格安SIMというとデータ回線に偏って取り上げてきたが、今回は少し趣向を変えて音声通話“だけ”を考えたSIM選びをしてみたいと思う。
2016年に一気に各社に広まった音声通話の定額サービスは、着信だけでなく、音声発信も非常に魅力的なサービスになっているのだ。特に短期での利用が必要になったときなどにも魅力的だ。
通常の携帯電話番号で発着信ができる
最初に2016年に広まった定額通話を説明しておこう。以前は格安SIMでお得な通話というと050番号を使ったIP電話が主流だった。
大幅に安い通話料は今でも魅力だが、問題は電話番号。通常の携帯電話番号とは別となるため、発信すれば相手に別の番号が通知され、誰だかわかってもらない。
また、一度番号を通知することで自分の番号が複数となってしまい、相手を混乱させてしまう恐れもある。
ところが、2016年に広まった定額通話は、090などからはじまる通常の携帯電話番号で発着信ができるというサービス。通話相手を混乱させる恐れもなく、自分としても番号を管理しやすいことが特徴だ。
縛りナシの魅力
既存の3大キャリアで、今でもフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)を使って音声通話を契約すれば、月額1200円で5分までの無料通話や、月額約1000円で1000円分の無料通話というプランを選ぶことが可能だが、この恩恵を受けるためにはハードルがある。
昔ながらの慣習のためか、携帯電話端末の購入実績があり、しかも2年契約でないと大幅に料金が跳ね上がる。そして、契約するためにはほとんどの場合、キャリアショップのあの待ち時間と本人出頭が必要となる。
それに対して、格安SIMでは、縛りナシかかなり緩めで、携帯電話の購入実績は無関係なので、手持ちでも譲り受けた中古端末でも利用可能。
お店でパッケージを買えば、あとはネットでさっと手続きすれば加入可能だ。半年~1年程度の解約で違約金がかかる契約期間があるところもあるが、大手3大キャリアと違ってその期間を経過すれば、いつでも違約金がかからないことも特徴。違約金がないところを選べば、契約から解約までのトータルコストを抑えられる。
また、定額通話オプションを使えば、比較的短時間の通話が数百円の定額オプション内で済んでしまうため、長話はしないが、高い頻度で電話をかける人にとって、格安SIMはお得でうれしい選択肢になっている。
ドコモなら、LTE回線でも従来型携帯電話OK
ドコモのネットワークを使った格安SIMならば、LTEの契約でも3G携帯電話で音声通話が利用可能。データ通信部分はAPN設定などが必要でも、音声通話だけならSIMを挿入すれば設定なしでもすぐ利用可能。SMSの利用も同様だ。
スマートフォンよりも通話のしやすさという点では、従来の形状の携帯電話のほうが優れている。発話、終話ボタンも独立した物理ボタンということもあり、なんとなく安心して通話ができる。
注意しなければならないのは、格安SIMの定額音声通話の場合「プリフィックス」と呼ばれる仕組みを使うタイプが多いため、発信の際、頭に決められた数字を付けてダイヤルする必要があること。
通常はスマートフォンから利用するため、専用の発信アプリを利用することで、自動的に頭に数字を追加してくれるが、従来型携帯電話の場合はそれがない。
そして、あらかじめ格安SIMごとに違う、頭につける数字を調べておく必要がある。たとえば楽天モバイルは頭に付ける番号は「003768」とウェブサイトで公開されているが、公開されていない事業者を利用する場合は事前に確認しておく必要がある。
数字を付けないまま通話した場合、通常の30秒20円といった少々割高な通話料が請求されてしまうので注意が必要だ。
5分間の通話では200円となり、それを月間100回行なえば2万円と膨らんでしまうため、頭に番号を付けることだけは忘れないようにしたい。
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