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観光活性化を目指す「せとうちDMO」との業務提携を発表

ホームアウェイが瀬戸内エリアに民泊展開、外国人誘致で町おこしへ

2017年04月20日 10時00分更新

文● 佐藤ポン 編集●南田ゴウ/ASCII編集部

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ホームアウェイ日本支社長の木村 奈津子氏(左から2人目)、瀬戸内ブランドコーポレーション代表取締役社長の水上 圭氏(右から2人目)、瀬戸内ブランドコーポレーションマーケティングスペシャリストの木村 洋氏(右)、ホームアウェイ営業本部長の榎田 豪氏(左)

 世界最大の旅行サイト「エクスペディア」のグループ企業「ホームアウェイ(HomeAway)」が、瀬戸内地域の観光産業を目的として組織された「せとうちDMO」と業務提携を結んだ。

 ホームアウェイは米国テキサス州に本社を構えるバケーションレンタル企業で、世界190ヵ国、120万件の物件をオンラインで予約可能なプラットフォームを運用している。同社の特徴は大型の施設を多く扱っているところで、民家やマンション、ペンション、ヴィラなど、家族での旅行に最適な宿泊施設を提供している。

 昨今話題になっている“民泊”がゲストハウスやシェアハウスを提供するサービスなのに対して、「バケーションレンタル」は一棟貸しが主軸となる。

ホームアウェイ日本支社長の木村 奈津子氏

民泊サービスを行う競合企業「Airbnb」が若年層、ひとり旅をメインターゲットにしているのに対し、ホームアウェイは中年層、多人数の比率が高い。また、地方に強いのも特徴だ

ホームアウェイが得意とするのは、画像の赤枠で囲まれた宿泊施設。家族や2~3組のカップルでの旅行が想定されている

 4月19日に行われた記者会見で、ホームアウェイ日本支社長の木村 奈津子氏は「初めて訪日する外国人観光客は東京を好むが、2回目、3回目の旅は日本の自然や歴史、食文化などを経験するために地方を望む傾向がある」と語る。

 多様化する外国人観光客のニーズに応えるため、ホームアウェイは自然や文化、建築物などの環境が備わった瀬戸内地域に新たな宿泊施設を確保する。宿泊施設の開発は、せとうちDMOを運営する株式会社瀬戸内ブランドコーポレーションと、一般社団法人せとうち観光推進機構が担当。カバーするエリアは兵庫県、岡山県、広島県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県の7県だ。

 なお、DMOは「Destinations Management/Marketing Organization」の略称で、観光地を包括的に運営する組織。国内ではまだ知名度が低いが、世界の観光地ではすでにいくつものDMOが活動している。

国が2017年3月に発表した観光立国推進基本計画。外国人観光客のリポート比率を60%まで上げるという

外国人観光客をきっかけに地域の活性化を狙う

 瀬戸内ブランドコーポレーション代表取締役社長の水上 圭氏は「ただ観光で地元を盛り上げるだけでなく、我々のミッションは地域に稼ぐチカラを作ること」とコメント。そのきっかけとして、インバウンド需要が高まる好機にホームアウェイと業務提携を行ない、世界の観光客を呼び込んでいく。

瀬戸内ブランドコーポレーション代表取締役社長の水上 圭氏

 具体例として、愛媛県内子町の2軒の宿泊施設が紹介された。瀬戸内ブランドコーポレーション マーケティングスペシャリストの木村 洋氏は、大正時代に建てられた建物をリノベーションし、最大8人まで泊まれる施設「町家別荘こころ」と、明治時代に作られた蔵を改装した「ホテルこころ・くら」を紹介した。

 木村氏は「昨今、瀬戸内エリアを訪れる外国人観光客が増えている。彼らは歴史的建築物にとても興味があるため、古民家や古い町並みをエリアリノベーションさせ観光資源化していく」と計画を語る。2021年までに100棟の空き家の改装、年間5.5万人の新規宿泊旅行者を目標に掲げている。

日本好きの外国人だったら、建物を見ただけで大喜びしそうな宿泊施設。どちらも古い建物をリノベーションして作られた

「町家別荘こころ」の内装の一例

 開発費の負担は、せとうちDMOと7県の地方銀行などで組織された「せとうち観光活性化ファンド」を使用する。外国人観光客のニーズと流行を知り尽くしたホームアウェイのアドバイスを得ながら、宿泊施設やレストラン、カフェ、その他観光施設などを開発する計画だ。

 木村氏は「今回は瀬戸内エリアとの業務提携を発表したが、まずはこれを成功させ、今後は他の地方の業務提携先も探していきたい」と展望を語った。

ホームアウェイは250万人のファンを抱えるFacebookを使い、インバウンド向けのプロモーションを積極的に展開していく


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