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第1回 「VAIO、法人向く。」の現在を探る

日本のビジネス市場の要望を取り入れて不満をなくすことがVAIOとしてのものづくり

文●飯島範久 聞き手●ASCII

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「VAIO、法人へ向く。」のキャッチコピーとともに、より法人への売り込みを強化しているVAIO株式会社。その思いを花里隆志執行役員にお話を伺った。

なぜ今あえて、VAIO、法人向く。なのか

――VAIO株式会社として3年目。あらためて「VAIO、法人向く。」と広告を打って法人向けアピールをした理由をお聞かせ下さい。

花里 ITを統括されている役員さんや部長さんにお話を伺うと、VAIOはコンシューマー向けのブランドイメージが強くて、社内での選定時になかなか名前が上がってこないという状況です。そもそも設立時に、法人向けにシフトしますと宣言したにも関わらず、なかなか認知が浸透していません。もちろん営業活動の中では、企業へアプローチさせていただいていて、ビジネスユースの方が7割ぐらいおり、そのうち6割が法人での導入となっています。そういう話をすると、みなさんびっくりされますが、より浸透すべく、意思決定層の方々にも、常に情報をチェックされている方々にも、分かりやすくストレートに情報が伝わるように、今回のような戦略を取りました。

――コンシューマー向けのイメージが強いとのことですが、ビジネス向けに売っていくパソコンとコンシューマー向けに売っていくパソコンのいちばんの違いはどこにあるのでしょう?

花里 基本的には大きな違いはないのですが、選定者の方とエンドユーザーの方の購買の嗜好が違います。実はソニー時代から法人向けへ販売を行なっていましたが、個人事業主やSOHO、SMBという方々からずっとご評価いただき、購入されていました。でもそれはエンドユーザーが選定者だったからです。ITの方々とお話しますと、RFP(提案依頼書)といった企業ならではの特殊な用件が入ってきます。そこをしっかり押さえつつ、好んで使っていただいているエンドユーザー(使用者)の方々をしっかり取り込んでいくことが、VAIOとしてのものづくりだと思います。そういう意味で、ITの方々の悩みを聞きつつ、エンドユーザーの人たちの困っていることも取り込んで、なおかつ、われわれの強みである、薄くて軽くてバッテリーがもつ商品づくりをしていかなければなりません。また、ITの方々は、壊れたときのコストを重要視するので、そういった部分を解決していくようにしています。

――販売台数は増えているのでしょうか?

花里 業界全体的にコンシューマー向けは市場が厳しいので、前年比マイナス20%ぐらいで推移していますが、法人向けは戻ってきています。おかげさまで、VAIOはそれ以上の数字を出してきています。今後、Windows 10への切り替えが加速していくと思うので、そのあ たりの需要が見込めるかと思います。

安曇野発、日本のものづくりを生かしていく

――日本のものづくりを実践されているメーカーとしての強みは何でしょう?

花里 VAIOの強みとしては、やはりエンドユーザーさんの評価ですね。標準機を選定される大手企業さんも、ユーザーにアンケートを取ることがあります。そのとき、価格では従来からやられている他社さんには、若干アドバンテージがありますが、人気面ではVAIOがいちばんあったりします。そうなると選定者としては、コストという面では、ユーザーから文句を言われるのもコストになりますので、そうした観点で評価していただき、ご購入いただくこともあります。最近では、1万台近い規模の導入をしてくださる企業もありました。そういう意味ですと、エンタープライズといった一般の企業や金融などのお客さまに評価していただいております。

――デザインだったり軽さだったり、そういった部分がエンドユーザーの嗜好に合っているから選ばれたということでしょうか?

花里 そうですね。軽さ、薄さ、もしくは企業さんによってはカッコいいと評価してくださるところもあります。某企業では、最終的に導入は見送られたのですが、あとから営業が伺った話では、従業員からの人気はナンバー1だったけど、最終的には価格の問題で見送られたとのことでした。その企業さんは、最初から価格を重視するとおっしゃっていたので、仕方ありませんが、決まったケースとしては、価格差はあったけど従業員の人気と、商品としての出来栄え、また安曇野フィニッシュによる導入時の不良率の低さも評価してくださいました。

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