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既存ストレージ群を単一プールに統合、ストレージ仮想化製品「Lenovo Storage DX8200D」

レノボ、データコアと協業でSDSアプライアンス新機種を発売

2017年04月26日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 レノボ・ジャパンは4月25日、レノボ製x86サーバーをベースとしたSoftware-Defined Storage(SDS)アプライアンス製品の第3弾「Lenovo Storage DX8200D」を販売開始した。米データコア・ソフトウェア(DataCore Software)のストレージ仮想化ソフトを搭載した製品で、サイロ化した既存の物理ストレージ群を単一リソースプールに仮想統合する機能も備える。2017年度の事業戦略と製品戦略も明らかにした。

レノボ「Lenovo Storage DX8200D」

 Lenovo Storage DX8200Dは、レノボのx86サーバー「system x3650」をベースに、データコアの「SANsymphony」ソフトウェアをプリロード済みで工場出荷するSDSアプライアンス製品。ストレージ仮想化機能によって、既存の他社製ストレージ群を単一のリソースプールに統合し、DX8200Dから一元的な管理が可能になる。

DX8200Dはクラスタ(Active-Active)で動作し、配下のストレージ群を仮想的に統合して単一リソースプールを提供する

 SANストレージとしては、高速キャッシュや並列I/O処理、自動階層化などによる高速化機能や、同期ミラーリング/非同期レプリケーション、データの継続的保護(CDP:定期フラッシュコピー)などの高可用性機能を備えており、データベースなど高いパフォーマンスを必要とするアプリケーション、またミッションクリティカルなアプリケーションにも適用できる。

 既存ストレージの上位階層に設置することで、既存ストレージに保存されているデータも透過的に利用しながら、データのマイグレーションを実行することもできる。

DX8200Dの特徴。ロードバランシングやマルチコアによる並列I/O処理、高速キャッシュ、自動階層化などで高速化を図る

 レノボでは、DX8200Dの導入によって「ストレージの管理とサポートに必要な時間を最大約80%、ストレージコストを最大約75%、ストレージ関連のダウンタイムを限りなくゼロにすることができる」(発表より)と述べている。

 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ データセンター事業本部 製品本部 本部長の工藤磨氏は、これまでのSANストレージは「部門ごと」「アプリケーションごと」に導入されてきた結果、サイロ化して投資の有効化がなされておらず、管理も煩雑になっていると指摘。DX8200Dは、ストレージ仮想化機能によってこうした課題を解決すると説明した。

 また、system xサーバーをベースとしたSDSアプライアンスであるため、ストレージ専用機よりも安価にキャッシュメモリを増設できること、最新マルチコアプロセッサの能力を生かした並列I/O処理ができること、などの強みがあると説明した。

 Lenovo Storage DX8200Dの最小構成価格は550万円から(税抜)。同日より販売を開始している。

 なおDX8200Dは、昨年11月から販売するクラウディアン製ソフトウェアを搭載したオブジェクトストレージ「DX8200C」、ネクセンタ製ソフトウェアを搭載したユニファイドストレージ「DX8200N」に続く、3機種目のSDSアプライアンスとなる。DX8200Dでも、検証済み構成のハードウェアにソフトウェアをプリロード済みで工場出荷され、販売からサポートまでレノボがワンストップの窓口となる。

クラウディアン、ネクセンタのアプライアンスを加えた「D8200シリーズ」

レノボの2017年度、SDI製品投入をさらに加速していく

 レノボ・ジャパン データセンターソリューション事業 ソリューション営業本部 本部長の橘一徳氏は、2017年度(2017年4月~2018年8月期)の注力事業分野や製品戦略などを説明した。

 新年度を機に、レノボではグローバルで「PC/クライアント製品」と「ITインフラ/データセンター製品」の事業を明確に切り分け、両ビジネスが“独立採算”で動くことを求めるようになったという。国内でも、法人向けデータセンターソリューションのビジネスはレノボ・エンタープライズ・ソリューションズが担うことになっている。

 法人によるITインフラ投資が、従来のトラディショナルIT(サーバー、ストレージ、ネットワーク)から、新しい領域(プライベートクラウド、パブリッククラウドサービス)へと徐々にシフトしていく中で、レノボも「ソリューション販売」の方向へと舵を切っている。ハードウェア単体の販売ではなく、ソフトウェアパートナーとの協業による、事前検証/構成済みのワンストップパッケージでの提供だ。

 その具体策のひとつとして、事前検証/構成済みによる「Software-Defined Infrastructure(SDI)」製品の投入がある。すでにニュータニックス(Nutanix)搭載のハイパーコンバージドインフラ(HCI)アプライアンス「Converged HX」や、前述のStorage DXシリーズアプライアンスなどを投入してきた。

 2017年度のレノボは、この“SDI推し”の動きをさらに加速/拡大していく。橘氏によれば、今回のDX8200Dに加え、今夏に向けて、昨年11月に米国で発表したコンバージドインフラ製品「ThinkAgile」や、そこに「Azure Stack」ソフトウェアを搭載したプライベートクラウド構築製品「Lenovo ThinkAgile SX for Microsoft Azure Stack」を国内でも発表予定だという。さらに、Windows Server 2016が備えるSDS機能「Storage Space Direct(記憶域スペースダイレクト)」や、ヴイエムウェアが発表したSDDC統合プラットフォーム「VMware Cloud Foundation(VCF)」を搭載したソリューションにも注力していくと、橘氏は述べた。

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズにおける2017年度の注力分野

 製品カットでは、引き続きニュータニックスアプライアンスやSDI製品に注力するほか、大容量メモリ搭載のsystem xサーバーをベースとした「SAP HANA」ソリューションの国内シェア拡大を図っていく。加えて、2017年度後半には、GPU技術を取り込んだAI(人工知能)向けインフラ製品も予定していると説明した。

2017年度の重点ソリューション

 なお、エンタープライズストレージ領域では、従来型ストレージ市場が縮小していく一方で、SDS市場は2020年まで年率30%以上の成長が予測されている。そのため、SDSに対しては引き続き開発投資を強化していくと、橘氏は語った。

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