場シェアリングサービスであるakippaの提供を開始。2015年1月に名古屋オフィスを開設し、2015年2月には、社名を現在の「akippa株式会社」に変更している。

 金谷氏は、「akippaを立ち上げる前は、関西で法人向けに携帯電話を販売する事業や求人広告を販売する事業などを展開していた。5年間、まったく別の事業を展開していたが、起業して4年目で“自分たちのやっていることは本当に世の中のためになっているのだろうか?”と考えた。ちょうど考えていたときに停電があり、電気の重要性を再確認して、暮らしのなかで“なくてはならぬ”サービスを提供したいと考えた」と当時を振り返る。

 すぐに社員とブレインストーミングを行ない、“生活していて不便に思うこと”を200個書き出したところ、その中の1つに「コインパーキングは現地に行ってから満車と知るため、出た所勝負で困る」という課題があった。

 ある調査では、路上駐車している車がコインパーキングを利用した場合の料金換算をすると5兆円規模になると報告されている。現在のコインパーキング市場規模は、3000億円程度なので、まだ4兆7000億円の潜在需要が期待できる。「これが、akippaを開始するきっかけになった」と金谷氏は言う。

 「2013年11月ごろから、営業担当者と2人で駐車場のオーナー巡りをした。まずは、東京と大阪で営業をすると、半年で約700箇所の契約が取れたので、次に2014年2月にコワーキングスペースに行き、フリーランスのエンジニアにフルコミットでakippaのスマホアプリを開発してもらい、これをもとにakippaの提供を開始した」(金谷氏)。

 営業主体だったベンチャーは、これをきっかけに一気に変わっていった。

シェアリングサービス自体の認知拡大が重要

2016年12月には、トヨタ自動車株式会社とサービス連携を実施。トヨタのアプリ『TCスマホナビ』からのakippa駐車場予約が可能となった

 順風満帆の船出に思えたakippaだが、当初は紆余曲折を繰り返している。「当時の社員は、なぜ本業で売り上げがあるのに、売り上げがゼロのakippaを立ち上げるのか理解できないようだった。そこで、これからは労働集約型の事業ではない、一気に伸びる事業を推進するということを啓蒙し続けた」と金谷氏は話す。

 また、スタートアップの登竜門である「IVS Launch Pad」にも2014年末に参加し優勝を獲得。「IVSきっかけで、社内でもやれるのではという雰囲気が醸成されはじめた。そこで、2015年に社名もakippaに変更し、新たに社員も採用して、本格的に事業を立ち上げることができた」(金谷氏)

 事業は立ち上がったものの、当初は資金が乏しかったことから、2014年6月にディー・エヌ・エー(DeNA)から出資を受けた。このとき、DeNAからマーケティングやSEO対策なども学んでいる。金谷氏は、「営業力のある会社だったので駐車場は集まるが、マーケティングをやったことがなかったので、利用者集めに苦労していた」と語る。

 実際にコインパーキングに行って利用者にチラシを配るような地道な活動からウェブマーケティングに重点を変更。マーケティング担当者の採用を経たことで、駐車場が増えれば比例して利用者も増えるようになったという。

 「営業力は、akippaの強みの1つだが、われわれは営業の会社ではなくテクノロジーの会社だと社員に言い続けている。また本社は大阪だが、あえて大阪色を出さないようにもしている。大阪色は、関西以外では受け入れられにくいところもある」(金谷氏)

 特筆すべき部分として、拡大を続けるなかで広報に重要性を見いだしており、そこに注力しているのが同社の特徴でもある。「シェアリングエコノミー」といったいわゆるバズワードでのアピールは、流行りに乗っているぶんにはブランディングとしてわかりやすいが、一方でそのキーワード自体を世間が知らなければ営業先にも消費者にもまったく響かない。そのためakippaではテレビでの継続的な露出を重要視しており、社長自らが広報にコミットする体制となっている。

 「テレビ番組で紹介されるためには、どうすればよいかを考えながらテレビの情報番組をすべて録画して見ている。このとき、自分がプロデューサーだったら、どのような企画がほしいかという視点で番組を見る」

 紹介される方法についても、あくまで自社だけをスポットにするのではなく、ときにはライバル企業のサービスなども含めて提案することもあるという。世の中的には新しいサービスであるからこそ、自社のポジションを踏まえたうえで、業界全体の啓蒙を強く意識しているという。

 たとえば免許を返納した高齢者の企画を提案したケースでは、免許を返納して車が不要になったことから駐車場をakippaに登録し、月に5万円以上稼いでいるオーナーを軸にした。免許返納に関するライバル他社の動向や事例なども含め、そのまま番組の1コーナーで放送できる企画に仕上げて提案する。「テレビで紹介されると営業面で非常に有利になる」と金谷氏は語る。


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