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麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負第9回

薬師丸ひろ子、ストーンズ、ボブ・デュランなど

35年ぶりセーラー服と機関銃が艶やか、麻倉怜士推薦のハイレゾ音源は?

2017年02月05日 12時00分更新

文● 麻倉怜士 編集●HK(ASCII)

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 評論家・麻倉怜士先生による、今月もぜひ聴いておきたい“ハイレゾ音源”集。2017年最初の回です。おすすめの曲には「特薦」「推薦」のマークもつけています。e-onkyo musicなどハイレゾ配信サイトをチェックして、ぜひ体験してみてください!!

Cinema Songs
薬師丸ひろ子

 薬師丸の歌手デビュー35周年を記念して製作された、洋画から邦画音楽までの映画音楽カバーアルバム。CDのボーナストラック「セーラー服と機関銃」35周年記念バージョンも収録されて全12曲。薬師丸は「自分なりの映画へのラヴレター」と本アルバムについてコメントしている。

薬師丸の声はすごく魅力的だ。艶がたっぷり乗っているが、決して色気過剰ではなく、健康的なメローさが耳に優しい。声の密度が高く、音の表面のグロッシーさだけでなく、その内部にもまろやかな声質が充填されている。さらに潤いのエッジが濡れ、キラメキと光沢感が感動的。

 「ムーン・リバー」、「ベンのテーマ」、自身の銀幕デビュー作「野性の証明」の主題歌「戦士の休息」など、映画テーマの本アルバムのどの曲を聴いても、麗しの美声が堪能できる。ふくよかで心地良い声質は、クラシックのキャスリーン・バトルを彷彿させる。なかでも「ディア・ハンター」の「カヴァティーナ」は、感情の濃さと音のすべらかさで絶品だ。ハイレゾはそんな薬師丸ひろ子のグロッシーさを、ひじょうなディテールまで繊細に再現している。

WAV:96kHz/24bit、FLAC:96kHz/24bit
VICTOR STUDIO HD-Sound.、e-onkyo music

A.Piazzolla by Strings and Oboe
UNAMAS Piazzolla Septet

 いつものUNAMASクラシックは、大賀ホールの豊潤なソノリティがベースになり、直接音と間接音の割合を図っていたが、本アルバムは完全に直接音主体だ。響きが少なく、楽器の音がダイレクトに聞こえるが、いかにも直接音的なドライさはなく、不思議に潤いのある音だ。

 音響部材の木棒状のディフューザー、AGS(Acoustic Grove System)が壁全面を覆っている、日本音響エンジニアリング(元日東紡音響エンジニアリング)の千葉のスタジオで収録。ウナマスでは以前、深町純の『黎明』もこのスタジオで収録されている。

 「シルヴァン」とブランディングされたAGSはイベントなどで、スピーカーの音を驚くほど変えることを体験しているが、ナマの楽器の音も、質感を格段に向上させる役割を果たすようだ。ウナマス主宰のMick沢口氏は「AGSを壁面などに配置すると、素直で“マイク乗り”のいい音が録れます。反射音が濁らず、きれいにマイクに入ってくるんですね。それによって厚みのある音もクリアに、弦の音色はリアルになります。演奏者の方々も、とても演奏しやすいみたいですよ」とe-onkyo musicサイト内のインタビューで述べている。

 AGS効果なのか、弦楽器は眼前ではかなりの騒音源だが、直接音主体でも、楽音が麗しいのは、この特別なスタジオ音響にウナマスマジックを掛け合わせた成果あろう。

WAV:192kHz/24bit、FLAC:192kHz/24bit、5.1ch WAV:192kHz/24bit、5.1ch FLAC:192kHz/24bit、5.1ch Dolby HD:192kHz/24bit
UNAMAS、e-onkyo music

The Rolling Stones In Mono[Remastered 2016]
The Rolling Stones

 2009年のビートルズ、2010年のボブ・ディラン、2011年のキンクスと大物バントから続々とMono Boxがリリースされたが、ついにストーンズからも登場。しかも、前の3バンドはCDのみのハイレゾなしだが、ストーンズはハイレゾ配信あり!1960年代の14のアルバムと、シングル及びEPに収録された曲のモノラル・ヴァージョンだ。

 ストーンズのサウンドは私のアナログ時代からのイメージでは「野性的で、歪みも辞さない攻撃的な音」であったが、ハイレゾは、意外なほど繊細で、肌触りがしなやかだ。バランスも良く、かつて聴いた過激さ、尖鋭さはは表面的にはあまり感じられない。しかし、その内実に塊感、凝縮感が十分以上に感じられるのは、モノラルのメリットであろう。2つのスピーカーの広さに拡散せず、ファントムセンター一点に集中した音場は、高質感と高先鋭さを両立させている。モノラルスピーカー一発で聴くと、さらに高剛性Iになる。

 それにしても全部で186曲という恐ろしいまでのボリュームだ。ハイレゾでこれほど曲数の多いアルバムはまさにギネス級。私はHonky Tonk WomenのBDライブをよくイベントで使うが、何と185曲目だ。

FLAC:192kHz/24bit
ABKCO Records、e-onkyo music

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