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さくらの熱量チャレンジ ― 第13回

新しいワークロードに向け、ハードウェア回帰の波は来るのか?

クラウド全盛期にキラリと光る専用サーバーの価値、インテルとさくらが語った

2017年02月28日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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仮想化とクラウドの時代になり、物理的な専用サーバーはなにかとレガシー扱いされがちである。しかし、専用サーバーも進化を続けており、クラウドのように柔軟な使い方も可能になっているのだ。ハードウェアの性能をフル活用できる専用サーバーの価値を、さくらインターネットの加藤直人氏、インテルの土屋建氏と語ってみた。(聞き手:アスキー編集部 大谷イビサ 以下、敬称略)

物理サーバーのからデータセンターの最適化へ

大谷:加藤さんにはずいぶん以前に取材しましたが、今も専用サーバーを手がけているのでしょうか?

加藤:はい。さくらの専用サーバーを10年以上担当しています。今となってはさまざまなサービスがありますが、10年前はホスティングサービスといえば、専用サーバーか、レンタルサーバーだけ。ルート権限をもらって自由にサーバーを利用できるのは、専用サーバーしかありませんでした。その時代からずっと担当しています。

さくらインターネット プラットフォーム事業部 部長 加藤直人氏

大谷:次にインテルの土屋さんです。インテルも10年前はサーバーのCPUがメインでしたが、最近はデータセンターやクラウド全般に事業フィールドを広げていますね。

土屋:インテルも10年程前に、主にレガシーサーバーからIAサーバーへの移行を手がけていたサーバー事業部が、データセンター事業部に名前を変えました。データセンターの将来を考え、ストレージやネットワークの統合も見据えつつ、サーバーの運用管理をいかに効率化するか考え始めた時期です。

当時はデータセンター事業自体も、単なる場所貸しから、ラック貸し、そしてサーバー貸しに移っていった頃です。数万台のサーバーを抱えるクラウド事業者も増えてきました。そこからインテルも一気にデータセンターやクラウド事業者向けの機能を追加したり、仮想化に対応していきました。でも、仮想化してしまうと物理的なモノが一切見えなくなってしまうので、それらをしっかりと管理することに注力するようになったんです。

大谷:サーバーを自社で所有するという時代から、データセンターに移行するという流れが出てきた。それにあわせて、今までサーバー向けのXeonプロセッサーを提供してきたインテルも、データセンター事業者が運用管理しやすい仕組みに注力し始めたわけですね。

土屋:その通りです。

ユーザー自身が障害解決できる「Out Of Bounds」の世界

大谷:専用サーバーをよくするため、さくらインターネットはどんなことを手がけてきたんでしょうか?

加藤:はい。長らく専用サーバーを手がける中で、物理サーバーであるがゆえのいろいろな面倒くささ、負担をお客様に強いているように思っていました。

たとえば、サーバーって故障したり、突然ダウンしたりしますよね。そのときには、お客様から「サーバー落ちてるんだけど」と連絡をいただくような案件もあります。こうした事態に対して、サービス事業者としてどうするかは長年の課題です。そのため、物理サーバーでもクラウドと同じ使い勝手を実現しようとさまざまな施策を手がけてきました。

大谷:具体的な施策を教えてください。

加藤:5年前、弊社の石狩データセンターができたタイミングで手を付けたのは、リモートからネットワークを通じてサーバーの電源操作等が行なえるIPMI(Intelligent Platform Management Interface)の開放ですね。コントロールパネル経由でリモートコンソールを提供するとともに、リモートでの再起動やメディアの利用ができるようにしました。

土屋:加藤さんがおっしゃっているIPMIの開放は、インテルでは「テレメトリ」と呼んでいます。要は「Out of Bounds」という考え方で、OSの外からサーバーを管理する技術で、上位のレイヤーから物理的なものを見せるという機能ですね。CPUとは独立して動くファームウェアを載せた「Node Manager」を提供し、IPMIによるリモート管理やサーバー独自の機能を載せるようにしています。

インテル インダストリー事業本部 クラウド・スペシャリスト 土屋建氏

加藤:リモートコンソール1つにしても、メーカーがばらばらなので、その差を吸収するのはやはり大変でしたね。うちはメーカーから出てくるファームウェアにあわせて自作しているので。でも、これを使えば、ソフトウェア的なカーネルパニックが起こっても、コントロールパネルから遠隔から再起動することが可能になります。

大谷:お客様が障害を手元から自己解決できるというのは、大きいですね。

加藤:専用サーバーの場合、管理者権限をお客様に渡してしまうので、OSの上から事業者は入れません。Out Of Boundsは、お客様だけではなく、われわれのような事業者にとっても重要な考え方です。Out of Boundsで遠隔からサーバーを管理できれば、運用管理も効率化できます。

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