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ファミマ上田社長自ら語る突然退任と経営統合の真相 上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス社長)特別インタビュー

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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2月3日に突然の退任を発表したユニー・ファミリーマートホールディングスの上田準二社長。15年にわたってトップを務めたファミマの“中興の祖”を直撃し、真相を聞いた。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)

うえだ・じゅんじ/1946年12月生まれ。秋田県出身。70年伊藤忠商事入社。2000年旧ファミリーマート顧問、02年社長、13年会長に就任。16年9月より現職。17年2月末に退任し相談役に。 Photo by Yoshihisa Wada

──突然の退任発表でした。

 皆さんには突然かもしれませんが、私にとっては以前から決めていたことです。65歳で社長を交代し、1~2年ほど後見役をやってリタイアする。これが“私流”のスケジュールだったんです。

 ですが、その後すぐに旧ユニーグループ・ホールディングスとの経営統合話が浮上しました。これは私がやるべき話で、協議を続け、2015年10月に統合の基本合意にこぎ着けました。このとき、社内にも伊藤忠商事にもユニーにも、「これで私のファミマ人生は完了だ」とはっきり伝えていたんです。

 だけど、「新しいプラットホームをつくって走りだしたのだから、見極めがつくまでは責任があるでしょう」と慰留され、それではもうちょっととなった。私にとってこの3年間は、一年一年が延長戦のようなものでした。

──今回は慰留されなかったのですか。

 「もう少しやってほしい」という声はありましたが、どんなことを言われても辞める気持ちでした。「70歳になったのでもう区切りをつけさせてくれ」と。

 ファミマとサークルKサンクス(CKS)のブランド一本化が猛烈なスピードで進み、総合スーパー(GMS)のユニーも統合前のリストラで、17年度の黒字転換は間違いありません。事業計画はほぼ完成し、後に続く人が実行してくれると確信しています。

 本当は13年の社長交代と同様、誕生日の12月27日に記者会見をしたかったのですが、関係者が多く、年を越してしまったのです。

──発表時の「一身上の都合」という言葉が波紋を広げています。

 確かにスキャンダルや重大な病気、経営責任を取る際に使われる表現かもしれません。ある記者からは「伊藤忠との確執ですか」と聞かれました。記事としては面白いかもしれませんが、そうじゃありません。周りの都合ではなく、私が70歳になった。まさに一身上の都合なんです(笑)。

──70歳を区切りと決めたのはなぜですか。

 80~90歳まで生きられるかもしれませんが、ビジネスで活躍した方々の話を見聞きすると、70歳を過ぎると一年一年が猛スピードで進み、健康に過ごせるのは80歳より手前までです。心身共に健康な時期に“終活”に取り組み、人生のエピローグは豊かに過ごしたいじゃないですか。だから一身上の都合なんですよ(笑)。

17年にわたるファミマ人生で、最も印象 に残っている商品は「ファミチキ」。上田 社長が自ら海外の工場に足を運ぶなど開発 に携わり、看板商品になった Photo by Yoshihisa Wada

──後継となる伊藤忠の髙柳浩二副社長は上田さんの指名ですか。

 伊藤忠からは、ガバナンスをグリップしておくためにも、後任を伊藤忠から派遣したいという要望がありました。髙柳氏は伊藤忠の食料部門のトップで関わりがあり、経営統合の目的や経緯も一番知っています。年明けの岡藤(正広・伊藤忠)社長との話し合いで、流れとして髙柳氏が適任だろうと決まりました。

──CKSとの統合は長年狙っていた案件でした。

 04年ごろから動いていましたが一度は破談となり、縁がなかったなと思ったときもありました。しかし、当時「一緒にやろう」と話したユニー側とのホットラインはずっと続いていたのですよ。

──苦戦が続くGMSは統合に必要なかったのではないですか。

 ファミマの将来を考えると、セブン-イレブンとは圧倒的な差があります。生き残るためには差を縮め、対抗できる勢力にならねばなりません。また、CKSも消滅するわけにはいかないので、一緒になることが将来のメリットになるということは共通認識でした。

 確かに、経営統合にはGMSもくっついてきましたが、今回の統合話を持ち出してきたのはユニー側であり、相手の状況も考慮して合意したのです。

 ただ、GMSが今後立ち行かないのかといえばそうでもない。リストラして関東・関西地区の店舗を中心に閉鎖し、昔からの地盤である東海地区に根を下ろしたGMSにブラッシュアップし、収益を上げられる体制にしたからです。

──経営統合で、コンビニ本部の人員が余るのではないですか。

 今は人が足りませんよ。ブランド転換に伴う膨大な作業がありますから。ただ、確かに、それが完結したときには余るでしょう。

 一方、GMSはこれから人手が不足します。ユニーは社員の平均年齢が高く、若手、中堅は少ない。人材交流をするとなれば、給与などの処遇の調整も必要ですよね。

 今後2年は人員不足で、3年目以降は人余り。将来の人員構成をどうするかを考えて採用計画を立てる必要はあるでしょうね。

“終活”はビジネスをやらず
妻と居酒屋をやりたい

──社外取締役など、外部から引き合いがあるのではないですか。

 2社から頼まれましたが、断りました。「社外取をやるならば、まだ社長を続けるよ」と(笑)。

──終活では何をするのですか。

 ビジネスの世界は考えていません。大勢の人との付き合いで仕事を続けてきたので、昔の仲間や恩を受けた人々を回りたいです。ただ、ひょっとしたらやる可能性があるのは、居酒屋です。

──居酒屋ですか!?

 1店舗で、チェーン展開はしませんよ。ビジネスはもうやらないんだから。いろんな方が来てくれて、和んだり、憂さを晴らしたりして、元気に楽しくなる店。妻の協力が必要なんだけれど、妻もやる気なんだよね。店名は「千の風」。暑く苦しむ人には涼風を、心が凍えるほど悩む人には暖かい南風を。私の店で、千の風になって吹いて差し上げますよ(笑)。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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