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顧客の声の実現にとどまらない KARTEの開発姿勢に学ぶ進化するツールの成長方法

連載
スタートアップのコーポレートサイトまとめ2016-2017

提供: デジタルステージ

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製品をアピールするにはコミュニケーション力も不可欠

洪:BiNDは世に出して間もなく10年なので、その間に競合サービスが多数生まれ、自分達にとって強みだと自負していた機能が他社に介入されていく経験をたくさんしてきました。
 そんなとき改めて自分達の強みはどこにあるのかを考えると、先ほど話しにあがっていた、「BtoBtoC」の考えと同じく、作ったウェブサイトを利用する「人」を意識している点では競合をリードしていると思っています。BiNDでいえば、サイトを作って完結するのではなく、サイトを持つ目的、コンバージョンに合わせた使い方のノウハウも提供していく必要があるのではないか、と。

BiNDクラウドのサービスサイト

 私はデザイナーなのでサイト構築をするのが好きですが、BiNDを使っているお客様は必ずしもサイト作りが好きな人ばかりではないということも考慮する必要があります。何より今はSNSで情報発信ができるので、それだけで済ます人も多いのが現状です。サイトにはSNSと違う役割があるにもかかわらず、一度作ったサイトを数年間も更新することなく放置しているというケースもあるので、そういったお客様にどんなフォローができるのかを考えます。
 たとえばそれは機能提供だけでは解決しないので、オウンドメディア、セミナーを通して、我々の知見を惜しみなく伝えていくことを実践しています。

倉橋氏:僕らの場合でいくと、「ウェブ接客」というのは最近出てきたマーケティングの方法論の一つだと思っています。将来的には全事業者にウェブ接客は必要なものになるとは思っていますが、現在はあくまでも黎明期です。すべての人がお客さんと考えるのではなく、現時点でのお客様は誰なのか、きちんと現在地を見定めておくことも必要です。

洪:お客様を広げすぎないというのは、簡単なようでいて、明確な決意があってこそできることですよね。BiNDはウェブ制作が不慣れな人でも扱えるツールとしてリリースしましたが、10年目となるとより高度な機能を求めるユーザーも増えてくるのでどう進化させるべきか常に悩みます。サービスとしての軸を持っていないと、散漫なサービスになりがちです。開発段階でもお客様を広げないことを意識しているのですか?

倉橋氏:いえ、逆にベースの開発段階では可能性を排除せず、広く使えるようにしています。ウェブ接客ですからECサイトの需要があることは最初から予測していたのですが、2年の間にどんどんECサイトを運営する企業の比率が下がって、ECサイト以外の導入例が増えているのです。求人サイト、不動産業、金融と予想以上に早いスピードで広がっています。正直なところ、ここまで早期にウェブ接客が共通課題として認識されるとは思っていませんでした。

洪:利用される業種が広がっていることで、システム的に業種向け機能を付けるといったことはされるのですか?

倉橋氏:そこはまったく分けていません。実は初期段階で、業種特化をさせていくつかのパターンを作った方がいいのではないかという声もあったのですが、「この規模の会社がやるべきことではない」と判断しました。同様に「オンプレで導入したい」という声もあったのですが、やはり同じ理由でやらないと決意しました。

洪:確かにある業種での利用が増えていくと業種特化した機能を入れて使ってもらうというのは選択しやすい方向の1つではありますからね。

理解を深めるために重要な役割担うオウンドメディア

洪:オウンドメディアでは「KARTE I/O」を発行されていますが、これも認知拡大のためのものでしょうか?

KARTE I/O

倉橋氏:まだウェブ接客という概念が、人によってイメージがぶれるフェーズだと思っています。ですので、ウェブ接客への理解、共感を目的として発信しています。「こんなことができるんだ」ということを伝えていくことが「KARTE I/O」の役割だと思っています。運営は持ち回りで、いろいろなチームが担当しています。既存のお客様、新規のお客様両方に向けた内容にしています。

BiND CAMP スキルレベルごとにWeb制作のノウハウを解説するオウンドメディア

洪:我々がウェブ制作者向けにノウハウを提供している「BiND CAMP」でも、BiNDの使い方だけでなく、知っておくべきトレンドや傾向、マーケティングに関する情報も提供しています。中心としてあるのはスモールビジネスに役立つ情報に特化することです。BiNDの既存ユーザーだけではなく新規流入も見込んだ施策です。

倉橋氏:ウェブ接客の場合、これまでなかった概念ですから、何ができるのか、何をすれば良いのかわからないという声もあります。リアル店舗の場合、来店しているお客さんの顔や行動を見れば、ある程度きちんとした接客ができると思います。ところがウェブの場合には、これまで接客がなかった分、最初の一声をかけるだけでも一苦労です。このようなノウハウを提供することで、その理解を広げていくことができればと思います。

洪:最後に、今後考えられている方向性についてうかがえますか?

倉橋氏:このビジネスは、タイミングがとても重要だと思っていて、技術的に可能だから出してしまうのは違うと考えています。
 R&D的な観点では、エンジニアのモチベーションって、無駄なこともないと上がらないと思うのです。興味のままに突き進んでもらってみると、結構面白いものが生まれて、未来の絵を変えてくれることもあります。ただ、最終的に出すかどうかのジャッジメントは僕とCTOがきちんとしています。

サイトを自動生成する「AiDジェネレーター」

洪:ツールの使いやすさを追求し続ける姿勢、スピードよく反映しながら正解を見出していくことの大切さをあらためて痛感しました。BiNDは先日、AIをからめ、ユーザーの求めるサイトの傾向を分析してサイト構築を自動で行なう機能提供をする「AiDジェネレーター」を発表しました。とはいえ、最初のうちはAIだけに頼らず人的にも分析して、「よいサイト」をどう定義するかがポイントになります。その際にも、すでにある情報からいかにスピード感を持ってアウトプットできるかが勝負の分かれ目ですね。今日はとても参考になりました。ありがとうございました。

(提供:デジタルステージ)

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