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さくらの熱量チャレンジ 第13回

新しいワークロードに向け、ハードウェア回帰の波は来るのか?

クラウド全盛期にキラリと光る専用サーバーの価値、インテルとさくらが語った

2017年02月28日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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ハイパースケーラーは「ハードウェアを最重要視している」

大谷:クラウドの普及とともに、いろいろな技術がロストテクノロジーになっていて、ハードウェアの技術に興味を持っている人は正直少なくなっている印象もあります。とはいえ、クラウドもデータセンター内の物理サーバーで動いているので、当然ハードウェアも重要です。

土屋:米国ではハイパースケーラーと呼ばれている大手クラウド事業者のニーズを汲みながら技術を開発しています。彼らはサーバーベンダーに匹敵するようなアーキテクトを抱えているし、いろいろなリクエストをわれわれにくれるんです。だから、Xeon プロセッサーの機能を見ていただければ、彼らがなにをしたいかがおぼろげながらに見えてきます。

多くのクラウド事業者や専用サーバーを手がけている事業者は、仮想化ですべてが解決できると思ってない。ハードウェアが重要じゃないなんて、まったく考えていない。むしろ、彼らの方がハードウェアに対して、すごく投資しています。

大谷:去年、弊社でクラウド関係のイベントをやったときにこの話は出たんですが、2016年ってクラウドがハードウェアに回帰した年だったんじゃないかと。大手のクラウド事業者はGPUやFPGAなどをサービスとして投入してきたし、PacketのようなARMサーバーのクラウドも出てきた。これってソフトウェアの限界、ハードウェアの強みをきちんと理解しているからだと思うんですよね。

加藤:HPCも機械学習もそうですけど、仮想化やクラウドの利用ではなく、物理サーバーを利用することがまだまだ主流です。一方で、専用サーバーもクラウドらしい料金体系や柔軟性が必要とされてきているのもそれはそれで事実です。象徴的なのが先日発表した産総研の事例ですね。今までオンプレミスが前提で、しかも建屋まで用意していたような案件が、月額サービスという形で利用してもらうことになります。リソースを足したり、減らしたりも対応するような、ある意味クラウドっぽい専用サーバーサービスの使い方を実現しています。

「ある意味クラウドっぽい専用サーバーサービスの使い方を実現しています」(加藤氏)

土屋:加藤さんの話をお聞きしていると、スケールアウトできるものはクラウド、スケールアウトできないものは専用サーバーになるのかなと。機械学習などのニーズなども今後増えてきそうです。われわれインテルも、今はワークロードを中心に据えた考え方に移行しつつあります。HPCや遺伝子解析、ブロックチェーンなど、CPUとI/Oをとにかく使うようなワークロードに対して、すぐにリソースをデプロイできるのが本来は理想ですよね。

ただ、SDIのようなアーキテクチャが登場したり、NVMeのようなハードウェアの進化が起こったときに、実際のユーザーにどういう形で提供できるのか、インテルは、こういった部分にまだまだ知見を持ち得ていません。日本にはクリエイティブなユーザーも多いし、日本ならではのワークロードもありますよね。だから、さくらインターネットさんのようなユニークな事業者と組んで、時代を先取りするようなサービスを出していくのをお手伝いしていきたいです。

大谷:今後のさくらの専用サーバーが目指す方向性を教えてください。

加藤:物理サーバーを求めているお客様は確実にいるし、その裾野は広げてきたいです。空調や電力などファシリティ面が大変なのは理解しているのですが、大量にCPUを並べて使えて、しかもそれを占有できる専用サーバーならではのサービスに磨きをかけていきます。特にRSDは本当に面白いし、物理サーバーなのに柔軟にシステムが変えられるという世界を実現できると思うので、インテルには期待しています。安心、安全に加え、利便性やコスト、柔軟性といったメリットまで含め、お客様の計算を下支えするプラットフォームをお届けしたいです。

(提供:さくらインターネット、インテル)

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