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麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負 第12回

ウィリアム浩子オーディオルーム録音音源にも注目

麻倉推薦:サンタナの秘蔵音源が発掘されDSD化など

2017年05月13日 13時00分更新

文● 麻倉怜士 編集●HK(ASCII)

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『ミシェル・ルグラン名曲集 (アルトサックス:ジョルジュ・ロベール)』
George Robert

 ミシェル・ルグランは作曲、演奏のどちらでも驚異的な作品性を発揮する天才である。

 彼の代表作をオーケストラ+アルトサックス編成へ編曲したアルバム。第1曲「Watch What Happens」。名画「シェルブールの雨傘」のワンチューンをジョルジュ・ロベールはしっとりと、そしてジャジイに歌い上げる。この曲の可憐な哀愁感がヒューマンなサックスの音色で物語のように綴られる。8曲目、I Will Wait For You (From "The Umbrellas of Cherbourg").「待てども来ぬ人をいつまでも待ち続ける」ことの切なさ、哀しさが切々と、サックスの音色とジャズ調の編曲で伝わってくる。バックのオーケストラは、インテンポで進行するなかで、アドリブを交えた、シンコペーション多用の自由奔放なサックスプレイが、より哀しみを助長する。

WAV:48kHz/24bit、FLAC:48kHz/24bit
Claves Records、e-onkyo music

『Emotional Dance』
アンドレア・モティス

 スペイン・バルセロナ出身の女性トランぺッター/シンガーのアンドレア・モテスのImpulse!レーベル、デビュー作。さまざまな曲想の世界観を自らのものにして、歌い上げるテクニックは刮目だ。

 タイトルチューンの7曲目「エモーション・ダンス」はけだるく、倦怠的なボサノバ調でコケティッシュに歌唱。

 1曲目He’s Funny That Wayは、4ビートのスタンダードを明るく、ストレートに歌い上げる。2曲目 I Didn’t Tell Them Whyは軽快なスウィングが快適だ。3曲目Matildaはボサノバ的なテクスチャーを妖艶に歌う。ちょっと苦みがある、スムーズな歌声が心に染みる。

FLAC:96kHz/24bit
Impulse! Records、e-onkyo music

『Mussorgsky: Pictures at an Exhibition
- Prokofiev: Symphony No. 1, "Classical"』

Philippe Jordan

 「展覧会の絵」 はロシアのムソルグスキーが作曲し、フランスのラベルが編曲したわけだから、演奏はロシア的、フランス的のどちらも可能だが、これはフランス的なチャーミングな展覧会だ。

 プロムナードのトランペットが軽快で、浮き立つような愉しさを歌い上げる。強調感がひじょうに少なく、軽やかに絵と絵との間をスキップしながら移動しているかのような愉悦に満ちたプロムナードだ。第2曲「ゴノマス」の低弦もけっしておどろおどろしくない。軽快な音調だ。「リモージュの市場」もブリリアントさは過剰ではなく、さらっとした上質な展覧会だ。「展覧会の絵」は 2016年5月20日、23日、24日にオペラ・バスティーユ舞台で、「古典交響曲」は2016年6月17日にリベルマン・ザルスタジオで録音。

FLAC:96kHz/24bit
ERATO、e-onkyo music

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