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AIと人間の協調を目指すNextremerとALSOKの警備・案内ロボットをチェック

困ったときはロボットに聞け!羽田空港の実証実験を見学してきた

2017年03月09日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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羽田空港第2ターミナルの一角には、近未来感あふれたロボットが大集合! 清掃や移動支援、案内などの役割を果たすロボットの実証実験を進めている「羽田空港ロボット実験プロジェクト2016」の現場にお邪魔し、ロボットやAIの実用度を見てきた。

空港の中に違和感なく溶け込むロボット

「トイレはどこですか?」の質問にかけあいで答えてくれる

 「羽田空港ロボット実験プロジェクト2016」は空港内でのロボットの利用を見据えた実証実験を行なうプロジェクト。羽田空港を運営する日本空港ビルデングが作った「Haneda Robotic Lab」がプロジェクトを推進しており、第一期プロジェクトでは、「清掃ロボット」「移動支援ロボット」「案内ロボット」の3つのテーマで募集が行なわれた。羽田空港の第2ターミナルに設置されたブースには、プロジェクトに選択された事業者のデモや展示が行なわれており、空港内という特殊環境において、ロボットの有効性の検証やさまざまなデータ収集を行なわれた。

 まず取材したのは自然言語処理機能を有するAI対話システム「MINARAI」をブイキューブと共同開発したNextremer(ネクストリーマー)だ。

 MINARAIは、博士と助手という2人のキャラクターが、会話調で利用者の質問に答えてくれるシステム。キャラクターが映っているモニターの下に設置されたボタンを押しながら、「トイレはどこですか?」「ATMはどこですか?」など質問を行なうと、博士と助手が掛け合いながら、地図などを元に答えてくれる。「寒すぎて風邪を引いたので、病院はどこですか?」など2文に渡るような複雑な質問でも答えてくれ、なかなかの実用度だと感じた。

ボタンを押しながら話すと、博士と助手が答えてくれる

 MINARAIのバックエンドは、「Microsoft Cognitive Service」のAIエンジンを採用しており、ルールベースと雑談という2つのエンジンを組み合わせてシステムを構築しているという。会話の部分にはChatBot Frameworkや、話者の顔認識にはFace APIを活用し、精度の高い応答を実現しているという。

会話が破綻したら、人間のオペレーターにパスする実用性

 とはいえ、MINARAIのキモはAIの精度だけではなく、会話が破綻した際にオペレーターに引き継ぐ機能。テーマは「AIと人間の協調」だ。

 人間の会話は必ずしも秩序だったものではないし、騒音の多い空港内ではきちんと質問が聞き取れないことも多い。AIとの会話が成立せず、破綻してしまうことも多い。MINARAIではこうした会話の破綻を検出するエンジンを搭載しており、たとえば人間側は同じことを何度も言っている場合は会話の破綻とみなして、人間のオペレーターを呼び出す仕組みになっている。遠隔にいるオペレーターを呼び出し、利用者に応対するために使われているのが、ブイキューブのWeb会議システムになる。クオリティはネットワークに依存するものの、

 Nextremer CEOの向井永浩氏は「人口減少による労働力不足や業務のセンタライジング、インバウンド対応などを考えれば、ある意味なんでもないAIと人間ならではの能力を組み合わせた『ブレンド力』が今後重要になってくる」と語る。

取材に対応してくれたNextremer CEOの向井永浩氏(左)

 Nextremerの対話システムは、すでに銀行での受付対応や高速道路のサービスエリアで実証実験を進めており、ノウハウも溜まりつつあるという。今後はデジタルサイネージやエンタメ施設内での展示、遠隔カスタマーサポート、受付業務などでの展開を予定していく予定だという。

警備と案内を担うALSOKのReborg-Xはすぐに空港で活躍しそう

 また、同じ羽田空港のブースでは、ALSOK綜合警備保障も自律走行型の警備・案内ロボット「Reborg-X」のデモを披露していた。

 自律走行が可能なReborg-Xは、施設内の地図を記録させることで、設定エリア内の自動巡回が可能。各種センサーにより、設定エリア内の侵入検知や顔認証などを行なうほか、前面に用意されたタッチパネルや音声による来訪者への案内を行なう。また、人や障害物に接近した場合に、自動的に停止する衝突回避機能を持っており、無事故の実績を持つという。

自律歩行が可能なReborg-Xは警備だけでなく、前面のディスプレイで空港の案内もしてくれる

 ALSOKの警備・案内ロボットは、科学技術館やLaQua、富士急ハイランド、TEPIA先端技術館などの施設で導入済み。今回の実証実験では、多くの人が行き交う空港内で、自律走行の安全性を維持したままで、タッチパネルや音声を用いた案内がどの程度有効かを検証するのが目的だという。警備と案内というReborg-Xの機能は、多くの人が行き交う空港でのニーズにフィットしたもので、すぐに投入されても違和感がないと感じられた。

 先日も宮崎空港でのPepperの実証実験レポートを掲出したが、さまざまな人が行き交う空港はまさにロボットの実験場として注目を集めているようだ。実証実験を見た限りでは、すでにロボットが違和感がないレベルだと思われるので、近未来より近いタイミングで、こうしたロボットが空港で活躍することになるだろう。

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