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グロースハックは汗をかいて取り組め!ITサービスに営業が必要な理由

国内外3200アプリ以上に導入されたサービスに学ぶ改善方法

連載
スタートアップのコーポレートサイトまとめ2016-2017

提供: デジタルステージ

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 提供した商品やサービスの利用状況をモニタリングし、そこで得た反応を即座に商品やサービスに取り入れ、ウェブやアプリ上での成長を狙う「グロースハック」。爆発的な拡大を成し遂げてきた米国ネット企業では当たり前に取り入れている手法ですが、日本でもこれを取り入れることで成長している企業が出てきています。スマホアプリ向けの分析&マーケティングツールを提供するRepro株式会社もそのひとつ。同社はユーザーの元に出向いて徹底したヒアリングを行ない、その要望をサービスの機能に反映させ、必要があれば新組織の立ち上げまでも行うことで成長しています。
 中小や大手にかかわらず、ウェブやアプリを展開する企業にとって今取り入れるべきグロースハックとは何でしょうか。ウェブサイト制作ソフト『BiND』を開発し、スモールビジネスに向けたウェブサイト構築のノウハウも提案している株式会社デジタルステージの洪氏がRepro代表取締役CEOである平田祐介氏に聞きました。

Repro 代表取締役CEO 平田祐介氏(写真右)、デジタルステージ ディレクター 洪泰和氏(写真左)

そうそうたる企業が絶対にほしい指標を提供

洪氏(以下、敬称略):まずはReproがどのようなサービスを展開されているのか教えていただけますか。

平田氏(以下、敬称略):当社はアプリ事業者の誰もが直感的に使えるスマホアプリ向けの分析&マーケティングツール「Repro」を提供しています。提供している機能としては大きく三つです。一つ目はアプリの利用状況を定量的に分析する機能です。ユーザーの属性(広告流入元や性別、年齢、エリア等)別にアプリの起動回数や離脱しやすいポイント、KPIの達成率などを分析し、アプリが抱えている課題を抽出します。
 もう一つの機能は、ユーザーがアプリをどのように使っているのかを動画で定性的に分析する機能です。動画を通してアプリを実際に利用しているユーザーの行動を観察することで、KPIとしている行動がなぜ実行されないのか、このタイミングでなぜ離脱していますのかといった課題に対する仮説立案に貢献します。三つ目はマーケティング領域で、ユーザーの属性情報やアプリ内の行動データを元にセグメントしたユーザーに対して、PUSH通知配信やポップアップ表示などができる機能です。
 ECアプリを例にすると、カートに商品を入れたのに購入まで至らなかった初回起動ユーザーだけをワンクリックでセグメントし、そのお客さんに向けてクーポン券を送るといった、プッシュセールスが可能になります。
 Reproはモバイルアプリの課題発見から解決方法までをワンストップで行うことができるのが特徴となっています。現在、国内外3200以上のアプリが当社のツールを利用しており、10%弱が有料ユーザーになっています。また国内だけでなく国外にも利用者がいまして、国数は46ヵ国になります。

Repro株式会社 代表取締役CEO 平田祐介氏                   1980年、東京都生まれ。戦略コンサルタント出身のシリアルアントレプレナー。大手コンサルティングファームに入社後、主にメーカーに対して経営戦略立案支援や成長支援業務に従事。2011年から複数の事業の立ち上げに関与したのち、2014年にReproを創業し、今は世界46ヵ国3000以上のアプリに導入されているアプリのグロースハックツールを提供している

洪:『BiND』はもともとパッケージソフトだったものを3年前にクラウド化しました。ユーザーがどのようにツールを使っているのか、その行動分析こそローカルにはできないクラウドの利点だとも考えてはいますが、データをどのように取って活かすかは難しい課題です。こうした問題を抱えていながら手が出せない提供者は多いように思います。
 そもそも、どういうきっかけでこういうツールを開発されたのでしょう?

平田:実は私は今回が三回目の起業になります。一回目は利用ユーザー数は伸ばせたもののマネタイズが全くできず撤退し、二回目に起業したECサイトもつぶれる瀬戸際までいってしまいました。そのときに出会ったのが、スウェーデンのベンチャー企業が提供していたWebサイトの動画分析ツールでした。ウェブ上におけるユーザーのマウスのの動きやクリック箇所を動画で分析できるツールで、これで徹底的にユーザー行動分析を行った結果、2ヵ月で単月黒字を実現したのです。
 そして三回目の起業を考えた時、二回目の起業で私を救ってくれたサービスのように私もより人の役に立つサービスを世に提供したいと思い、当時はまだグローバルでもなかったスマホアプリ向けの動画分析を行うツールを開発することを思い立ちました。

洪:実体験から起業を思いついたわけですね。

平田:はい。当時、定量データの分析ツールはあったのですが、スマホアプリを操作する様子を動画で記録し、分析できるツールはありませんでした。私の場合、実体験をもとに「動画でユーザー行動を分析するサービスがあれば役に立ちます」と説得力があったのだと思います。KDDIのインキュベーションプログラムに採択され、プログラムのご支援もあってアルファ版のテストにそうそうたる企業さんが名を連ねてくださいました。スタート時点でインフルエンサーにアドバイスや評価してもらったことで、ビジネスが順調に起ち上がりました。

洪:動画でユーザーのふるまいを記録することで得られるデータは、データアナリティクスでは絶対にわからない部分ですから、それは欲しい機能だと思います。ビジネスの起ち上がりにも納得しました。

デジタルステージ ディレクター 洪泰和氏                     ウェブデザイナーを経て、デジタルステージのウェブ全般のディレクションを担当。一方「BiNDシリーズ」の開発にプロジェクトマネージャーとして携わる

「日本のアプリ事業者に分析文化があまり根付いていない」

平田:はい、順調な立ち上がりと思われたんですが、実際にリリースしてみると、有料で契約したのにちゃんと使ってくれない企業も多かったんです。創業から3年たちましたが、日本のアプリ事業者に分析文化があまり根付いていないと感じます。私が2回目の起業の際に必至で分析ツールを使ったのは、「これをやらないと会社が潰れる」という危機感があったからなんだと気づきました。
 これがアメリカだと全然違います。グロースハックの専門部署が当然のようにあり、アプリに対するお客さんのカスタマージャーニーを細かく分けてきっちり分析しています。日本ではアプリの改善にカスタマージャーニーを用いてマーケティングのPDCAを行っている企業というのは数えるほどしか聞いたことがありません。
 有料ユーザーであっても、Reproを活用していない会社さんをそのまま放置してしまえば、契約が切られることになります。そこで、お客さんのところに出向いて、何故使わずに放置したままになっているのかを聞いてみました。すると、「ツールをどう使っていけばいいのかわからない」という声があがりました。そこでツールの使い方やアプリの成長のさせ方をサポートする組織(カスタマーグロースチーム)を起ち上げることにしました。

Repro

洪:その「ツールを提供したものの、うまく使いこなせていないお客様がいる」という課題は、多くの企業が抱えている課題でもありますね。
 機能改良を重ねて、サイトを思うように作るための機能を提供しているはずなのですが、ユーザーさんから「ホームページ制作をお願いしたい」というリクエストが来ることがあり、複雑な気持ちです。

平田:こと国内においてはツールの提供価値はさることながら、サービスを提供することが重要だと気づかされました。そのため当社では、スマホアプリに関する悩みはすべて解決できるよう、日々新たなサービスを開発しています。最近増えているのが、大企業からの「アプリを作りたい」という相談です。私自身、経営コンサルタントとして企業で勤務した経験もあり、依頼があった企業さんの本業を研究させていただいて、それをもとに新規アプリ開発を支援する仕事も増えています。
 自分の経営コンサルタントとしての経験、起業して失敗した経験があり、そこに現在の仕事がうまくリンクしています。

洪:ウェブだけではなく、現場での実践もあるわけですね。

平田:はい。お客様にツールを提供する、コンサルティングのような新しいサービスを提供するといったことをやっていくたびに、新しい課題も見つかります。これをどうすれば解決できるのか、まず自分達でやってみる。その中で良かったものを自分たちの中に取り入れていくというサイクルでできあがっているのがReproの強みだと思います。

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