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太陽光発電の新設発電容量、米国で2016年にほぼ倍増

2017年02月17日 09時39分更新

文●Jamie Condliffe

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太陽光発電の新設発電容量が、米国で2016年にほぼ倍増したことがわかった。トランプ政権が再生可能エネルギーへの税控除を中断しない限り、この傾向は今後数年間継続しそうだ。

米国で太陽光発電の設置が急増しており、2016年にほぼ倍増した。新たな税制優遇措置のおかげで、風力発電も2020年まで急増するかもしれない。

太陽エネルギー産業協会が発表した資料によれば、2016年には1万4626メガワット相当の太陽光発電設備が新設され、稼働を開始した。2015年の新設容量は7493メガワットだったので、前年比95%の増加だ(方式、規模にもよるが、原子力発電所1基の年間発電量は100万キロワットと概算されることが多い)。

事実、業界団体である持続可能エネルギー事業評議会(BCSE)向けにブルームバーグ新エネルギー金融(BNEF)の新たなレポートでは、過去数年の低炭素型エネルギー生産の伸びの大半は太陽光発電だ。一方、2016年に新設された風力発電容量は、2015年と同等だった。

BNEFのレポートによれば、2019年までに建設を開始する風力発電プロジェクトに適用される税控除が2015年末に利用できるようになり、今後数年間で風力発電設置が急増、BNEFの予測では、2020年にピークに達する。

ただし、容量だけを見ても意味がない場合がある。発電した電力を消費地まで送る送電網インフラがなければ、太陽光や風を電気に変換しても浪費されるだけだ。テキサス州は、適切な送電網の整備によって再生可能エネルギーを成長させた好例だが、 他の多くの地域で、同様の規模を実現するために必要な数十億ドルは工面できない。

とはいえ、問題は乗り越えられる。再生可能エネルギーの発電設備は、全般的に圧倒的に上向きだ。2008年と比較して、米国の太陽光と風力の発電容量は合計26ギガワットから123ギガワットまで上昇した。

トランプ政権再生可能エネルギーを歯牙にもかけないため、この強力な勢いは今後数年間にとって有益だろう。優遇措置がこのまま継続すると保証されたわけではなく、ホワイトハウスが再生可能エネルギーの税控除を廃止すれば、投資家にとってクリーンエネルギー導入の魅力は減る。

しかし、悲観的になることはない。バラク・オバマ前大統領は、再生可能エネルギーの未来への世界的移行は「不可逆的」だと主張した。前大統領が正しいと願おう。

(関連記事:“オバマ大統領がサイエンス誌に寄稿「再生可能革命は不可逆」,” “トランプ政権、エネルギー政策で世論無視,” “テキサスで大成功の風力発電 どこも真似できない例外事例”)


転載元(MIT Technology Review)の記事へ

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