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レッドハットが「Ansible Tower」のロードマップを紹介

「ここがOSS系構成管理ツールの良い所」---Ansible製品統括が説明

2017年05月08日 07時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 レッドハットは4月25日、構成管理ツール「Ansible Tower」に関する記者説明会を開催し、Ansibleの概要、2月にリリースした現行最新バージョンのAnsible Tower 3.1の新機能、次期バージョンAnsible Tower 3.2以降のロードマップについて解説した。

 Ansibleは、レッドハットが2015年末に買収した構成管理ツール。構成管理ツールとは、「サーバーにこのソフトをインストールする、設定ファイルをコピーする」といった作業指示書に従って、自動でその作業を実行するものだ。主なものには、Ansibleのほか、オープンソースの「Puppet」や「Chef」がある。レッドハットは、Ansibleで作業を実行するエンジン「Ansible Core」をオープンソースとして提供し、Ansible Coreの運用や権限を管理するエンタープライズ向けの管理ソフト「Ansible Tower」を有償で販売している。

 サーバーやネットワークの構成管理を自動化する機能自体は目新しいものではなく、たとえば、Windowsサーバー環境向けには従来から「System Center」や「PowerShell DSC」で構成管理ツールが提供されている。Ansible、Puppet、Chefなどオープンソースの構成管理ツールが注目されているポイントは、1つのツールで、サーバー、ネットワーク、OS、アプリケーション、電球などの電子部品に至るまで構成管理を自動化できる点である。また、オンプレミス、仮想化環境、さまざまなクラウド環境を単一ツールで管理可能だ。

 これらのオープンソース系の構成管理ツールは、コミュニティメンバーのコントリビュートによって自動化できるシステムが順次拡大していくのだと米レッドハット Ansible & Insightsソフトウェアエンジニアリング シニアディレクタ―のティム・クレーマー氏は説明した。現在、Ansibleが自動化できる対象は、クラウド、コンテナ―、Windows環境、ネットワーク、モニタリングツールなど900システム以上ある。

Ansibleが自動化できるシステムは900以上

Ansibleは記述が簡単でエージェントレス

 さらにクレーマー氏は、オープンソース系の中でも、PuppetやChefと比較してAnsibleが優れている点として、「作業指示書の記述が簡単」であることを挙げた。

 Ansibleでは「Playbook」と呼ばれるファイルに作業指示を記述し、それをAnsibleに実行させることで様々な作業の自動化を実現する。Chefでは「Cookbook」、Puppetでは「Manifest」が同様の作業指示書にあたる。CookbookはRuby、Puppetは独自の宣言型言語で記述するのに対し、Playbookは自然言語に近い「YAML」という形式で記述する。そのため、プログラミングの知識がなくてもファイルに書かれた作業内容を読み取ることができるという。

 「簡単に記述できる特徴を生かして、(言語が複雑な)DockerをAnsibleのPlaybookから使うプロジェクトが進行している」(クレーマー氏)。

 もう1つ、Ansibleが他のオープンソース系管理ツールと差別化されている点として「エージェントレス」がある。「ネットワークスイッチには、ネットワークを不安定にする可能性のあるエージェントを入れてたくないという要望がある。ここでAnsibleが選ばれる」とクレーマー氏。「ネットワーク領域では、コミュニティからだけでなく、Ansibleで自社製品を自動化したいネットワークベンダーからもコードの提供を受けている」(クレーマー氏)。

次期Ansible Tower 3.2では自己修復機能、コンテナ―対応を拡充

 現行最新版のAnsible Tower 3.1では、Playbook間の関連付けをして個別のPlaybookを依存性のある形で実行する「Workflow Job」機能のほか、マシン1万台規模の環境での利用を想定した「ユニバーサル検索」、同時に実行可能な処理数を増やすことができる「スケールアウトクラスタリング」などが追加され、大規模環境向けの機能が強化されている。また、現バージョンで初めてユーザーインタフェースが日本語対応した。

 また3月には、システム監視ツール「Red Hat Insights」とAnsible Tower 3.1を統合した。Insightsは顧客システムの環境をスキャンして問題を検知するツールだが、Ansibleと組み合わせることで、検知した問題を自動修復できるようになる。

 次期バージョンのAnsible Tower 3.2では、Insightsと組み合わせたシステムのセルフヒーリング機能をさらに強化する。また、カスタム・クレデンシャル、インベントリ・アップデートの追加など、より大規模エンタープライズ環境向けの機能拡張を予定している。さらに、次期版移行の将来的なロードマップとして、クレーマー氏は「自動化対象のコンテナ―を拡充していく」と述べている。

「レッドハットに買収されてよかった」

 今回、記者説明会に登壇したティム・クレーマー氏は、レッドハットによるAnsible買収以前、Ansible社の製品担当副社長だった。

米レッドハット Ansible & Insightsソフトウェアエンジニアリング シニアディレクタ―のティム・クレーマー氏

 レッドハット傘下になったことについて、クレーマー氏は「レッドハットによる買収はよいものだった。その証拠に、買収前後で社員は1人も辞めていない」と述べた。また、買収によってAnsibleコミュニティが拡大し、レッドハット製品との統合も進むなどよい効果があったとしている。

データセンター事業者、金融機関などが国内ターゲット

レッドハット プロダクト・ソリューション本部 クラウド・ビジネスデベロップメント マネージャーの中村誠氏

 Ansible Towerの国内販売戦略について、レッドハット プロダクト・ソリューション本部 クラウド・ビジネスデベロップメント マネージャーの中村誠氏は、データセンター事業者向けのデータセンター自動化、および金融・通信業界向けのエンタープライズオートメーション(組織全体にわたるシステム自動化)の2領域をターゲットとしていくと説明した。

 日本語対応した現行最新版Ansible Tower 3.1の国内提供価格は、管理対象100ノードまでを一式として、年額サブスクリプションで130万円(税別)で提供する。レッドハットによる直接販売のほか、パートナーの販売チャネルを利用して、2020年までに200システムへ導入することを目標とする。さらに、2020年までにAnsibleの公認技術者を200人育成する計画だ。

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