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日本の「見守り」系機器をラズパイで実現する超音波分析ソフト

2017年02月28日 21時59分更新

文●Rachel Metz

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ハッキリ言って、これで最新?と言いたくなる米国版の見守り系テクノロジーの紹介記事だ。日本のテクノロジーが先を行きすぎていたこと、発表のタイミングを誤ると世界市場の文脈に当てはまらず、見向きされないことがわかる。

アマゾン・エコーやグーグル・ホームといったパーソナル・アシスタント装置はスピーカーやマイクを内蔵しており、質問すれば答えてくれる。しかし、エリプティック・ラボのガネエル・ストラト部長(製品開発部)は、人の安否を確認するという全く別の用途で、家庭内アシスタントの内蔵部品はまだ活用されていないと考えている。

エリプティック・ラボの存在検知テクノロジーは、ほとんどのスマホに内蔵されている赤外線センサーではなく、超音波を使う。装置の内蔵スピーカーで高周波の音波を発生させ、人間の体に反射した音波を機器のマイクで検出し、エリプティック・ラボのソフトで音波のノイズを除去し、解析するのだ。

携帯電話以外にも、コンピューティング機能やスピーカー、マイクを備えた機器は家庭内に入り込んでおり、その数は増え続けている。アマゾンだけでも「数百万台」のエコー(スピーカー型AIアシスタント)が年末年始のセール時期に販売された。エリプティック・ラボはエコー等の機器の台頭を商機と捉えて、28日に家庭内アシスタントと連携できるソフトウェアを発表したのだ。

ストラト部長は「基本的にユーザーの位置を検出する必要があるどんな装置でも超音波機能を追加できます」という。

ストラト部長によれば、エリプティック・ラボのソフトウェアは、たとえば高齢者の住宅の家庭内アシスタント機器に組み込むことで、装置が人間の動きを長期間検知しなかった場合、他の人に通知できるという。さらに、帰宅時にオーブンから食品を取り出すことを思い出させるよう家庭内アシスタントに依頼するなど、動きを検知して何かをさせる用途に活用できる、とストラット部長はいう。

スペインのバルセロナで開催中の展示会モバイルワールドコングレス(WMC)で、エリプティック・ラボはマイクとトランスデューサー(変換器)を搭載したラズベリー・パイで自社のソフトウェアを動作させ、ソフトウェアがどう動作するかをデモすることにしている。

エリプティック・ラボは独自の家庭内アシスタントの製造を計画しておらず、アマゾン・エコーやグーグル・ホーム同様の音声アシスタント製品に自社製ソフトウェアを組み込むため、ある企業と協力している(ストラット部長は企業名を明らかにしなかった)。

ジーラド・ラプト(カーネギーメロン大学の卒業生で、超音波等、特別な部品なで使えるセンサーテクノロジーの研究者)は、エリプティック・ラボによるスピーカーとマイクの応用を、すでに利用可能な部品を活かした賢い方法だ、という。しかし、エリプティック・ラボの方式を実用化するには、アシスタント装置は何らかのフィードバック(ライトの点灯など)により、近くの人間を検知したことを通知する必要がある、とラプトは考えている。


転載元(MIT Technology Review)の記事へ

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