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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」第162回

真実は好きかどうか、という話

2017年04月26日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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Facebook Spacesは、コミュニケーションから外的要因を取り除いた純粋な場を作り出してしまった、そんなとらえ方をするようになりました

 「事実は小説よりも奇なり」というフレーズは、英国の詩人、ジョージ・ゴードン・バイロンの言葉として有名です。人によって創作された話よりも、事実の方が不思議なことがある、という意味合いです。

 この中の事実に何を含むかは別ですが、あまり深く考えなくても納得できるのではないかと思うことは多々あります。

 人が考えられる虚構は、その人が理解できている話ということになります。いや、そうでないものもあるかもしれませんが。これに対して、事実は主観・客観ともに、完璧な理解ができているかどうかはわかりません。しかし、それで良い存在でもあります。

 高校の時にびっくりしたのは、気象では「カオス」、つまり何が起きるかわからないという分析を認めているということでした。

 もちろん古い過去の地球や動物のことはまだまだ研究されている最中ですし、すべてが理解されているとは思っていませんでした。しかし現在進行形の事象についても「わからない」があり得るのだ、ということが意外だったのです。

 「バタフライエフェクト」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。気象学者のエドワード・ローレンツが「ブラジルの蝶の羽ばたきで、テキサスの嵐を起こすか」という講演から言われるようになった言葉で、観測誤差を完璧になくさなければ、その初期値に敏感に反応する事象を予測することができないという意味合いです。

 これは我々の日々の生活にも当てはめることができるかもしれません。

 たとえば、タッチの差で信号が渡れなかったために、向かい側のバス停に止まっていたバスに乗り遅れたとします。その理由をさかのぼってみると、アパートのエレベーターで1階に降りようとしたときに間違えて2のボタンを押してしまい、時間をロスしたとか、バスが前の停留所を5秒早く出発していたとか、自分や他の人が関係する様々な理由が浮かび上がり、さらにその理由を辿っていくこともできるでしょう。

 しかしどれが最も有意なのかを評価しなければならないし、もしいかなる場合でも乗り遅れることを防ぎたければ、そもそも前の晩に少し早く寝て、その日の朝少し早く起きるしかないのかもしれません。

 このように、事実は複雑なほかのことに関係しながら進んでいくし、我々が目にしているのはそうした事実の一面的な部分でしかありません。

 小説を我々が楽しんで読んでいる背後には、我々が生きている世の中が複雑すぎるからなのかもしれませんね。

事実 vs. 虚構

 さて、冒頭の「事実は小説よりも奇なり」の説明には、小説を「虚構」と扱っているものが多かったのです。

 虚構というと、個人的にはさほどポジティブな意味合いがないのですが、虚構をポジティブに発信している「虚構新聞」は、ひとつのエンターテインメントになっていると思います。ところが最近、虚構として作った話が事実になってしまうことが少なくありません。それだけ現実世界も奇なり、ということなのでしょうが、当事者によって事実化されたりして、虚構新聞側による謝罪が多いことも確かですが。

 そうしたエンターテインメントであるという前提でも、Twitterなどで勘違いが拡散して、大きな騒動になってしまう事件もたびたびありました。それをより大規模に仕掛けたようにみられるのが、米国の大統領選挙で話題になったフェイクニュースです。

 特にその拡散の現場となったFacebookでは、フェイクニュースの方が実際のニュースよりも拡散力が強かった、との研究結果もあります(BuzzFeed)。

 これに対抗すべく、FacebookやGoogleはフェイクニュースの拡散を防ぐ手段を講じることになりました。ちょうど直近で投票が行なわれたフランスの大統領選挙に合わせて、さまざまな取り組みが進んできました。近々、その検証も行われるのではないかと思います。

Facebookは、「Journalism Project」でフェイクニュース撲滅を打ち出しつつ、ジャーナリストやメディアをサポートする取り組みに、開発者会議でも力を入れていました

 先週開催されていたFacebookの開発者向け会議「F8」では、ジャーナリストやメディア向けのコーナーを用意し、技術的な支援や真実を伝えるためのプラットフォームであることをアピールしていたのが印象的でした。真実がきちんと伝わるプラットフォームになるという責任感の強さを物語る1コマでした。

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