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4つのベンチマークとデモの結果からわかる835の実力

Snapdragon 835の実力はいかに!? 現行最高のiPhone 7 Plusの性能も凌駕

2017年03月22日 20時30分更新

文● 石野純也 編集●ゆうこば

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ベンチマークでは出ない実力をデモで確認
ギガビッドLTE環境下では従来機にも影響が出る

 しかし、ヘテロジニアスな処理を売りにするSnapdragon 835にとって、ベンチマークはあくまで指標の1つでしかない。CPUやGPUの性能を測るための物差しでしかないというわけで、クアルコム側もそれは認める。

 こうしたベンチマークの数値では表せない結果に関しては、デモコーナーでその詳細を解説していた。

 ギガビットLTEについては、米国でのシミュレーション結果を展示。LTEはカテゴリーが段階的に分かれており、それによって対応する機能や速度が決まる。ギガビットLTEは、LTEのカテゴリー16という位置づけだ。これが、過去のカテゴリーと混在した際や、カテゴリーごとの比率を変えたときに、スループットにどう影響を与えるのかというのが、このデモの目的となる。

 たとえば、カテゴリー16(下り最大1Gbps)の端末が7%、残りが93%の場合、カテゴリー6(下り最大300Mbps)の端末で52.8Mbps、カテゴリー16の端末で93.38Mbpsのスループットが出る。

 この割合を変更し、カテゴリー16の端末が十分普及して40%まで上がると、カテゴリー16では107.88Mbps、カテゴリー6では72.45Mbpsになる。いずれのカテゴリーでもスループットの向上が見込めており、これは周波数の有効利用ができていることを意味する。単に対応端末の速度が上がる以上に、導入するキャリアにとってもメリットがあると言いたいわけだ。

1Gbps対応の端末が増えると、全体としてスループットが上がることが分かる

高速通信は、大量の帯域を必要とする360度動画の配信などに役立つ

HDR・VR・オーディオなどのサポートや
セキュリティー機能の拡充もはかる

 また、Snapdragon 835は映像のコントラストを高める「HDR10」に対応。VRに関しては、モーショントラッキングやセンサーによる移動距離の測定にも対応している。

 従来型のモバイルVRだと、体の動きまでは映像に反映できなかったが、Snapdragon 835を利用すれば、こうしたコンテンツも作成できる。クアルコムが「没入感」を売りにしているのは、そのためだ。オーディオも同様に、「Aqstic Audio Codec」に対応し、ネイティブDSDの再生にも対応する。

「HDR10」に対応。VR用のリファレンスデザインも用意する

 セキュリティーは、インカメラと赤外線カメラの2つを使った光彩認証をサポート。音声認証や指紋センサーにも対応しているほか、機械学習を使い、未知のマルウェアを検知する機能も備える。

 このほか、カメラで捉えた物体を認識したり、音声を学習してノイズ環境下での反応率を上げたりといった、機械学習を用いた機能も展示されていた。これらの機能もSnapdragon 835がサポートしている。

光彩認証や音声認証のほか、未知のマルウェアに備えることも可能だ

機械学習にも対応。カメラに写るものを特定したり、音声認識の精度を上げたりといったことに活用できる

 現時点で最高峰のパフォーマンスを誇り、通信も下り最大1Gbpsで高速。しかも映像、音楽、セキュリティーなど、用途に合わせた機能も用意しているのが、Snapdragon 835の実力だ。プレミアムな端末に搭載するのに、ふさわしいチップセットと言えるだろう。これを搭載した端末が発売されるのが、いまから楽しみだ。

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