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ASCII STARTUP 業界ポジトーク第8回

福岡には強力なスタートアップ支援施策がそろっとうとです

2017年02月09日 07時00分更新

文● 両角将太 編集●ガチ鈴木/ASCII STARTUP

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「ASCII STARTUP 業界ポジトーク」は、ベンチャー、スタートアップ、テクノロジー業界で活躍するインキュベーターらを著者に迎え最新情報を共有する“ポジショントーク”連載です。

はじめまして。F Venturesの両角です。福岡を拠点とし、シード特化の独立系ベンチャーキャピタルを運営しています。現在、7社の投資を決めており、うち3社は福岡拠点ないし福岡出身、うち3社は都内、1社は海外のスタートアップです。2016年4月に設立発表して以来9ヵ月弱、福岡に新たなスタートアップのエコシステム構築のため、次々に新しい弊社独自の活動を打ち出してきました。
もともとは東京で活動していたのですが、地元の福岡に戻り、こちらで活動をしてきて感じることは、福岡市は市長はじめ行政の方々のスピード感が頼もしく、ほかの地方自治体と比べ、スタートアップ支援に積極的です。それだけでなく、民間による支援体制も整ってきています。そこで、福岡市全体のエコシステムの特徴をまとめていきたいと思います。

福岡市の行政による支援体制

 ひとつ目は、福岡市のスタートアップ支援制度です。福岡市は国家戦略特区“グローバル創業・雇用創出特区”として選定され、現在、福岡市では規制緩和を活用し、民間の活力を引き出す施策を推進しています。

 たとえば、「スタートアップ法人減税(法人税軽減措置)」、「スタートアップビザ」、「スタートアップ奨学金」、「スタートアップカフェ」など行政によるスタートアップ支援が充実しています。また、IoT・ウエアラブル開発の加速させるための“電波法の規制緩和”を推し進めている点や、廃校となった「大名小学校跡地のインキュベーション施設化」も進めている点など、引き続き新しい支援策を打ち出しています。

 さらに、福岡市はスタートアップ環境のグローバル化を積極的に整備しています。現在、TECH CITY(ロンドン)、Taiwan Startup Hub(台湾)との連携や、ヘルシンキ(フィンランド)やエストニア政府とのMOU締結、btrax社運営のD.Haus San Francisco(アメリカ)との連携、ボルドー(フランス)とドローンのスタートアップ支援で連携といった海外とのアライアンスを積極的に行なっています。

 また福岡市内スタートアップの海外進出を支えるため、海外における大規模スタートアップイベントへの参加支援などを行っています。たとえば、ヘルシンキで開催されたSLUSHやエストニアのスタートアップイベントLatitude59などに福岡市ブースを出展していました。

SLUSHの様子。福岡をアピールしたブースを出店し、グローバルな創業支援を行なっていることを発信しています

民間による支援体制の強化

 一方で行政の後押しもありながら、民間でのスタートアップ支援体制も整ってきています。福岡市から痛く事業を受け、TSUTAYAとドーガンが運営するスタートアップカフェをはじめ、民間運営のコワーキングスペースも近年増加傾向にあり、以前からあったfabbit、天神COLOR、SALT、OnRAMPなどに加え、博多にはThe Companyというコワーキングスペースも新設されました。

 また大学も、九州大学では2017年に起業部も設置することになったそうで、学生起業家の増加が期待できます。それから、九州工業大学の学生たちが主導して、DreamHackというハッカソンを行う活動も生まれています。

 ベンチャー投資の観点では、シード期に特化したVC も増えており、弊社F Ventures だけでなく、ドーガンβも現れました。また、大学の有望な技術に投資を行う、九州大学系のベンチャーキャピタルであるQBキャピタルもあります。CVCとしては、IoT、AI分野を対象に20億円の投資枠を設定した安川電機、コカ・コーラウエスト社とそのグループ会社であるキューサイが立ち上げたCQベンチャーズ、FFG傘下のふくおかテクノロジーパートナーズなどベンチャー投資を行なうファンドが増加し、より起業しやすい環境が整っています。他にも九州全体でみると地銀から佐銀キャピタル&コンサルティング、大分ベンチャーキャピタル、宮崎太陽キャピタルなどは以前から投資が活発です。また、西日本シティ銀行も、ドーガンやQBキャピタルなどのファンドに対し、LP出資をしています。

The Company

資金調達やIPOも増加傾向

 上記のような流れから、徐々にスタートアップの芽も花開いてきています。イグジットや資金調達も盛んになってきており、ホープ、ベガコーポレーションが上場しました。また、YAMAP、スカイディスク、グッドラックスリー、Groovenauts、ウミーベ、ユーコネクト、ウェルモ、プリンシプル、MAISIN&CO、ユニマル、リーボなどは資金調達に成功しています。そのうち数社は億単位の資金調達です。また、からくりもの、MilkcocoaはM&A(事業譲渡)を行ないました。

 またケンコーコムは本社を福岡に移しており、LINE、メルカリ、ビズリーチ、gumi、KAIZEN platform、pixiv、アカツキなどのIT企業は福岡に支社を設立し、IT人材の育成や採用も活発になっています。

TORYUMON ~九州の学生向けスタートアップイベント~

TORYUMON

 実は福岡市の若者率(15歳~29歳)は19.5%と政令市でトップです。学校の多さがその理由ですが、福岡市には大学・専門学校数が107校あり、人口に占める学生の割合は7.3%にものぼるそうです。しかし、将来を担う可能性を秘めた学生は多いものの、起業やベンチャーに触れる機会が、東京に比べ少ないのが現状です。若い才能たちが“起業”することを当たり前にしたい。世界に羽ばたく場作りがしたいと想い、誰しもが通る道にしたいという意味で我々は“TORYUMON”というスタートアップイベントを企画しました。

 スタートアップの世界において第一線で活躍されている方々の話を聞いたり、話したりすることで、“起業”というものをより身近に感じてもらいたい、企業のあとおしができればと思っています。本イベントは九州だけではなく西日本規模で考えており、中国・関西の学生も参加して頂きたいです。

 たしかに、東京で起業すればメリットが大きいことは事実です。ただ、地方に東京と繋ぐ“ハブ”としての役割をF Venturesが担い、人をつなげることにより、東京にまったく劣らない環境を提供できると考えています。地方のスタートアップは我々をうまく使い倒してほしいと思っています。

■関連サイト
TORYUMON

両角将太(F Ventures LLP 代表パートナー)

著者近影 両角将太

1988年、福岡生まれ。福岡県私立福岡大学附属大濠高校を経て、2011年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業。在籍時にIT起業家特化型インタビューメディアの立ち上げと運営を経験。サムライインキュベートに大学生インターンとして参画し、その後正社員として入社。2012年、コワーキングスペースSamurai Startup Islandのマネージャーに就任。広報としてプレスリリースやメディアとの連携、投資先の広報支援を担当、そのほか投資先の事業支援も担っていた。2016年、福岡を拠点としたベンチャーキャピタルF Venturesを設立。

●お知らせ
 文中でもご紹介した学生起業イベント“TORYUMON”を2017年3月18日に開催します。ぜひ、ご参加いただき、福岡を盛り上げて行きましょう! なお、現在、スポンサー、学生スタッフ、学生ピッチ参加者を募集しております。

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