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リセラー契約を日本法へ、管轄裁判所も東京地方裁判所へ変更可能

NECとNTTデータも登壇!AWSJが2017年のパートナー戦略発表

2017年04月07日 16時50分更新

文● 大河原克行

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4月7日、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSJ)は、同社のパートナー戦略について説明。AWSJ パートナーアライアンス本部の今野芳弘本部長は、「2017年のパートナー戦略では、ITトランスフォーメーションとデジタルトランスフォーメーションの2つのトランスフォーメーションに取り組み、これをパートナーとともに加速することになる」とした。

APNパートナーの数はこの1年で85社増加

 同社によると、日本国内のAPNパートナーはこの1年で85社増加。SIerなどによるコンサルティングバートナーが170社、ISVテクノロジーパートナーが236社となった。また、新たにNECおよびNTTデータが最上位のプレミアコンサルティングパートナーに昇格。国内のプレミアコンサルティングパートナーは、アイレット(cloudpack)、クラスメソッド、NRI、サーバーワークス、TISを含めて7社になったという。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン パートナーアライアンス本部の今野芳弘本部長

 パートナー戦略のひとつの柱となるITトランスフォーメーションでは、エンタープライズシステムの移行構築能力の向上支援、パートナーとの協業体制強化による移行促進、大型案件につながるソリューション軸の強化、真のクラウド活用を提案するためのトレーニングの拡充をあげた。

 「ERPをはじめとする業務アプリケーションのビジネス拡大、商用データベースからの解放の促進、データセンター移行の推進により、大型案件の獲得につなげたい。サーバーの置き換えではなく、ビジネスプラットフォームとしてのクラウド活用提案を行なう」(今野氏)とした。

ITトランスフォーメーションとデジタルトランスフォーメーションのパートナービジョン

 もうひとつの柱であるデジタルトランスフォーメーションでは、イノベーション領域の拡大と、IoTおよびDevOpsの拡大支援に取り組む。ここでは、AI関連サービスのパートナー支援や、サーバーレスアーキテクチャーの普及および拡大、Amazon RekognitionやAmazon LeXなどの新サービスの利用支援、関連トレーニングの充実を図るほか、IoTおよびDevOpsについては、専任者のアサインや案件支援の強化、コンピテンシーの認定促進、関連サービスデリバリープログラムの認定促進、プロモーション強化などに取り組むという。

米国法に準拠していたリセラー契約を日本法に変更可能に

 さらに、パートナープログラム「AWSパートナーネットワーク(APN)」の強化についても触れた。

 AWSのサービスおよび製品による顧客事例を持ち、一定の実績を持つパートナーを認定する「AWSサービスデリバリー」を新たに開始。「取得パートナーを増やすとともに、セミナーなどを通じて、顧客から選択されるための支援を加速する」とした。AWSサービスデリバリーは、AWSの各種サービスを得意とするパートナーを認定するもので、当該サービスの1年以内の事例が2つ以上あることと、使用実績をもとに審査するという。現在は、Amazon Auroraに関して、認定を取得する国内パートナーが多いという。

AWSサービスデリバリープログラム

 また、専門技術分野や特定市場分野におけるソリューションの実力と顧客成功事例を持つパートナーを認定するAWSコンピテンシーでは、新たに金融サービス、政府、IoT、移行のコンピテンシーを追加した。そのほか、コンサルティングパートナーを対象に、次世代MSPに対応できる体制へと育成を行うとともに、セキュアで、安定運用が可能なAWSサービスの提供に向けて、MSPパートナープログラムの認定パートナーの拡大に努めるという。

 一方で、同社では、リセラープログラムのアップデートのひとつとして、これまで米国法に準拠していたリセラーとの契約を、日本法に変更できるようにしたこと、さらに、管轄裁判所を東京地方裁判所に変更可能とすることができるようにしたことを明らかにした。「これは、リセラーから要望が多かったものであり、センシティブなエンタープライズユーザーなどにも日本の法環境の下で対応できるようになる。また、特定の業界規制が関係する案件についても、パートナーと密に連携した取り組みを行っている」(今野氏)。

リセラー契約を日本法に変更可能に。管轄裁判所も東京地方裁判所に変更できる

 また、「パートナーとともに、ニューノーマル(新たな常識)をお客様へ提供するという基本方針は変わらない。AWSにとって、パートナーエコシステムは、大切な競争力を持つものであり、進化を続けている。AWSの対象市場の成長が続いているなかで、パートナービジネスの拡大余地が大きい」と述べた。

新プレミアコンサルティングパートナーの2社がAWSへの取り組みについて語る

 今回の会見では、2016年12月に新たにプレミアコンサルティングパートナーとなったNECとNTTデータの2社が、両社のAWSへの取り組みについて説明した。

 2012年からAPNに参加しているNECは、「AWSを利用するユーザーの取り組み方がかなり変わってきた。SoEへの投資が拡大しており、ダイナミックな要求に対応していく必要がある。顧客のスピードについて行ったり、要求にタイムリーに応えるには、AWSが得意する大量データのハンドリング、迅速なリソース提供、グローバル展開が重要になる。そこでAWSとの共創を進めている。NECとしても、第2段階へとステップアップを行い、技術者の育成とともに、業界ごとのマイクロサービスをAWS上で提供することも考えている。今後2年間で累計120億円の事業目標を掲げているが、それの計画を上回りたいと思っている。現在、約100件のパイプラインがあり、これをAWSとともにクロージングしていく」(NEC SI・サービス市場開発本部の川井俊弥エグゼクティブエキスパート)とした。

NEC SI・サービス市場開発本部の川井俊弥エグゼクティブエキスパート

 同社には、200人以上のアソシエイトクラスのAWS技術者がいるが、これを倍増するとともに、認定資格の最上位であるソリューションアーキテクトプロフェッショナルを、2017年度中に50人体制に拡大する考えを示した。

 また、NTTデータでは、「2011年頃から、当社ユーザーにおけるAWSの利用が始まっており、2年前まではコスト削減目的が多かった。だが、ここにきて、新規事業での利用、グローバル企業での利用も増加している。ECONO-CREAやBizXaaSオムニチャネルといったソリューション基盤にAWSを利用している。スモールスタートをしたいという要求に対応できること、先進的機能が続々と追加されていることが新規事業の利用などでAWSが適している理由になっている。社内では、AWSの事業推進組織を設置し、クラウド利用および技術者育成に取り組んでいるが、顧客からの要求が多く、技術者が足りないという状況にある。社内での技術者育成だけでなく、NTTデータのビジネスパートナーやAWSのビジネスパートナーとの連携を進めることで解決したい。今後は、公共、金融分野への取り組みを加速したいと考えており、政府統一基準に準拠したセキュリティリファレンスをAWS上に展開した。事例を1つでも増やすことで、公共、金融分野における安心感を提供したい」(NTTデータ ビジネスソリューション事業本部データセンタ&クラウドサービス事業部の濱口雅史事業部長)と語った。

NTTデータ ビジネスソリューション事業本部データセンタ&クラウドサービス事業部の濱口雅史事業部長

AWSがベンダーロックインという競合の指摘に反論

 一方、AWSJでは、最新の数字についても公表。190カ国で、数100万人のアクティブユーザーがおり、日本では数万のユーザーが利用。2016年度には、前年比55%増の高い成長を遂げ、122億ドルのビジネス規模を誇っていること、16地域に42のデータセンター群を持ち、2006年のビジネス開始以降、59回の値下げを行ったこと、2016年には1017の新製品、新機能を発表。現在、95以上のサービス群を提供していることを示した。今野氏は、「モバイルやIoT、人工知能などの領域が増加しており、これらの部分をパートナーとともに強化していく」と発言。さらに、「金融機関がAWSを採用するという例が非常に増えており、エンタープライズユーザーの拡大が顕著になっている。米国では、フィンテックに関しては、AWSが主流になっている。デジタルトランスフォーメーションやITトランスフォーメーションといったトレンドにも対応することができる。もはや、AWSが提供するクラウドは、ビジネスプラットフォームになっている」とした。

 質疑応答では、AWSがクラウド環境におけるベンダーロックインを進めているとする競合他社の指摘に対して反論。AWSJの今野氏は、「ベンダーロックインという言葉はいまでも有効なのかという疑問がある。オンプレミスで使われていた商用データベースはベンダーロックインではないのか。それ事態がベンダーロックインである。いまは、商用データベースから離れて、AWSに移行したいという要望が多い。最新の優れたものを使いたいという要望が高まっており、AWSはその要望に対して、新たな機能によって対応する。AWSを使用してもらいたい」と発言。

 NECの川井エグゼクティブエキスパートは、「AWSはベンダーロックインになるという声は顧客から聞かれる。NECは、ミドルウェアやSIの観点からは、プラットフォームフリーを打ち出し、要望に応じて適材適所で使っている。NECには、オンプレミスでの提案を含めて、クラウドの使い分け提案の方針がある」とコメント。NTTデータの濱口事業部長は、「ベンダーロックインの話はよく言われるが、ITインフラ領域では、オンプレミスでの経験を含めて、個別の話し合いになることが多いが、ソフトウェアの領域では、オープンソースが普及していくと考えている。移植性が高い作りにしていくことが大切である。当社の場合、AWSを選択するユーザーが圧倒的に多いが、ベンダーロックインは、最重要課題にはなっていない」と説明した。

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