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PDFに対する誤解とクラウドに邁進するAcrobat DCの魅力

今のAdobe Acrobat DCは、みんなが知っているAcrobatではない

2017年03月02日 15時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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ビジネスマンなら誰でも知っているPDF。その生みの親であるアドビ システムズ(以下、アドビ)が作ったPDFツール「Acrobat DC」は、クラウドやAIなどの最新テクノロジーを取り込み、猛烈な進化を遂げている。業務改善に結びつくPDFとAcrobat DCの魅力について、アドビ マーケティング本部のダニエル・アキオ・ハンソン氏に聞いた。

アドビ マーケティング本部 Document Cloudマーケティング 執行役員 ダニエル・アキオ・ハンソン氏

PDFが編集できないは誤解? 意外と知らないAcrobatのすごい機能

 Adobe Acrobatと言えば、PDFを扱うツールとしておなじみだ。無償のAcrobat ReaderはPDFのビューアとして広く普及しており、多くのPCにもプレインストールされている。しかし、有償のAcrobatでどのような機能が利用できるかはあまり知られていない。既存のファイルをPDFに変換するツールと考えているユーザーも多いだろう。しかし、アドビのダニエル・ハンソン氏に聞くと、PDFの変換機能はAcrobatの機能の一部に過ぎないという。

「私も昔からAcrobatを使っていますが、アドビに入社する前は(Acrobatは)既存のファイルを軽くするために、PDFに変換するためにしかほぼ使っていませんでした。そもそも、『PDFにしたら、もう編集できない』といったイメージもありました。これってまさにAcrobatやPDFに対する世間のイメージとまったく同じで、弊社で実施した調査レポートも同じ結果だったんです。でも、実際に使ってみると、Acrobatの一部の機能に過ぎないことに気がつきました」(ハンソン氏)。

 もちろん「PDFは編集できない」というのも誤解だ。マルチコンテナのPDFでファイルを保存しておけば、Acrobatで編集したり、ほかのファイルに高精度でエクスポートすることができる。しかも、AcrobatはReaderも含め、マルチビューアとしての機能するため、Officeファイルやもちろん、レイヤー構造のPhotoshopやIllustratorファイル、動画ファイルまできちんと再生できる。

「アドビ社内でやりとりされるのは、Officeではなく、もちろんPDFです。あるとき同僚からPDFのプレゼンが送られてきたので、編集したいのでPowerPointのデータをくださいといったら、Acrobatを使えばPDFを直接編集できるし、PowerPointに戻せるでしょと上司にたしなめられました(笑)」(ハンソン氏)。

 もちろん、紙の文書のように「あとから編集できない」と思われているがため、多くのユーザーにPDFが好まれているのも事実だ。マニュアルや仕様書のフォーマットとして利用しているユーザーは、編集できないからPDFを利用しているはずだ。しかし、実際は「編集できる」し、「編集できないようにもできる」が正しい。

 「PDFって印刷できないようにするとか、パスワードをかけるとか、いくらでもセキュリティや規制をかけられます。でも、その一方でスキャンやOCRをかけて、データとして取り込んだり、インターネット上で自由に流通させることも可能。一時期、 『Document Magic』と呼んでいましたが、Acrobatがあれば、企業のポリシーにあわせてセキュリティと柔軟性を使い分けることができます」(ハンソン氏)

デジタル化の先兵として浸透してきたPDFとAcrobat

 この5年、10年を振り返っても、今まで「紙でなければ」と思われていた用途がどんどんデジタル化されている。たとえば量販店のスマホの契約はもはやタブレットを利用するのが一般的だし、給与明細や領収書がもはや紙で出力されなくなったという会社も多いはずだ。単に紙をなくすという「ペーパーレス化」だけではなく、デジタルならではのメリットが徐々に浸透してきた結果と言える。こうした流れの中心で、PDFはつねにデジタル化の先兵として活用されている。

「保存義務がある書類でも、紙の場合はやはり劣化しますし、破れたり、汚れたり、紛失のリスクがありますが、PDFはそうした心配がありません。注釈やタイムスタンプも付けられるし、OCRを使ってテキストを取り込んでおけば、あとから検索することも可能です。われわれも紙を否定するつもりはないですが、デジタルにすれば簡単になることはいっぱいあります」(ハンソン氏)

 たとえば建設業界では、建築物の設計書をPDFで保存することが多い。これは次の補修工事が50年後、100年後になっても、きちんと読めるようにするためだからだという。

「Acrobatは後方互換性が保たれているので、すごく古いPDFでも確実に見られます。先日、社内のデモで見たのですが、20年前のファイルとかも現在のPCのOSやバージョンで正確に開けるんです。しかも、単に閲覧したり、注釈を付けるのであれば、Acrobat Readerを使えばいい。PDFの産みの親であり、四半世紀近い歴史を持つAcrobatだからできることです」(ハンソン氏)

 もう1つ重要なのが「アクセシビリティ」の観点だ。高齢者や障害者まで含めて、誰でも等しくサービスやコンテンツを利用できるよう配慮するアクセシビリティの取り組みは、PDFとAcrobatの組み合わせで容易に実現できるという。

「先日アクセシビリティの権威とも言われる方とお話しする機会があったのですが、やはり目の不自由の方はなるべく他の人の手を煩わせずに、自分だけでサービスやコンテンツを利用したいと考えているのだそうです。紙をスキャンして、テキスト化するAcrobatの機能をお見せしたら、これを読み上げたり、翻訳できるようになったら、非常にアクセシビリティの観点でも素晴らしいとおっしゃていただけました。Acrobatもそういう方向性になっていけるといいなと思っています」(ハンソン氏)

進化を続けるAcrobatとDocument Cloudでできること

 アドビは近年大きくクラウドにシフトしており、Creative Cloud、Marketing Cloudなどのクラウドサービスを軸に、いわゆる箱売りからサブスクリプションモデルへの移行を強力に推進してきた。こうした中、最後発として2015年に登場したのが、Adobe Acrobat DCやAcrobatのモバイル版アプリを含む「Adobe Document Cloud」だ。単に月額課金で最新のAcrobatを利用できるだけでなく、モバイル版のAcrobatとAdobe Document Cloudを利用することで、「最高の顧客体験を提供する」のがアドビの大きな戦略だという。

 たとえばモバイル版アプリAcrobatのスキャン機能。そもそもモバイル版があることすら知らないユーザーも多い。

「家で領収書やレシートをスキャンして取り込むのが趣味みたいなもんだったんです。昔は別のアプリを使ったこともあったのですが、Acrobatのスキャン機能搭載を機に使うようになったところ、手前みそで恐縮ですが、そっちの方が精度が全然高かった。レシートも自動でトリミングしてくれるし、撮った写真も自動的に画質がエンハンスされます」(ハンソン氏)

「モバイル版アプリのAcrobatの方がスキャン精度が高かったんです」(ハンソン氏)

 先進的なAI技術も取り込んでいる。意表を突く名称で話題になったAdobe Senseiは、さまざまなアプリケーションでAIの活用を考えるアドビの戦略的なクラウドテクノロジーだ。そして、AIの精度の差は今後学習のためのデータ収集にかかってくる。Creative Cloud、Marketing Cloud、Document Cloudなどアドビのクラウドサービスは、こうした学習データの収集にも大きな役割を果たすことになる。

 また、PDFの共有に関しても、クラウドストレージと組み合わせることで、ますます便利に、セキュアになる。

「たとえば、Acrobatの『送信とトラック』という機能を使うと、PDFファイルをクラウド上に保存できるので、メールを添付しなくても、手軽にファイルを共有できます。しかも、誰が読んだか、編集したかといった履歴も追えます。本人が便利なのはもちろんですが、共有相手も便利になります」(ハンソン氏)

 さらに最近ではタブレットや2in1のPCなどペンデバイスの普及しつつある。Acrobat DCではインターフェイスを一新し、タッチ画面で操作しやすくなった。こうしたデバイスを用いたよりインタラクティブなやりとりで、Acrobatはその真価を発揮する。

「サービスの申し込みや契約書など、紙であれば、同じことを何度も手書きしなければならない契約書や申し込みでも、デジタル化することで、入力作業を圧倒的に省力化できますよね。こうした場面でも、紙をフォーム化したり、ペンで署名するなど、Acrobatの機能が活用できます」(ハンソン氏)

 このようにPDFとAcrobatの使いこなしはさまざまだ。しかも、特定の業種・業務だけではなく、ホワイトワーカー全体の業務を大幅に効率化してくれる。Adobe Acrobat×ASCIIでは、こうした使いこなしやユーザー事例をどんどん紹介していく予定となっているので、今後のコンテンツに期待してもらいたい。

(提供:アドビシステムズ)

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