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エネルギーベンチャーの研究者に合計1800万ドルの資金

2017年04月27日 03時39分更新

文●James Temple

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米国エネルギー省の研究開発プログラム「サイクロトロン・ロード」に、新たに10人の研究者が採択された。2年間の俸給と施設利用権、資金を与えられ、民間では追求しにくい持続可能エネルギーの要素技術を研究する。

エネルギーベンチャーの事業化に関わる人々にとって、今は厳しい時代だ。連邦政府が研究予算の削減をすすめているばかりか、多くのベンチャー・キャピタリストまでこの分野から手を引いている。そうしたなかで、エネルギー起業家の頼みの綱はサイクロトロン・ロード(Cyclotron Road、ローレンス・バークレー国立研究所による、フェローシップ事業とスタートアップ企業振興策の中間的なプログラムで、初期段階にある科学から優れた企業が生まれるように創設された)だ。

米国エネルギー省が資金を提供するプログラムは、水曜日に10人の新採択者を発表した。マリーゴールドパワー共同創業者で、マサチューセッツ工科大学で太陽熱光起電力の先駆的な研究をしたデビッド・ビアマン(「2017年版ブレークスルーテクノロジー10:」参照)、マイクロバイア創業者のサラ・リチャードソン(バークレー研究所の元研究フェローで、主にバクテリア工学で効率的にバイオ燃料等の製品を作り出す研究をしていた)、アストリルークスの創業者スプリヤ・ジェイズウォール(オックスフォード大学とバージニア大学の学位を持つ物理学者で、次世代の半導体を開発中)といった人物だ。

サイクロトロン・ロード(Cyclotron Road)が創設されたのは3年前で、学術研究と産業の橋渡しをして、芽生えつつある多くのアイデアが「死の谷」を生き残るために、技術的に困難な課題に挑む科学者を支援する目的で始められた。研究者には2年間の棒給とバークレー研究所の設備や研究中の助言などが与えられる。

最初の年は6つのプロジェクトが追加の研究費として合計1800万ドルの資金または民間投資を獲得した。イリノイ州のアルゴンヌ国立研究所とテネシー州のオークリッジ国立研究所も最近同様のプログラム発表した。

業界関係者の多くが、持続可能エネルギー・システムの実現にはバイオ燃料やエネルギー貯蔵、再生効率、送電網テクノロジーの進歩が欠かせないという。さらに研究のために使われる連邦予算は数十年にわたって減少しており、企業の研究投資も減少している。同様に、ベンチャーキャピタル業界は5年サイクルでの確実なリターンが求められ、クリーンエネルギーのスタートアップは巨額の先行投資とかなりの技術的な課題を伴うため、リスクに見合う成果を十分上げられてはいない。

サイクロトロン・ロード創設者のイラン・グール(コースラ・ベンチャーズの支援を受けて設立したバッテリー系スタートアップをボッシュに売却した人物)がいうには、このプログラムは有望なエネルギー研究者に自分たちのテクノロジー開発のために必要な追加の時間を提供し、資金提供者を探したり、資金面で生じるあらゆる制約に対処するためにある。

「私たちは研究者に仕事を与えているのではありません。2年間の終わりに採択者には出て行ってもらいます」と元米国エネルギー省(DOE)のエネルギー先端研究計画局のプログラム担当ディレクターのグールはいう。「しかし、もし彼らが期間中に自分たちのアイデアを実現できたら、そのテクノロジーを市場に投入するのは賢いやり方といえるでしょう」


転載元(MIT Technology Review)の記事へ

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