このページの本文へ

「OCPサミット2017」のマイクロソフト発表まとめ

AMDやARM採用、米マイクロソフトの「Project Olympus」アップデート

2017年03月22日 09時30分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ハイパースケールデータセンターで使うハードウェア仕様のオープンソース化を推進するコミュニティ「Open Compute Project(OCP)」が、米国時間3月8~9日に米カルフォルニア州サンタクララで年次イベント「OCP U.S. Summit 2017」を開催した。同イベントで、米マイクロソフトが発表した内容をまとめて紹介する。マイクロソフトは、Facebook、インテルと共にプラチナスポンサーとして同イベントに参加した。

Project Olympusで最新チップの採用が発表

 まず、マイクロソフトがOCPコミュニティと協力してオープンに開発を進めているクラウドデータセンター向けのサーバー仕様「Project Olympus」において、「AMD Naples」「ARMアーキテクチャ搭載サーバープロセッサ」「Intel Xeon Skylake」「Intel FPGA(旧Altera Arria 10 FPGA)」など最新チップへの対応が発表された。大規模なデータ分析、機械学習、AIなど新しいクラウドワークロードに必要なコンピューティングパワーを得ることが目的だ。

 Project Olympusは、オープンソースソフトウェアのやり方に学び、サーバーの仕様を設計中の段階から公開して、フィードバックを得ながら開発をしていく取り組み。マイクロソフトはProject Olympusで開発したサーバー仕様をオープンソースとしてOCPに提供している。マイクロソフトが自社のクラウドデータセンターで調達するサーバーの90%は、Project Olympusの設計に基づいている。

AMD Naples対応

 Naples(ネイプルズ、開発コード名)は、米AMDが米国時間3月7日に発表した次世代サーバー向けCPU。AMDの新CPU「Ryzen」のサーバー向け実装であり、伝説のプロセッサー・アーキテクトJim Keller氏が開発をリードしたAMD Zenアーキテクチャーを採用する。

 今年のOCPサミットでマイクロソフトは、Project OlympusでNaplesに対応していくことを発表した。これにより、高度なデータセンターワークロードのアプリケーション要求に対応可能になるという。

Project Olympusで「AMD Naples」に対応

ARM対応

 マイクロソフトはまた、Project Olympusで米Qualcomm製ARMプロセッサ「Centriq 2400」、および米Cavium製ARMプロセッサ「ThunderX2」をサポートしていくことを発表している。

 スマートフォンなどのモバイルデバイス向けに製造数が拡大し続けているARMのエコシステムを、クラウドデータセンター用サーバーの開発に取り込んでいきたい考えだ。Azureデータセンターへの導入を見越して、ARMプロセッサ上でWindows Serverを実行する検証も実施している。

Intel SkylakeとIntel FPGAへの対応

 今年のOCP SummitではマイクロソフトのAMD製チップ採用が話題をさらったが、Project Olympusでは引き続きインテルと密接に連携して、Intel次世代プロセッサーへの対応を進めていく。

 今回は、Project Olympusで、Intel Xeonの開発コードSkylakeへの対応と、インテルが買収したAltera製FPGA「Arria 10 FPGA」のサポートが発表された。また今後のアップデートでは、同じくインテルが買収したNervanaが開発するディープラーニング向けのハードウェア設計にも対応していく予定だ。

GPU拡張シャーシを発表

 最新チップへの対応のほか、Project Olympusで新しいGPU拡張シャーシ「HGX-1」の発表もあった。

 HGX-1はマイクロソフトとNVIDIAが共同開発したもので、NVIDAのPascal世代GPUと、NVIDIAが開発したCPU-GPU間/GPU-GPU間高速通信を実現する「NVLINK」技術をサポートする設計になっている。4シャーシまで拡張でき、16サーバーまで共用できる。

マイクロソフトとNVIDIAが共同開発したGPU拡張シャーシ「HGX-1」

SONiCがコンテナ―対応

 マイクロソフトが1年前のOCPサミットで発表し、オープンソースとして公開したSDNL3スイッチソフトウエア「SONiC(Software for Open Networking in the Cloud)」がアップデートされた。SONiCは現在、Azureデータセンターの中でTier 0、Tier 1の位置で使われている。

SONiCはAzureデータセンターの中のTier 0、Tier 1の位置で使われている

 今回のOCPサミットでは、SONiCのコンテナ―(Docker Swarm)対応が発表されたほか、SONiCに対応するエコシステムが拡大していることが説明された。

SONiCエコシステムが拡大中

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード