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建築現場でkintoneを使うための鍵は画面遷移?

デブサミで聞いたソウルウェア、ジョイゾーのkintone開発事例

2017年03月08日 08時30分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 システムが現場で使われることがなかったが、「せっかく作ったので、この開発で使った技術を応用して3つのkintoneプラグイン製品を作った」と吉田氏。同社は、PDF帳票出力プラグイン、PDF直接編集プラグイン、電卓プラグインの3つを製品化。結果、プラグイン開発のノウハウが社内に蓄積され、その後ソウルウェアは新規開発したkintoneの拡張機能をプラグインの形で提供するSIを多く手掛けることになる。

 2回目の開発は、會澤高圧コンクリートで住宅基礎事業を担当する別部署からの相談でスタートした。吉田氏は、「住宅基礎事業については、われわれにあまり知識がなかった。そこで、業務担当者が自力できる範囲を最大限に増やす方向で開発を進めた」と振り返る。

 ここで同社が提供したのは、「管理画面のあるプラグイン」だ。「われわれは、短納期でシンプルな機能のみを開発してプラグインとしてお客さんに提供する。プラグインに管理画面を設けることで、システム完成後に業務担当者が自分で試行錯誤して最適なシステムにもっていけるようになり、メンテナンスや改修も自力でできるようになる」(吉田氏)。

 現在ソウルウェアと會澤高圧コンクリートは、3回目の開発として、1回目の開発で作ったコンクリート杭管理システムを新業界ルールに対応させることに取り組んでいる。新たに営業プロセス管理の機能も追加する予定だが、ここでも「業務担当者にkintoneの使い方を教えて極力自分で作ってもらう。われわれは、可能な限り管理画面のあるプラグインで機能を提供し、システム完成後のメンテナンスもお客さんが自力でできる形にする」(吉田氏)方針だ。

 まとめとして吉田氏は、管理画面のあるプラグインで試行錯誤できるようにすることで、「業務担当者が開発に加わる部分が増えて、アジャイル開発はさらに加速する」と述べた。「kintoneとシンプルなプラグインであれば、業務担当者でも開発に参加することは十分可能だ。SIerはSIerにしかできない難しいことに注力しよう」(吉田氏)。

AWS Lambdaとkintoneは親和性が高い

 続いて、ジョイゾーの四宮氏が登壇した。ジョイゾーは、前述の「kintone革命」の象徴的な存在であり、kintoneを用いた定額制システム開発「システム39」を提供するSI企業だ。また、2月14日には、基本カスタマイズや帳簿処理、AWS Lambdaと連携した拡張カスタマイズまでを定額で行なう新プラン「システム59」「システム109」「システム190」「システム390」を開始した。

ジョイゾー 代表取締役の四宮靖隆氏

 四宮氏が紹介したのは、「サーバーレスアーキテクチャを活用したkintone開発」について。kintoneはノンコーディングでアプリケーションを作ることもできるが、JavaScript APIによる画面表示制御や、REST APIを使った外部システム連携など、様々な手法でカスタマイズが可能だ。その中でも、ジョイゾーが多く手掛けているカスタマイズ案件は、REST APIを用いたkintoneとAWSの連携だ。「特に、AWS Lambdaとkintoneは親和性が高くので、よく活用している」(四宮氏)。

 AWS Lambdaは、何らかのイベントをトリガーにAWS上のサービスを起動して処理を実行するサーバーレスアーキテクチャ―だが、ここでkintoneをトリガーにすることで、kintoneをフロントにAWSのサービス上で様々な処理を自動で走らせるようなシステムが構築できる。たとえば、kintoneからの申請をトリガーにAWS上のマスターデータが一括変更されるようなシステムや、裏でAmazon Machine Learningが起動して大量データを集計・分析するシステムなど、kintone活用の可能性が広がる。

kintoneとAWS Lambdaの連携

 ジョイゾーが手掛ける仕様書のない定額制システム開発ついては、「それで商売ができるのか」とよく質問されるという。四宮氏はきっぱり「弊社はこれで商売ができている。案件は増え続けておりビジネスは好調だ」と述べた。

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