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「墓じまい」は意外に大変!トラブルなく済ませるには

2017年03月17日 06時00分更新

文● ダイヤモンド・オンライン編集部(ダイヤモンド・オンライン

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今日から彼岸入り。週末からの3連休は実家に墓参りという人もいるだろう。最近は実家で墓を守る人がいなくなり、「墓参りの費用や身体的な負担が大変だ」という人が増えている。そのため、お墓の引っ越しなど、実家の「墓じまい」を真剣に考える人が増えている。(ダイヤモンド・オンライン編集部 山本猛嗣)

「墓じまい」は
2つのパターンがある

「実家のお墓をどうするか」――。最近、こんな悩みを抱える人が急増している。その理由は明らかだ。少子高齢化時代の折、地方から都市部に移り住んで働く人が増え、実家で「墓を守る人」が激減しているからだ。

「実家の両親を引き取って、都内で一緒に生活している」「実家の両親が既に亡くなってしまい、墓のある実家方面には兄弟姉妹や親戚もいない」「一人っ子同士の結婚で、子どもがなく、自分たちの後は実家の墓を管理する人がいない」「墓参りの出費負担が大きく、なんとかしたい」などといった人々が急増しているのだ。

 そこで、多くの人が直面するのが「実家のお墓をどうたたむか」という問題だ。「墓じまい」「お墓の引っ越し」「墓の改葬」とも言われる。

 この墓じまいは、その後の遺骨の「引越し先」によって、2つのパターンに大別できる。実家の墓を閉めた後、(1)自分が住む近くに改めて「きちんとした墓」を用意して移す、(2)合同供養墓や共同納骨堂などの永代供養墓に移す。あるいは散骨などで極力、管理負担を簡素化する方法に変更する、というものだ。

 複数の葬儀関連業者に聞くと、圧倒的に増えているのが、(2)パターンだ。文字通り、完全な「墓じまい」。実家の墓をたたんだ後は、「もう墓を持たない」という人が増えているという。その理由は少し考えてみれば、もっともだ。

「墓じまいを考える人は、圧倒的に東京都内をはじめ、首都圏の都市部に住む人たちです。そもそもお墓の数が絶対的が足りないし、見つかったとしても極めて高額なことが多い」(業界関係者)からだ。

基本的な
墓じまいの流れとは

 それでは、実際に墓じまいを行うには、どうしたらいいのだろう。基本的な流れは、下記の通り(散骨ではなく、遺骨の「引っ越し先」があることを前提)。

 (1)新しい遺骨の受け入れ先(墓地)を確保。その管理者等から「受け入れ証明書」を受領する

 (2)現在の墓地管理者(寺など)に改装を伝え、「埋葬(埋蔵)証明書」を受け取る
 (3)現在の墓地のある市区町村に改葬許可を申請して「改葬許可証」を取得する
 (4)現在の寺などの墓地管理者に改葬許可証を提示して、閉眼法要を実施。遺骨の取り出しを行う
 (5)現在の墓地の墓石などを処分して墓地をさら地に戻し、お寺などの墓地管理者に返還する
 (6)新しい墓地管理者に改葬許可証明証を提出。開眼供養後に納骨

 このように、作業はかなり大変だ。

 まず、役所への書類の受け取りや提出といった行政的な手続きが面倒だ。市区町村ごとに窓口や書式も異なる。なかでも心理的にハードルが高いのが、お寺との関係だ。

 寺院の墓を改葬する場合、上記の(2)の通り、お寺から遺骨の存在を証明する「埋葬証明書」を発行してもらう必要がある。それがないと市区町村から(3)の段階で必要な「改葬許可証」が発行できない。お墓を閉じる「閉眼法要」や檀家を離れる「離檀」もできない。

 寺の住職に「墓じまい」を伝える作業は、かなりの勇気を必要とする。特に、先祖代々ずっと世話になってきたお寺の住職に伝える場合はなおさらだろう。

高額な離檀料など
お寺とのトラブルが発生することも

 実際、お寺とのトラブルも散見される。多いのが、檀家を離れる際の「離檀料」や「埋葬証明書の発行と閉眼供養に伴うお布施」の問題だ。

 お寺にとっては、離檀は安定的な収入を失うことになる。このため、数百万~数千万円という高額な離檀料を請求されることがあるのだ。お寺は檀家の資産状況もよく把握しているため、しっかり値踏みされてしまう。このため、人によっては驚くほど高額な離檀料を要求されてしまうのだ。

 もっとも、複数の業界関係者によれば、「最近はお寺側の考えも、少しずつ変わりつつある」という。というのも、やがて墓を守る家族の誰とも連絡が取れなくなれば、お寺が自ら費用や手間をかけて墓じまいをしなければならないからだ。むしろ「積極的に墓じまいをしてもらえば、墓の『新陳代謝』が進んでプラスになる」という考えも広がりつつある。

 そもそも離檀料は何の法的根拠もない費用だ。お寺側と離檀料のトラブルが発生しても、行政書士や弁護士などの第三者に間に入ってもらって話し合いをすれば、常識的な範囲に収まることが多いという。

墓じまいは時代の流れ
新規事業として始める業者

 いずれにしても、時代の流れ。墓じまいは避けられないという人は増えている。

 事実、厚生労働省のデータ(衛生行政報告例)を見れば、全国の改葬(いわゆる「墓じまい」)件数は、2011年の7万6662件から、2015年は9万1567件と、着実に増えている。潜在的な「墓じまい」の需要は、おそらくもっと多いだろう。

 既存の葬儀業者や石材店などの墓・葬儀関連業者には、墓じまいに関する相談も増えている。それをビジネスチャンスととらえ、新たな事業として手がける業者も出てきた。

 実家の墓参りと墓掃除の代行業を行っているENDingINNOVATIONの柳瀬光太郎社長は「4~5年前に比べ、墓じまいの相談が2倍以上に増えた。特に、墓じまいに伴う遺骨の引越し先の合同供養墓を探す相談が多く、最近はそちらの仕事がメインになりつつある」という。

 ネット集客型の安価な家族葬『小さなお葬式』を手がけるユニクエスト・オンラインは、全国の業者と提携して、全国一律料金で墓じまいに伴う行政手続きやお寺との交渉のアドバイス、遺骨の引越し先の確保などを一手に引き受ける「お墓のお引越し」サービスを昨年10月から始めている。同社によれば、既に180件以上の問い合わせがあり、20件を実施。見積もりなどの検討中は48件にのぼるという。

潜在需要の大きさに
業者は「墓じまいバブル」を期待!?

 業界内では「数年後には、墓じまいバブルが来る」という期待感も強い。現在でも「墓じまい」「墓 引っ越し」などのキーワードでネット検索しただけでも、広告を含めてかなりの件数が出てくる。これから、手がける業者はどんどん増えるだろう。

 ちなみに、実際に、墓じまいをするときは、どんなことに気をつけるといいのだろうか。

 前出の柳瀬社長は「意外と墓じまいをした後に、『これで良かったのか』と後悔する人が絶えません。特に散骨ですと、後には戻れません。家族や親戚に相談するだけでなく、自分でもじっくり考えて決めてほしい」とアドバイスする。

 折しも、今日から彼岸入りである。ゆくゆく墓じまいの必要があるならば、家族と話し合ってみたらどうだろうか。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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