このページの本文へ

パナの家庭用宅配ボックス、再配達問題で売上5倍に

2017年04月11日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
需要が急増した旧タイプ(左)。三つの新タイプは、6月以降に延期 写真提供:パナソニック エコソリューションズ社

 来年3月に創業100周年を迎えるパナソニックで、“珍事”が起こった。

 4月3日、パナソニックで住宅設備事業を担うエコソリューションズ社は、販売開始から10年目を迎えた「戸建住宅用宅配ボックス」シリーズに三つの新タイプを加えるはずだったが、直前の3月28日になって急きょ延期された。

 なぜなら、大々的に打ち出した3月6日以降、世間一般の関心が“宅配便の再配達問題”に集中したことによって、宅配ボックスの利便性を知った消費者からの注文が殺到したからだった。今年2月までの月間平均販売台数は400~500台だったが、3月中だけで2000台以上も売れ、通常の5倍以上の売り上げとなった。

 この急激な需要の増加を受けて、自社生産していなかったエコソリューションズ社は、京都府にある唯一の協力工場の生産能力を月産1300台に増強させてフル稼働していた。それでも製品の供給が追い付かず、新タイプの発売を引っ込めて、旧タイプの生産に専念せざるを得なくなったのだ。

 現時点では、旧タイプの納品が「1~2カ月待ち」だが、混乱が収まれば、6月1日から新タイプを発売するという。それらは、(1)住宅の壁に埋め込む郵便ポスト一体型ボックス、(2)屋外に設置する郵便ポスト一体型ボックス、(3)アパート用のボックスである。

一戸建てでも普及するか

 エコソリューションズ社にとって、宅配ボックスは25年も前から取り組んできた製品である。1992年、松下電工だった時代に開発された宅配ボックス(電動式)は、市場への投入が早過ぎて苦戦が続いた。状況が一変したのは、2008年に新しい宅配ボックス(機械式)が登場してからだ。

 現行の宅配ボックスは、アルミ合板を主体としたシンプルな筐体で、容量によって大きさが異なる4種類がある。配達業者は、表のボタンを押して蓋(ふた)を開け、荷物を入れた後はスイッチを下げて蓋を閉める(外側から見ると、「荷物が届いています」と赤く表示される)。差し込み口に配達伝票を入れると、1回だけ捺印されるという仕組みだ。電気工事が不必要なことから設置が簡単になった。

 現在、一戸建て住宅用の宅配ボックスは、国内ではLIXILグループなど8社が生産している。市場が存在しなかった25年も前から取り組んできたエコソリューションズ社は、推定で国内最大の約60%のシェアを握るとみられる。

 今日、首都圏の新築マンションでは、宅配ボックスのない物件はほとんどない。同じように、一戸建て住宅でも「一家に一台」として定着させられれば、社会の要請にも応えることができる。

 地味な住宅設備の世界で、“意図せずして社会現象に乗れた製品”はあまり例がない。今後は、大波に乗り続けるための構想力が問われる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事

ASCII.jp特設サイト

最新記事

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

アスキー・ビジネスセレクション
ピックアップ