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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」第157回

Adobe Summitで見た人工知能によるマーケティングの変化、そして「型」を作るいうこと

2017年03月23日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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Adobe Summitの基調講演に立つAdobe CEO、シャンタヌ・ナラヤン氏。「顧客体験」を議論するイベントには、12000人の参加者がラスベガスに集まり、年々規模と熱気が高まっている

 北カリフォルニアは再び雨の1週間に逆戻りしてしまいました。しかしネバダ州ラスベガスはすでに30度。肌寒さが残るバークレーから比べると、カラリと暖かい気候に体も癒されます。

 アメリカの新学期は9月ですが、幼稚園以来20年近く、「4月からの新学期」という生活をしてきた筆者にとっては、4月は気持ちも新たにという思いも強いものです。皆さんは新生活に向けての準備はいかがですか。どうやら、真っ赤なiPhoneも発売されるようですが。

Adobeのマーケティング分野が、あらゆる理由を作る

 Adobeというと、PhotoshopやIllustratorといったクリエイティブアプリのイメージが強いかもしれませんが、Omnitureという企業を買収して取り入れたデジタルマーケティング分野の成長が著しく、現在ではAdobeの売上の4割を占める存在となりました。

 今回のAdobe Summitには12000人が参加と、年々規模も大きくなってきています。今回のメッセージは「Experience Business」。顧客体験を向上させることが、価格競争を脱却し、顧客との関係性を深め、持続的に成長するビジネスの構築への近道であるということです。

 これまで、Adobe Marketing Cloudとしてさまざまなソリューションを束ねてきましたが、今回はさらにその上位概念となるAdobe Experience Cloudというブランドが登場しました。ここには、他のクラウドラインアップであるCreative CloudやDocument Cloudとの連携も行なわれ、体験を構築するビジネススタイルを、Adobeが一挙に引き受けようというメッセージを打ち出してきたわけです。

クリエイティブとデータをマッシュアップする

 さてAdobeは、秋にCreative Cloudのイベントの「Adobe Max」を開催しています。Adobe Maxでは「Adobe Sensei」と言われる機械学習のブランドが発表され、クリエイティブに限らずAdobe横断的に、この名前が活用されるようになりました。今回の基調講演にも、もちろんAdobe Senseiが登場していました。

コンテンツとデータの関係性について説明するAdobe CTO、アベイ パラスニス氏

 Adobeの人工知能、機械学習の強みは、クリエイティブを深く理解している、ということです。画像や映像の理解はさることながら、さまざまな創作のパターンと加工ツールが備わっています。

 そうしたノウハウが活かされているフォトストックサービス、Adobe Stockでは、人物を見つけるにも年齢層や性別、人種、人数、表情などが細かくタグ付けされ、的確な1枚を見つけ出すことができます。

 また、レイアウトデザインを自動化する仕組みなども備わっています。成立しうるデザインのパターンを心得ているのがAdobeのクリエイティブと機械学習のポイントと言えるでしょう。

 他方、マーケティングサイドでは、ウェブサイトを訪れた人が一体どんな人なのかというプロファイルを行ないます。ユーザー登録をしていなくても、他のウェブサイトへのアクセス状況などを鑑みて、どんなプロファイルなのかを割り出します。

 こうした2つの要素、つまりクリエイティブとマーケティングデータが組み合わさるとどうなるか。

 たとえば30代後半の男性でテクノロジーが好き、という人がラスベガスに行こうとして航空会社のウェブサイトにアクセスしてきたとき、機内でノートパソコンを開いている写真をストックフォトから引っ張りだし、「空の上でもつながり続ける」みたいなメッセージが出てくれば、機内Wi-Fi完備を航空券予約のアピールポイントに設定できます。

 一方で、20代前半の女性が同じサイトにアクセスしてきたら、ラスベガスの夜景やショッピングを楽しんでいる写真と、「自分らしく楽しむ」といったメッセージで、ベガスで楽しむ私をイメージしやすく訴求することができるでしょう。

 このようなプロファイリングによるクリエイティブの切り替えを自動的にできるようにしているのが、Adobeが考えるクリエイティブとマーケティングの連携の初歩です。

 こうしたことが、ウェブサイト、アプリ、そして実際の店頭で起きるようになる。それを積み上げることで、顧客体験を想像できる、まったく新しい“デジタルカンパニー”を作り上げようとしているのです。

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