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ユニー・ファミマ社長交代は「中国に10万店」本腰への布石か

2017年02月23日 06時00分更新

文● 森山真二(ダイヤモンド・オンライン

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ついにユニー・ファミリーマートホールディングスの中国での10万店構想が動き出すのか――。ユニー・ファミマHDの上田準二社長が統合後6ヵ月で突然の退任、さらに高柳浩二伊藤忠商事副社長の社長就任。ちょっとしたサプライズになった今回の人事も、実はこれから中国を舞台に始まる可能性が高い伊藤忠、ユニー・ファミマのコンビニ事業の前段と考えると自然なのである。(流通ジャーナリスト 森山真二)

飽和状態の日本国内市場
コンビニ各社は中国に活路!?

 国内のコンビニ市場は約5万5000店。すでに以前から“飽和状態”が指摘されており、ついにはサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループHDとファミリーマートが経営統合、大手といえるのは事実上、セブン-イレブン・ジャパン、ユニー・ファミマHD、ローソンの3社に集約された。

 しかし、国内コンビニ市場に成長余地は残されているのだろうか。答えは「それほど多くはない」はずである。今後はドラッグストアや食品スーパーに攻め込まれ、競争はますます激しくなるばかりだからだ。

 コンビニ大手の首脳は「国内市場のポテンシャル」を指摘するが、大手が売上高を伸ばせるとすれば下位陣営や他業界である外食企業などからパイを奪うしかない。中堅以下との「格差」が開いているのはその証拠だ。

 突き詰めれば、将来的に見て、コンビニは海外で事業を拡大するしか成長を探る道はないのである。そうだとすると大本命はズバリ、中国である。今後10年、20年かけて中間層が台頭、消費市場が本格的に拡大していくからだ。

 現在、中国での日系コンビニの店舗展開はどうなのだろうか。セブン-イレブンが先行しており約2350店、ユニー・ファミマHDが約1840店、ローソンが約750店となっている。

ローソンは
中国で本格拡大

 大手3社とも潜在的な巨大市場のなかで出店数は小さく、なかでもローソンは先行する2社に遅れをとっていたが、三菱商事の子会社になったタイミングで中国での本格拡大を打ち出してきた。

 玉塚元一会長は「2020年までに3000店」、その後さらに3000店を達成できれば1万店が視野に入ってくるという見方を明らかにしている。

 ローソンにはかつて上海地区で店舗展開する現地資本のM&A(合併・買収)案件が持ち込まれたが、買収までに至らなかった。M&Aで規模を拡大しようとすれば、機会はあったはず。だが、それをしなかった理由は、現地資本の店舗フォーマットが小型でローソンの標準フォーマットに合わなかったからと見られている。

 現在の中国のコンビニの多くは小型で、駅の売店のような店舗フォーマットだといわれる。ただ、消費者からすると、曲がりなりにも「日常必需品が一通り揃う」という意味で“コンビニ”である。

 しかし、競争力からすると、日系コンビニの方がはるかに上。これまで店舗展開に弾みがつかなかったのは、不動産コストがかかりすぎていたきらいがあったからだ。

中国に強力な基盤を築いた
伊藤忠がどう出るか

 店舗数目標を3000店、1万店とぶち上げる中国市場での三菱商事・ローソン連合の計画発表を「面白くない」と思っているのは、中国市場に肩入れしている伊藤忠であることは確かだろう。

 本来は伊藤忠こそ、中国でコンビニの本格拡大計画の“主役”であってもおかしくないのである。周知の通り、伊藤忠はタイの財閥、チャロン・ポカパン(CP)グループと資本・業務提携しているが、15年にはCPグループとの折半出資会社が、中国の国有複合企業である中国中信集団(CITIC)の中核会社に1兆2000億円を出資しており、中国に強力な基盤を築いているからだ。

「中国でコンビニを10万店展開しましょう」――。

 実は遡ること2年半前の14年7月。一部報道によると、CPグループの首脳は伊藤忠と資本・業務提携の際、こう岡藤正弘社長に持ち掛けたとされている。

 CPグループはタイでセブン-イレブン約9000店以上を運営しており、世界のセブン-イレブンの店舗数のなかでは、日本に次ぐ2位の展開数がある。コンビニ経営を中核として物流や食品など幅広く流通の事業を展開しており、小売業を核とすればすそ野が広く、他業種への経済波及効果があることを知り尽くしている。

 つまり、中国にネットワークを持つCPグループの首脳にして、今度は「中国を舞台にファミリーマートを10万店」という発言になったと見られている。

 そう考えると最近、いくつかの伊藤忠、ユニー・ファミリーマートで起こった出来事に合点がいく。

ユニー・ファミマHDの
社長交代の謎

 ユニー・ファミマHDの上田準二社長がなぜ経営統合から半年で交代しなければならなかったのか。それは今後、中国でコンビニ事業を拡大にしていくにあたって、CITICへの出資に関与した伊藤忠のCSO(最高戦略責任者)だった高柳浩二副社長が適任だったからで、中国でCITIC、CPグループと組んだ「点」と「線」が結ばれる格好だ。

 CITICは中国アパレル大手や越境EC運営などに共同出資は限定され、成果が出ているとはいいにくい。岡藤正弘社長がこれまでの慣習を破って、在任8年目という長期間にわたり伊藤忠の社長を務めるのも、CITICへの出資効果を引き出してからでないと辞められないと判断しているからであろう。

 CITICの銀行と証券という金融部門に依存した収益体質を改革したいという狙いは、伊藤忠としても大株主としてCPグループと同様にあるのに違いない。

 中国は今後、本格的に消費市場が拡大する。ネット通販市場の急拡大が好例で、これまで先進国で起きてきた業態の変遷を経ず、一足早く流通チャネル(販路)が成熟する可能性は高いのである。

 中国がここ数年のうちに、そうした中間層が拡大する方向性が確実視されるなかで、CITICは米マクドナルドの中国事業を買収し、ようやく消費市場に目を向けた戦略が動き出している。

 これに続くCITICの戦略が、大株主の意向を表した「ファミリーマート10万店構想」と見られ、それをどういうスキームでどう実現していくかは定かではない。しかし、必ずや近い将来、伊藤忠、ユニー・ファミマHDから中国でコンビニ強化策が打ち出されるはずである。

 日系のコンビニ企業が国際企業に脱皮できるかどうは中国での動向いかんにかかっているといえそうだが、一筋縄でいかないのが中国である。リスクを覚悟しながら、どこまで突っ込んでいけるか。コンビニ業界の将来を左右することになりそうだ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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