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SSL-VPNによるリモートアクセスから、モバイル/クラウド時代の“セキュアアクセス”へ

ジュニパーから分社のパルスセキュア、セキュアアクセス製品発表

2017年04月24日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 約3年前にジュニパーネットワークスから分社したSSL-VPNベンダーのパルスセキュア(Pulse Secure)日本法人が4月19日、国内事業戦略の説明会を開催した。モバイル/クラウド利用の浸透によって複雑化する企業環境に対応するために、従来の単純なリモートアクセスから「セキュアアクセス」への進化を訴え、新ソリューションを発表した。

従来のリモートアクセスと、これから必要とされる「セキュアアクセス」の違い

パルスセキュアジャパン カントリーマネージャーの伊藤利昭氏

米パルスセキュア 最高マーケティング責任者(CMO)兼副社長のフィル・モントゴメリー氏

モバイルデバイス、クラウドアプリも統合した「セキュアアクセス」へ

 パルスセキュアは、ジュニパーネットワークスからSSL-VPN製品(SA/MAG、Junos Pulseシリーズなど)の事業譲渡を受ける形で設立されたベンダーだ。旧来の「Juniper Networks SA/MAGシリーズ」製品は、現在「Pulse Secure Appliance(PSA)」としてSSL-VPNの物理/仮想アプライアンス製品をラインアップしており、グローバルで2万社以上の顧客、1800万以上のエンドポイントをカバーしている。

 そのパルスセキュアが、新たなソリューションとして発表したのが「Pulse Access Suite」となる。従来のPC~社内ネットワーク/データセンター間だけでなく、モバイルデバイスやクラウドアプリケーション(SaaS)も含むセキュアなアクセス手段を提供すると同時に、クラウドベースの監視/管理ツール、BYODも含むモバイルデバイス上の業務アプリ管理、社内ネットワークにおけるポリシーベースのアクセスコントロールといった機能を提供する。

「Pulse Access Suite」の全体像(Enterpriseエディション)

 米パルスセキュア CMOのフィル・モントゴメリー氏は、「わたしがSSL-VPNのビジネスに初めてかかわった15年前は『PC』と『社内リソース(社内サーバーなど)』だけを考えれば良かったが、現在は状況が非常に複雑化している」と説明する。モバイルデバイスやSaaSの利用が一般化しており、「企業外から企業内へのVPN接続」という単純なモデルだけではなくなっているわけだ。

 Pulse Access Suiteは、社外のPCやモバイルデバイスから社内データセンターアプリケーションへのVPNアクセスを可能にする「Pulse Connect Secure」、主要SaaSへのシングルサインオン(SSO)やアクセスコントロールを提供する「Pulse Cloud Secure」、モバイルデバイス上のコンテナへの業務アプリインストールや管理を行う「Pulse Workspace」、ポリシーベースでの社内リソースへのアクセス制御を行う「Pulse Policy Secure」、そして各製品を統合監視/管理できるクラウドベースのツール「Pulse One」などで構成される。ユーザー企業はニーズに応じて3つのエディションから選択が可能だ。

「Pulse Access Suite」を構成するプロダクト群

「Pulse Access Suite」には3つのエディションがある

 モントゴメリー氏は、データセンターアプリケーションへのアクセスのみ対応したEssentialsエディション、SaaSアクセスのセキュリティに対応したAdvancedエディション、さらに社内ネットワークでアクセスポリシーによる制御が可能なEnterpriseエディションがあると説明したうえで、現在最もニーズが高いのはAdvancedエディションだと紹介する。加えて、物理/仮想アプライアンスが選択できることから「マネージドサービスプロバイダーでも採用しやすい」とした。

 さらに、セキュアアクセスソリューションとして統合されているため、他社の複数製品を組み合わせて導入するよりも、コスト、統合や管理の手間といった面で大きなメリットがある点も強調した。

 なお、Pulse Workspaceなどの機能は一般的なMDM/EMMとも重複する部分があるが、モントゴメリー氏は「(MDM/EMMの)『MobileIron』や『VMware AirWatch』などとは競合せず、むしろ連携するものである」と述べている。こうした製品で取得したモバイルデバイスの詳細情報を活用して、より強固なアクセス制限を実現することができるからだ。

あらゆる規模の企業、すべての従業員が新たなターゲットに

 パルスセキュアジャパン カントリーマネージャーの伊藤利昭氏は、現在の社会情勢や日本企業における課題などを挙げながら、今年のテーマは「モバイルワーク」「クラウドアクセス」「ワークスタイル変革」であると述べ、Pulse Access Suiteの提供を通じて企業の課題解決を支援していく方針を強調した。

 伊藤氏は、Pulse Access Suiteが実現するセキュアアクセス環境は、ユーザー自身のデバイスが使えること、モバイルでもSSOが実現することなど「ユーザーが歓迎するセキュリティ」であると説明。また、デバイスのコンプライアンスチェックが自動ででき、SaaSアプリに対しても高い安全性を持ったアクセスが可能になることを紹介した。

SaaSアプリへのセキュアアクセスにおける課題。パルスセキュアでは、SAMLベースのSSO、デバイスの自動コンプライアンスチェックなどでこうした課題を解決する

 また伊藤氏は、一貫性があり、必要に応じて導入規模を拡張できるPulse Access Suiteは、“ワークスタイル変革市場”において大企業から中小企業まで幅広く導入可能な製品であると説明した。加えて、従来のリモートアクセス(SSL-VPN)製品は、営業職など企業内の一部社員のみが対象だったが、セキュアアクセス製品は「全社員が対象になる」とも述べている。

Pulse Access Suiteのターゲット市場

 なお同日の説明会には、Pulse Access Suiteの一時代理店であるマクニカネットワークスも出席し、販売戦略を説明した。

 パルスセキュアとマクニカネットワークスでは今後、パートナーに対するPulse Access Suite製品のトレーニングを展開していくと同時に、販売パートナー網を拡大していく。また、ジュニパーSSL-VPN製品を導入している顧客に対しては、リプレースキャンペーンを展開し、アプライアンスの無償提供とライセンスの割引販売を実施する。

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