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米シリア攻撃はわずか3日間で世界を変えた

2017年04月17日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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米中首脳会談を挟み、わずか数日の間に世界は動いた。トランプ米大統領の登場で大国間の緊張は高まるといわれたが、一気に現実のものとなったのだ。世界経済はどう動くのだろうか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子、片田江康男、清水量介、竹田孝洋)

 後に振り返ってみると、2017年4月の3日間は大きな歴史の転換点となっているかもしれない。

 4月6、7日、米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席は会談に臨んだ。その直前に、米国はシリアの空軍基地をミサイルで攻撃。攻撃の目的は、化学兵器を使用したとされるシリアのアサド政権への制裁だ。

 ただし、シリアへの攻撃は過激派組織「イスラム国」(IS)打倒優先という米国の中東政策の「変更ではない」(畑中美樹・インスペックス特別顧問)。化学兵器使用は、米国にとって絶対に越えてはならないラインだということを分からせることが目的だったのだ。

 一方で、大きく揺らぐのはロシアとの関係だ。アサド政権を支援するプーチン大統領は、米国の攻撃を「国際法違反に当たる」「米ロ関係を損なう」と非難した。トランプ大統領は親ロシアとの見方もあったが、「ロシアとの関係は悪くなるだろう。もともと米国内には親ロシア路線は国益に反するという声が大きかった」(畑中顧問)。

 さらに、事態は動く。8日には、米原子力空母「カール・ビンソン」が北上を開始し、北朝鮮へ向かい始めた。対する北朝鮮は米国に先制攻撃の兆候があれば「核攻撃をする」と警告している。

 わずか3日の間に、世界を大きく揺るがす事態が起こっているが、その起点はトランプ大統領の決断にある。ところが、そのトランプ陣営では内紛が続いているのだ。

 宮家邦彦・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹は、トランプ陣営は「選挙モードのトランプ1.0のグループ」と「統治モードのトランプ2.0のグループ」に分かれると言う。前者は白人低所得者の支持を得るため常に過激な主張と行動を取り、後者は地に足の着いた決断をするが支持者からは不人気な政策が多くなる。シリア攻撃をめぐっても争いがあったとされ、「トランプはこれからも両者の間を揺れる」(宮家研究主幹)。

 すでに米ロの関係は悪化した。そして、習国家主席が穏健路線を取るのは秋の党大会までという見方もある。ただでさえ具体的な成果の少ない首脳会談をシリア攻撃でさらにかすませ、北朝鮮にも強硬な態度を取る米国に習国家主席は顔に泥を塗られた形だ。秋以降、政権の地盤を固めれば、米国への態度を硬化させることもあろう。

 今後、米国vs中国、米国vsロシアという構図に世界経済と市場は揺り動かされそうだ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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