常に、どの地域でも高いシェアを誇る
米アイロボットのコリン・アングル会長兼CEOは「米国でのロボット掃除機の世帯普及率は9%。これをいまの3倍となる20%台後半にまで引き上げたい。そうした世帯普及率に到達するのであれば、違う価格帯の製品なども必要になるだろう」などと語る。
アングル氏が強調するのが、これまでのロボット掃除機の市場成長にあわせて、アイロボットは高いシェアを維持しつづけていることだ。
2012年のロボット掃除機の構成比は、掃除機市場全体の13%。これが2016年には21%に拡大。年平均成長率は21%増となっている。
2013年に全世界のロボット掃除機市場において66%のシェアを獲得していたアイロボットは、2014年には63%、2015年は63%、2016年には64%と高いシェアを維持し続けている。市場は拡大しても、3台に1台はアイロボットという水準はまったく変わらないのだ。
とく北米市場では88%、EMEA市場では76%という高いシェアを獲得。中国を中心とするAPAC(日本を除く)市場でも、後続での参入となったものの、40%とトップシェアを持っている。
「市場が成長するのにともない、パイオニアとなった企業はシェアを落としていく。だが、アイロボットにはそれがない。ルンバは常に進化を遂げており、優れた製品を生み出すことに繰り返し挑戦してきた結果である」と胸を張る。先に触れたように、日本市場でも55%のシェアを持っている。
ルンバは2002年に第1号機を発売して以来、これまでの15年間に全世界で1500万台以上を出荷。日本でも200万台以上を出荷しているという。ロボット掃除機市場を創出した同社は、いまでもトップランナーであり続けている。
「ほかにこんな製品はない」と感じたビデオ
一方挽野氏は、アイロボットの社長に就任した理由を「アイロボットが制作したビデオにあった」と切り出す。
「このビデオでは足を悪くして掃除に困っている人が、アイロボットの製品によって、充実した生活を過ごしていることを紹介。ユーザーが自分の家族のように、ルンバやブラーバと接している姿を映し出していた。この様子をみて、ほかにこんな製品はないと感じた。悩みを持っている人に、少しでも充実した時間を提供することができる。そうした気持ちを持って仕事をしたいと考えた」とする。
そしてもうひとつの理由が、アイロボットがこだわる「人間性とロボティクスの融合」だという。
「アイロボットの本社があるマサチューセッツ州は世界の知が集まる場所。そこにおいて、アイロボットが目指しているのは、人間性とロボティクスの融合。アイロボットのロゴマークのiは人間を意味し、Rはロボットテクノロジーを意味する。より人間らしく仕事をするためにはどうすべきかを常に考えている企業であり、社員一人ひとりが製品を愛している。人々の生活を豊かにすることを考えている社員ばかりである」とする。
アングル氏は「アイロボットは、世界一のロボットカンパニーを目指して設立した企業。ロボットとデータのエコシステムを活用しながら、インテリジェントスマートホームを実現する企業になりたいと考えている。ルンバによって手足がないロボットでも、忙しい人に変わって掃除ができるという新たな世界を実現した。アイロボットはテクノロジーカンパニーではなく、変革と破壊をもたらす企業である。たゆまぬイノベーションにより成長を維持し、よりよい生活を維持する企業でありたい」と語る。
アイロボットの進化はこれからも続きそうだ。
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