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ドローン最大手DJI、イスラム国活動地域を飛行禁止に設定

2017年04月27日 05時59分更新

文●Jamie Condliffe

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ドローンメーカー最大手のDJIは、自社製ドローンがイスラム国(ISIS)活動地域を飛行できないよう、バーチャルフェンスにより、イラク、シリア上空を飛行禁止空域に設定した。ただし、ISISのドローンがすべてDJI製ではない。

中東を拠点とするテロリストは最近、市販のドローンに簡易な爆発物を備え付け、小型の爆撃機に改造している傾向がある。しかし世界最大手のドローンメーカーは、この状況を食い止めようとしている。

昨年の米国防総省の発表で、イスラム国(ISIS)の戦闘員が新たな武器としてドローンの使うと決めたことがわかったが、アメリカでも破壊的な威力をもつドローンは長年使用されてきた。しかし、ミサイルを搭載した高額なドローンの代わりに、ISISは市販のドローンを改造して爆発物を備え付け、空飛ぶ爆弾あるいはターゲットに爆発物を投下する装置として使うようになったのだ。今年になって、ISISまで状況を発表し、ムジャヒディン(イスラム聖戦士)が使う無人飛行機を開発し、ドローンを使って一週間のうちに39人のイラク軍兵士を死傷させたと主張した。

英国のニュースサイトレジスターによると、中国のドローンメーカーDJIはISISに対抗すると決めた。DJIのドローンに搭載されたソフトウェアは、ドローンが侵入が禁止されている飛行禁止エリアを設定できる。通常「ジオフェンシング」は、操縦者が空港や軍事基地などの飛行禁止エリアにドローンを飛ばさないために使われる。しかしDJIは、そういった飛行禁止エリアにモスルを含むイラクやシリアの各地域を追加しているようだ。

この対策がどれほど効果的なのかは不明だ。第一に、このソフトウェアに手を加えればドローンは飛行禁止エリアを回避できる。次に、ISISが使用するドローンはすべてが市販の機体とは限らない。ポピュラー・サイエンス誌が昨年伝えたように、ISISは部品や基本的な機体を使い、ゼロからドローンを作ってもいる。同じく、今回の対策はイラク軍の活動にも影響を与える。イラク軍もここ数カ月、ISISを攻撃しようと改造した市販のドローンを使い始めているのだ。

(関連記事:The Register, Washington Post, Popular Science, USA Today, “The World as Free-Fire Zone”)


転載元(MIT Technology Review)の記事へ

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