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メガネもウオッチも各種素材も

ペット用活動量計も登場、「第3回 ウェアラブルEXPO」

2017年01月19日 15時21分更新

文● 行正和義 編集●ASCII

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Anicallのペット用の活動量計。首輪に内蔵できる加速度/姿勢センサーでペットの気持ちを判定する

 東京ビッグサイトで1月18日~20日、「第3回 ウェアラブルEXPO」が開催された。ウェアラブル・デバイス関連の製品や素材技術の見本市だ。

 ウェアラブルEXPOは業者向けの展示会なので一般消費者向けた商品のアピールは少ないものの、本体に加えてウェアラブルデバイスの技術や素材を各種業界向けに展示、用途提案、商談の場となっている。とはいえ、コンシューマーに近い製品や興味深い技術や素材も見受けられた。ここでは会場で目を引いたものをレポートしよう。

エプソンのスマートグラス「MOVERIO BT-2200」。業務用モデルでヘルメットなどに装着、十分な視界を必要とする際にすぐに跳ね上げられるようになっているのが現場向けの工夫

 ウェアラブルデバイスとしての大きな流れが「スマートグラス」。一般消費者から見るとまだまだ普及が進んでいないように見えるところではあるが、製造業や流通、サービス業などさまざまな現場でのデバイスとしては着実に地歩を固めてきた感がある。

「MOVERIO BT-350」。市販モデルBT-300の商用(法人向け)モデル。デモでは動画再生などに加えてAR字幕表示(映画館などで装着者ごとに異なる言語の字幕を入れるほか、聴覚障害者向けにも利用できる)

 エプソンでは、手頃な国産スマートグラス「MOVERIO 」では、一般向けの「BT-300」に加え、商用向けの「BT-350」、業務用「MT-2000」をデモ。BT-300に比べて堅牢性を高めているのだが、とくに商用モデルとなるBT-350では不特定多数の利用者に使いやすいように、メガネのツルのヒンジ部分が改良され、幅広い頭部形状にそのままフィットする。ウェアラブルデバイスには表示解像度などハードウェアスペックには現れない工夫も重要だ。

メガネといえば福井県。メガネの町として知られる鯖江などの地元企業のブースを集めていた

鯖江市のメーカーが出品していたメガネ装着型の片眼式デバイス脱着機構「ネオプラグ」メガネフレーム。ワンタッチでメガネのツル部分に装着できる

 ウェアラブルデバイスのもうひとつの大きなジャンルであるスマートウオッチだが、Android Wareなどの商品自体はあまり展示されていない。とはいえ、注目なのはクラウドファンディングMakuakeで、スタートしたばかりのモジュラー型スマートウオッチ「BLOCKS」。バンド部分にモジュールを追加することで機能追加でき、GPS、気圧計、増設バッテリー、LEDライトの4モジュールが標準付属する。

バンド部分のモジュールを追加できるBLOCKS。コンシューマーユースでも楽しめそうなデバイスだが、業務でもさまざまな利用が考えられる

 スマートウオッチ本体でも利用でき、Wi-Fiも搭載しているのでスマホなしでも利用できる。コンシューマー用途としても楽しめそうだが、やはり昨今のスマートウオッチ市場にいきなり参入はリスクも大きいと考えているようで、各種の業務向けとして用途も訴求している。ウオッチのコア部分はAndroid 6.0を搭載、将来的にはSIMモジュールも予定されており、単体で利用できる情報デバイスとして利用できる可能性も。

BLOCKモジュールとしてはSIM通信機能のほか、カメラモジュールなども予定されている

 スマートウオッチ以外のリストバンド型デバイスとしては、フィットネスや介護用途など様々なデバイスが登場してきている。ただし市販製品として展示されているものは、ポラールのフィットネス・トラッカーなどの既存製品を除けば市販製品はまだ少ない。とはいえ、部材や技術に関しては医療・介護用途への用途訴求は多く見られ、需要の高さを伺える。

Anicallのペット用活動量計。ベスト型センサーならば心拍まで計測でき、活動量に加えて健康管理などにも活用できそうだ

 ウェアラブル市場独特と言えるのが、多彩な繊維素材の展示も注目。フィットネスや医療・介護用途など、身体にさまざまなデバイスを装着することから、それらを繋ぐ導電性繊維が重要となる。大手メーカーも本腰を入れてきており、導電性繊維による給電や通信、あるいは繊維の伸縮を検出するものなどさまざまなものが見受けられた。

東洋紡の導電性繊維。体温や湿度などセンサーとプロセッサーモジュールと接続する(デモ用のためなのかサイバーな雰囲気の衣類を仕立てているが、実際の配線自体はさほど目立たない)

コーティングにより、絹糸自体に導電性を持たせているエーアイシルク。他の繊維でも可能だが、着用時の快適さが重要となるウェアラブルだけに素材選びも重要となる

クラレの面ファスナー(マジックテープ)に導電性コーティングを行なったもの。用途はまだ未定だが、いろいろと応用できそうな予感

井上リボンの極細電線を編み込んだ伸縮自在なリボン。ファブリック系メーカーならではのノウハウが今後もよりいっそう需要となりそうだ

 今回は業者向けの展示会なので、医療・介護や製造業、建設業、アミューズメントなど各種の業種に向けた用途提案が見られたが、服飾・装身具分野がまだまだ少ないのが気になった(もちろんメガネやウオッチ自体が装身具としての意味合いもあるのだが)。とはいえ、展示されていた多彩な素材や部材を見ると、業務用途だけではなく日常の着用型デバイスとしても登場してくる可能性は高そうだ。

ウェアラブルデバイスにとって重要なのが小型電源。FDKは超薄型電池を展示している。紙のように薄く、クレジットカードの厚みに収まるほど

FDKの薄型電池は現在でも高セキュリティ銀行カードとしてネットバンク系で導入されている(ワンタイムパスワードのみのカードは5年間持つ1次電池)。パスコード入力機能付きモデルが開発中で、こちらは2次電池を利用する(別途充電器を用いる)

台湾TRIAMP TECHNOLOGYの装身具風デバイス。紫外線センサーになっており、バッグやネックレスとして身に付ける。紫外線強度はカラフルなLEDバーで表示される。左にあるのはスマホに取り付けて利用する脈拍センサー

展示会入り口にある各種業界向けの受付けを見ても、ウェアラブルデバイスがどれほど多業種に向けているのか分かる

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