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開発当初と今では全然違う製品

ホームネットワークセキュリティー「BOX」開発者インタビュー「ユーザーからの意見を受け止め改良し続ける」

2017年03月30日 17時00分更新

文● 八尋/ASCII

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Bitdefender BOXを開発したBitdefentderのBoxシニアプロダクトマーケティングマネージャーのトニー・アンドレイ氏、チーフセキュリティリサーチャーのアレクサンドル・バラン氏にインタビューしてきた

 Bitdefenderから登場したホームネットワークセキュリティー「Bitdefender BOX(以下、BOX)」(関連記事)。これ1台で、家庭用ルーターを含むホームネットワーク上に存在するすべてのインターネット接続が可能なデバイスを検知し、脆弱性を発見したり、危険性のあるウェブサイトへの接続や外部からの攻撃、侵入などから保護できる。

Bitdefender BOX

 パソコンやスマートフォンに加え、スマートテレビやゲーム機、ウェブカメラ、スマート家電など、IoT機器を含めたセキュリティー対策が、BOX1台でこなせてしまうのが特徴となっている。今回、BOXを開発したBitdefentderのBoxシニアプロダクトマーケティングマネージャーのトニー・アンドレイ氏、チーフセキュリティリサーチャーのアレクサンドル・バラン氏に、BOXの特徴や開発時の苦労話などを聞くことができた。

どんなタイプの人にもメリットがある製品

ーー今回、ソフトではなくハードウェアという形でセキュリティー製品を開発しようと思ったのですか?

トニー・アンドレイ氏(以下、トニー):マーケットに出ているルーターやウェブカメラなどのIoTデバイスには、パソコンのようにセキュリティーソフトウェアーをインストールしてセキュリティーを提供することができません。それらのデバイスを守っていくかということになると、それぞれのデバイスに対してソフトウェアを開発するのも1つのアプローチなんですが、それでは時間がかかってしまいます。ですので、こういうハードウェアーというかたちでホームネットワーク全体を守っていくという形にいたりました。

 また、BOXはハードウェアですがソフトウェアの要素ももっています。ソフトウェアが入っていますので、パソコンやスマートフォンに使うことができるソフトウェア要素もありますし、クラウドの要素もあり、クラウドを使うことで高度な最先端のアンチマルウェア対策を行なうことができます。アプリもありますので、全体のシステムも管理できます。

ーーBOXの強みを教えてください。

BOX1台でパソコンやスマートフォンに加え、スマートテレビやゲーム機、ウェブカメラ、スマート家電など、IoT機器を含めたセキュリティー対策が可能

トニー:どんなタイプの人にもメリットがある製品だと思っています。簡単にセキュリティー対策ができるというふうにいえますし、家にあるすべてのデバイスに対してセキュリティーソリューションをインストールできます。自分のデバイスだけでなく、配偶者の製品にも1つ1つにソフトウェアをいれるのは手間も時間もかかりますから、その必要がないのは強みです。

ーーアメリカで発売されたとき、BOXはどういった人をターゲットにしたのですか?

トニー:アメリカでは2年前に発売したのですが、最初のステップでは、技術が大好きという人をターゲットにしました。技術に詳しい人というのはある意味専門家なので、影響力もあると考えたのです。技術に詳しい友達がいたら、買い物をするときに相談すれば的確な答えを出してくれます。そうやって、技術に詳しい人たちからそうでない人たちにBOXの情報が伝わっていけばいいなと考えました。

 また、最初に調査やインタビューを行なって、得たフィードバックを反映して微調整し、ローンチしていくという方法をとりました。合理的な人は、きちんとフルに開発されるまで待ちます。製品を購入するときに、専門家のアドバイスやレビューを読んで、購入するという形をとるので。

ーー最初の調査やインタビューからのフィードバックを受けてどういったことを変更したのでしょうか

ユーザーからのフィードバックを受けて、同社が販売する「Bitdefender Total Security Multi Device」を付属することを決めたという

トニー:最初にローンチしたときは、軽いエンジンで展開していこうと思っていました。しかし、ユーザーからのフィードバックで「セキュリティーのソフトウェアがパワフルなんだから使った方がいい」という意見が多かったので、採用しました。また、エンドポイントセキュリティーも初めは搭載していなかったです。

ユーザーたちからのフィードバックを重要視して真摯に受け止め、改良し続けている

ーーアメリカで発売したときは、ユーザーからはどんな反応がありましたか?

トニー:ローンチしたての数か月は、BOXはこれまでにないような製品ですし、100%完全な状態ではなかったので、100%前向きな評価ではなかったです。ただ、フィードバックを受け止めて改良していくうちに、レビューの評価がだんだんよくなっていきました。

 転んでも起き上がって前に進むことが大事なんです。BOXは製品をどんどんバージョンアップしていくことに力を入れていますので、ユーザーたちからのフィードバックを重要視して真摯に受け止め、改善のための変更を反映していったことが高評価につながったと考えています。

ーーフィードバックは日本でも行なう予定ですか?

トニー:そうですね。BBソフトワークスさん経由で話をいただき、できればすぐに直したりもします。今は、ローカライズの準備をしていて、対応ルーターを増やしているところです。日本のマーケットの状況をできるだけ把握してもらって、できるだけ多くのルーターなどをカバーできるようにしていきたいとは思っています。

ーー開発するうえで苦労したことを教えてください

トニー:苦労は色々ありました。一番苦労したのはセットアップの仕方です。家庭によってデバイスの種類や数が違うので、ネットワークの形も様々です。それに対応できる設定の仕方を3つ用意しました。設定するうえで重要なのは、できるだけ簡単に自動でルーターや様々なデバイスに統合できるのが一番いいと考えました。これは今でも継続して取り組んでいる課題です。

アレクサンドル・バラン氏(以下、アレクサンドル):最初にローンチしたときと今では本当に大きく変わりました。別の商品といっても過言ではないくらいです。ずっとハードウェアを開発している会社だと、ノウハウがあると思いますが、BOXは弊社にとってハードウェア第1号なので、これまでにないほど細部まで気にしながら時間をかけてデザインや重さを決めていきました。

 初めての経験だったので、スムーズにいかないこともありましたが、いい経験だったと思っています。ちなみに、当初制作したプロトタイプは今とは異なり、現在よりもう少し丸みを帯びたデザインでした。

ーーデザインにもかなりこだわられたんですね

アレクサンドル:そうですね。また、素材にもこだわりました。工場でプラスチックの成分の比率はどのくらいがいいのかなども検証しました。化学物質の合成比によって、色の経年劣化の度合いなどが変わってきますから。

ーーIoT製品では、Bluetooth Low Energyのモジュールのみを備えた製品も出てきています。Bluetooth接続の機器への脅威ってあるのでしょうか。また、BOXでは対応するのでしょうか

トニー:もちろんBluetoothへの脅威はありますが、Bluetoothの場合は近くにいないとハッキングできないケースが多いんです。BOXは、まずは今現在カバーされていない広大な脅威に対応しようというコンセプトで開発してきましたが、その範囲にも収まらない脅威については、今後対応していこうと考えています。

ーー最後に、BOXとは一言でどういった製品なのでしょうか

アレクサンドル:「すべてのつながるデバイスにネットワークセキュリティーを」です。

ーーありがとうございました

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