このページの本文へ

IoT&H/W BIZ DAY 3 by ASCII STARTUP

IoT&H/W BIZ DAY by ASCII STARTUPセッションは未発表情報満載

正式版はもっとお安く?さくらのIoTの最新動向とかもめやとの共創

2017年03月23日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

3月21日に開催されたアスキーのスタートアップイベント「IoT&H/W BIZDAY by ASCII STARTUP」では、まもなく正式発表されるさくらのIoT Platformの詳細が披露された。また、瀬戸内において無人機の物流を実験するかもめやの小野正人CEOも登壇し、さくらとの共創について語った。

正式版は税込1万円を切る? スクープ満載のさくらのIoTセッション

 昨年春に発表されたさくらのIoT Platform。2016年はさまざまなプレイヤーとの共創を進め、α版で機能を作り、β版で価格を作る方針でサービスを磨き上げてきた。登壇した山口亮介氏は、さくらのIoT Platformについて「データ送受信の手段やセキュリティ、デバイスの認証、安全な通信、APIの整備など、IoTにおいて『やらなければならない部分』をまるごとプラットフォームとして提供する」というコンセプトであることを改めてアピールした。

さくらインターネット IoT事業推進室室長 山口亮介氏

 続いて山口氏は、間近になった正式版について「もう少しで正式版をお届けできるはず。β版より安くなり、『もっと身近な価格帯』になる。税込みで1万円を切りますね」と言及。プラットフォームの利用料も「2桁円/月になる」とした。

 通信モジュールはβ版の段階で高い完成度を目指したこともあり、ハードウェアの変更はない予定。さくらインターネット 江草陽太氏は、「シルク印刷が異なり、あとはRoHS対応になるくらいで、結局ハードウェアの変更はなかった。β版もファームウェアのアップデートで正式版と同じになる」と言及した。LTE版のみならず、LoRa版、WiFi版も用意され、使い勝手や消費電力などにあわせて使い分けることができるとのこと。「モジュールのサイズも同じなので、最初はどのデータをとるか2.4GHz帯で決め、本番ではLoRaで決め打ちしたデータを取得するといったことが可能になる」(江草氏)とのことで、LoRaに関しても、より安価なサービスとして提供される予定になっている。

さくらインターネット 執行役員 技術本部 副本部長 江草陽太氏

 機能に関しては、アナウンス済みの時刻情報の提供やファームウェア配信のほか、今回新たに基地局ベースの簡易的な位置情報の提供、他社クラウドとの簡易連携機能などを発表。ストレージに関しては名称が変更され、公開・共有型で40日間データ参照可能な無償の「フリー」、非公開・共有型で2年間データ参照可能な有償の「スタンダード」、非公開・占有型の有償の「プライベート」の3つが用意されるという。「データは弊社のサービスなり、他社のクラウドなり、外に持ち出していただいてまったく問題ない」(山口氏)。さらに新たにRaspberry Piと接続するシールドとPythonのライブラリも用意され、既存のソフトウェア資産を活かしたIoTの開発が容易になるという。

無人物流を試すかもめやがさくらのIoTを採用した理由

 セッションの後半には、先週に瀬戸内での無人物流実験を発表したばかりのかもめやCEOの小野正人氏も登壇した。

かもめやCEO 小野正人氏

 かもめやは定期航路の激減で危機を迎える離島の物流を変革すべく、陸・海・空での無人機によるハイブリッド物流を指向するスタートアップ。有人の定期船が激減する中、無人での物流を増やしていこうというのがかもめやのねらいで、2017年5月から瀬戸内海の高松市沖にある島に向けて、異なる種類の無人機を使った物流実験を行なう。空か海のどちらが有望か聞いた伊藤の質問に対して、小野氏は「無人輸送機は100km飛べるけど、3kgしか運べない。無人輸送船は、最低でも120kgは乗せることができ、1.1Lの燃料で9km行ける。正直言って船の方が有望」と語る。

 世間的な注目度としては、やはり無人の輸送機や輸送船を作り上げたことだろうが、本来のインパクトは気象データの送受信や無人機の制御を行なうための「KAZAMIDORI」と呼ばれる統合型の無人機制御網を構築したことだ。現行の電波法では、無人輸送機にLTEの通信モジュールを搭載できないため、通信の頼みの綱は無免許の920MHzを使うLPWAになる。ここで役立つのが、LTEのみならず、LoRaのようなLPWAにも対応するさくらのIoT通信モジュール。小野氏は、「それまではモデムとアンテナを買ってきて、自分たちで作ろうとしていた。そんなとき、まさにほしいものが目の前に落ちてきた感じ。天草のXアスロンの事例を見ていたので、ぜひ試させてほしいとお願いしました」ということで、基地局の通信としてスピーディに導入を決定した。

出所の明らかなデータを確実に取得できる価値

 もう1つテーマに上がったのは、IoTサービスでのデータの価値だ。かもめやのビジネスの本質は無人機ではなく、あくまで離島に最適な物流システムだ。「ドローンメーカーと勘違いされるのですが、無人機の運行管理システムを束ねるのが、私たちのビジネスの中心です」と小野氏は語る。ここでもキーになってくるのは通信網とビッグデータだ。「かもめやさんの事業で共感するのは、風速や風向、位置情報などのテレメトリデータの深さと、他の事業への展開を考えた横への広がりがある点」と、山口氏は語る。

実証実験での試験基地局のエリア

 データの交換はIoTにおけるビジネスのコアに当たる部分で、さくらのIoT Platformもサービスとしてそれを意識している。山口氏は、「われわれはセンサーのデータをお客様同士で交換できるセンサーデータエクスチェンジをやりたいと言ってきた。そのためには安全にデータをやりとりするプラットフォームが必要になり、通信モジュールまで作った」と説明。「出資者への企画書にデータの販売は書きましたか?」という山口氏の質問に対して、小野氏は、「あくまで本業のプラスαではあるが、瀬戸内海で起こっていることがすべてデータとしてとれるので、新しいアプリケーションに活かせると書いてあります」と応じる。

 江草氏は、「データを集めることは価値があるけど、使うときにたまにとるのではなく、継続的に、欠けることなく、数を揃えることが重要」と指摘。その点、さくらのIoT Platformではカバー率の高いLTEを採用するため、データの取り漏らしがないこと、APIを介して出所の明らかなデータを確実に受け取れることを保障できる点が大きいとアピールした。かもめやとの実証実験に関しては、LTE以外のLPWAでの実績を重ねるとともに、先々はいっしょにグローバル展開にチャレンジしていきたいという。

カテゴリートップへ

この連載の記事

開発者の生の声を聞く『熱量IoT』