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顧客の声の実現にとどまらない KARTEの開発姿勢に学ぶ進化するツールの成長方法

連載
スタートアップのコーポレートサイトまとめ2016-2017

提供: デジタルステージ

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 インターネット上のいわゆるEC店舗は、無人で、24時間、年中無休で営業できるという特性があります。しかし、「インターネットの世界においてもお客様に合わせた接客が重要」というコンセプトで事業を展開している企業が登場しています。
 ウェブ接客のためのツール『KARTE』を提供する株式会社プレイド代表取締役の倉橋健太氏は、「当初はECサイトへの導入が多かったのですが、ここ1年では求人や不動産、金融などの幅広い領域で導入が増えています」と話します。ウェブ接客という新しい概念を同社はどのように進化させ、利用企業を増やしているのでしょうか。ウェブサイト構築ツール『BiND』を提供するデジタルステージのディレクター 洪泰和氏が、新しい概念をユーザーに理解してもらうために奔走している、プレイドの倉橋氏に迫ります。

プレイド 代表取締役 倉橋健太氏(写真右)、デジタルステージ ディレクター 洪泰和氏(写真左)

お客様の声をヒントに毎日進化し続けるツールを提供

洪氏(以下、敬称略):これまでにない「ウェブ接客」というコンセプトを掲げてスタートしたKARTEもサービスが開始されて2周年だそうですね。

倉橋氏(以下、敬称略):はい。インターネットでは「お客様個々に合わせて接客する」概念が欠けているとの思いから生まれたKARTEは、ウェブサイトを利用している人の動き、感情を可視化するためのツールです。現在導入いただいている1430社のうち、いわゆる販売接客を必要とするECサイトが6割、残り4割はECサイト以外のお客様です。

KARTE

洪:サービスを展開するうえで重視していることはなんですか?

倉橋:従来の開発環境だと、1度その環境を入れてしまうと、なかなかアップデートされないという面があったと思いますが、現在はどんどん環境が進化していく時代になっていると感じています。実際、KARTEも更新性という面で意図的に進化させています。KARTEは毎日のようにアップデートがかかって、インタフェースが変わってしまうこともあるぐらいです。

洪:それだけ頻繁にアップデートがかかるとお客様は戸惑いませんか?

倉橋:戸惑いよりも、着実に進化しているということを実感してもらっているようです。僕が客先で説明中にアップデートがかかった時も、「こういう風に進化して変わっていきますよ」と説明しています。

プレイド 代表取締役 倉橋健太氏                          同志社大学法学部を卒業後、楽天株式会社に新卒入社。楽天市場におけるウェブディレクション、マーケティング、モバイル戦略、広告戦略等、多岐にわたる領域を担当し、楽天市場事業の成長に貢献。2011年10月にプレイドを創業

洪:私たちが提供しているBiNDクラウドはウェブ制作サービスなのですが、UIの改修といった変化に対してユーザーの抵抗が大きいです。ボタンが1つ変わるだけで、「使い方がわからなくなった」という声が上がることもあります。

倉橋:お客様にとって気になるシーンがあるのも確かです。ただしそこはぶれずに、進化して、より良くしていくことを重視しています。お客様にしっかりと良くなっていることを体感していただくことで、信頼関係を築いていくことが重要だと考えています。

洪:サービスがよくなっていくことである程度の変化に理解を求める。顧客とのよい信頼関係の築き方ですね。

ウェブサイトを利用している「人」に注力すべき

倉橋:そういった進化のなかで最重要視しているのはサービスの品質ですので、開発のメンバー、特にCTOとは密なコミュニケーションを取っています。
 普段、お客様から新しいインタフェースや機能に関しての要望をいただきますが、お客様自身が答えを持っているわけではなく、あくまでヒントをいただいていると捉えています。
 ですので、もらったヒントに対する答えをバンバン返していくことが僕たちの役割だと思っています。お客様がくれたヒントを実現しただけでは100点にしかならないので、それを上回る答えを返すことができた時に、はじめて120点の評価をいただくことができると考えています。

洪:そのような期待を上回るための開発とは、具体的にはどんなものですか?

倉橋:たとえば、「KARTE TALK」の例がわかりやすいと思います。ウェブサイト上のコミュニケーションって、チャットもあればSMSやLINEもあるし、Facebookメッセンジャーも利用されています。ところが、それぞれのプロダクトごとに管理ツールがそれぞれあることが当たり前となっていました。本来は使っているツールが変わっても、同じ文脈の話をしているのであれば、ツールを超えた一元的な管理で利便性が高くなるはずです。
 そのため我々は、異なるツールを一元的に管理できる「KARTE TALK」を開発しました。こうした機能は、僕たち自身が、「使っている人が満足してくれるよう、あるべき姿を考えよう」と突き詰めていかないと実現することができません。

KARTE TALK

洪:確かにツールを利用しているお客様からあがってくるのは、「目の前のポイントを改善して欲しい」という要求です。それがほかにどう影響するかまでを考えているわけではないですね。

倉橋:デザインチームが考えたデザインが、開発チームによって形が変わって反映されることもあります。全体の整合性はすべてを把握している人にしかとれないので、個々で良いと思ったものは反映して、ダメだったらすぐにまた変えれば良いと考えています。変えていくうちに正解に近づいていくと思うのです。

洪:恐れることなくトライ&エラーを進めていくわけですね。そのような開発のアイデアは上がってくると思うのですが、どの機能を実現し、どの機能はもう少し後に実装するといった取捨選択の判断はどのようにされているんですか?

デジタルステージ ディレクター 洪泰和氏                     ウェブデザイナーを経て、デジタルステージのウェブ全般のディレクションを担当。一方「BiNDシリーズ」の開発にプロジェクトマネージャーとして携わる

倉橋:僕たちが最初から意識していたのは、「自分たちはBtoBの会社ではない」という点です。
 KARTEによってクライアントが提供するユーザー体験に、ある種の責任を持つべきだと思っていますし、自分たちが構築した環境によってクライアントのアイデアが生まれていくので、そのプロセスにも責任を持つべきだと思っています。
 消費者がハッピーになることが、クライアントの事業にとって正しいことだと思っているので、企業視点で見ると「こうあるべき」というものはあるのですが、「それって本当に消費者のために重要だろうか」という視点を大事にしています。
 KARTEと表面的に似たサービスは存在しますが、「ウェブサイトを訪れた人を理解できる形で可視化する」ことに真剣に取り組んでいる企業は、僕たち以外にはほとんどいないと思います。

洪:いわゆるBtoBtoCの「ツールを使っている先にいるお客様を意識する」ことはすごく大切ですね。私たちのBiNDも、ウェブサイトを制作する人が満足するだけではだめで、制作したウェブサイトを訪れた人が満足するようなツールでなければならないと常に話をしています。よいサイトデザインとは、訪問者にとって見やすいわかりやすいサイトですから。

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