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ASCII STARTUP 今週のイチオシ!第53回

顧客の感情を解析して経営改善を支援するクラウドサービス「Emotion Tech」

2017年03月31日 07時00分更新

文● 柳谷智宣 聞き手・編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●曽根田元

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 「すべての人々が生き生きと働ける社会を作る、というのをミッションに、その実現のためにサービスを出している」と語るのは、株式会社Emotion Tech(エモーションテック)の代表取締役である今西良光氏だ。

 株式会社Emotion Techは、顧客の声を起点として経営課題の解決を支援するサービスを展開。創業は2013年3月で現在5期目。ビジネスモデルの転換に基づき、2016年11月に社名を変更するなど、紆余曲折を経ている。今回は、Emotion Techというサービスの生い立ちから、理念、そしてビジネスの展開について伺ってみた。

株式会社Emotion Tech代表取締役の今西良光氏

「全然私のこと見ていない」ショックを受けたユニクロでの原体験

 Emotion Techは、2016年11月に社名を変更したばかり。以前の社名は、株式会社wizpra(ウィズプラ)という。wizpraでは、従業員同士のコミュニケーション活性を高めるアプリを提供していた。

 「従業員がお互いをほめるサンクスカードと言う仕組みのアプリ版を作っていた。『with praise(ウィズプレイズ)』、つまり『褒めるを付加する』という概念だった」(今西氏)

 実は、今西氏の前職はユニクロ。ある大きな店舗のマネージャーをしていたそう。もちろん、部下の評価も仕事の一つ。そこで、ショックを受けたことがあった。

 「マネジメントはみんなの力を引き出すことが重要で、コミュニケーションが必要。でも自分は業務が死ぬほどあるという中で、ひとりひとりをじっくり見られなかった。その状況で人事評価をしていたあるとき、従業員に『今西さん、全然私のこと見てないじゃないですか』と泣きながら指摘された。僕の断片的にしか見えてない世界からすると、その子はあまり元気がなかった。でも、周りの従業員に聞いたら、実はその子は常連客が付くくらい、お客さん対応をちゃんとやっていた。社内向けの顔はよくなかったが、仕事に対して真剣に取り組んでいた。だから悔しかったのだろう。偉そうに評価をした自分に対してショックを受け、このミスマッチを何とかできないかとその後もいろいろやったが、既存の仕組みの中ではできなかった。そこで、外から仕組みを作ることをやりたいと思って退職し、起業を志した」(今西氏)

 しかし、当初は思うようにビジネスが立ち上がらなかった。顧客に受け入れられなかった理由は、サービスによるROI(投資利益率)をきちんと見込めるかを提示できなかったことだと言う。経営者は、いくら投資したから、どのくらい利益が上がるのか、というところを気にするが、”従業員コミュニケーション”という定性的なものはそう簡単に消化できなかった。そんな悩みを持っているときに、今西氏はNPSという概念に出会う。

サンクスカードアプリから感情解析サービスへ転換

 「あなたはこの商品を親しい友人や家族にどの程度すすめたいと思いますか? 0~10点で点数を付けてください」という質問を受けたことはないだろうか。これがNPSを計測するための質問だ。

 NPSとはNet Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)の略で、顧客のロイヤルティーを数値化するマーケティング指標。当然、スコアが高い方が、高い収益や成長率が見込めるのだ。NPSはアメリカのコンサルファームが作った指標で、スコアを集計するのは、アンケートに答えてもらうだけなので実はカンタン。

 「アンケートの際、同時にNPSのスコアを付けた背景は何かというデータを取って、回答者のユーザー属性などと一緒に数理統計を用いて因子分解する。その因子が、スコアに対してどれくらいプラスもしくはマイナスに影響しているのかをしっかりとつまびらかにできる。ここのノウハウが重要で、我々にとって武器になった」(今西氏)

 それまでwizpraの営業をしていて、経営者は顧客と自社のコミュニケーション、つまり顧客が何を考えているのかを知りたい、というニーズを持っていることがわかっていた。そもそもwizpraをその方向に使えないか、という相談もよく受けたそうだ。そこで、2014年8月にwizpra NPSという名前で、NPSの考え方を取り入れたCSの可視化サービスをスタートした。

 「もちろん最初はどうやってデータを料理すればいいのかわからないので、『顧客の声をリアルタイムで見える化できます』という価値提供のみだった。だがその後、データ解析の技術を磨くことで、ロイヤルティーに影響している因子がわかるようになってきた。データが集積され、因子分解のノウハウが社内に蓄積されたころから、大企業が調査や分析に自社リソースを使うくらいだったら、我々に頼んだ方がコストも安いし、内容も深いという流れになった」(今西氏)

 結果ビジネスモデルをピボットすることにして、wizpraという名称のコンセプトとは異なる切り口のため、EmotionTechというサービス名にして、会社名も変えたというわけだ。

 Emotion Techのサービス標準価格は月50万円で年間契約が基本。1年間サポートして、600万円からという価格帯だ。現在、トータルで約170社が契約しているとのことだが、ほぼ大企業とのこと。

 「我々のサービスは、中途半端にやっても意味がない。企業の求めるところを設定し、継続的にウォッチしていくことで初めて意味があること。それを伝えて、納得頂けたら導入していただている」

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