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最新パーツ性能チェック 第208回

第2世代のCore i7-2600や第6世代のCore i7-6700Kと世代間対決

Core i7-7700K速すぎ!待望のKaby Lake-Sこと第7世代Coreの5モデルを一気テスト

2017年01月04日 02時00分更新

文● 加藤勝明 編集●ジサトライッペイ

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第7世代Coreプロセッサーのリテールパッケージ。デザインに大きな変化はないが、「VR」のシールが貼られているのが特徴。ちなみにCore i3にはVRシールはない。

 2017年1月4日、Intelは第7世代Coreプロセッサー36モデル及び、これに対応するIntel 200シリーズチップセットを正式に発表した。第7世代Coreと言えば、昨年夏にモバイルPC向けのKaby Lake-U及びKaby Lake-Y、すなわち低消費電力設計のモデルを投入済みだが、今回はそれ以外のデスクトップPCあるいは自作PC市場向けの“Kaby Lake-S”、高性能ノートPC向け“Kaby Lake-H”のターンだ。

 本稿では第7世代Coreプロセッサーの中でも、自作erが一番注目しているであろうKaby Lake-Sのベンチマーク結果をご紹介したい。幸いなことに最上位モデルの「Core i7-7700K」や最新のZ270チップセット搭載マザーボードのサンプルを入手することができた。果たしていかほどのパフォーマンスなのか?

左がCore i7-7700K、右が1世代前のCore i7-6700K。形状はほぼ同じように見えるが、ヒートスプレッダーの上下にも突起が設けられ、指で保持しやすいよう改善されている。

同じく裏面。両者は同じLGA1151ソケット用なのでランドの数や切り欠きの位置などは全く同じ。ちなみにキャパシターの向きが1個だけ違うのがわかるだろうか? そのくらい両者の間には違いがない。

現在のインテル製コンシューマー向けCPUは大きく4つのセグメントに分かれている。左のYとUのセグメントはモバイルPC向けの低消費電力CPUで昨年夏に第1弾を投入済み。今回の発表の主軸はIrisを搭載したUシリーズの追加と、高性能ノートPC向けのH、デスクトップPC向けのSのセグメントを埋めるものだ。

Kaby Lake-Sを理解するための5つのポイント

 すでに出回っているKaby Lake-Uと同様に、自作er向けのKaby Lake-Sにも7000番台のモデルナンバーが割り振られている。どのような製品ラインアップ(業界風に言えば“SKU”)があるか、大まかな価格の話は別記事を参照していただくとして、まずは旧世代と比べてどこが変化したかを簡単にまとめてみた。

【1】最上位モデル「Core i7-7700K」は最大4.5GHz動作

 先代の第6世代CoreであるSkylake-Sと今回のKaby Lake-Sとの間には、基本アーキテクチャーはほぼ同じ。モバイルPC版の解説記事でも触れた通り、Kaby LakeはSkylakeの成果を下敷きに、これを最適化するTock+世代の製品となる。

 これはすなわちCPUの基本性能はほぼ横ばいであることを示しているが、今回最上位のCore i7-7700Kは定格4.2GHz、最大4.5GHzという高クロックモデルになっている。さらに言うと、無印7700の動作クロックは定格3.6GHz、最大4.2GHzとK付きに比べてかなりの落差がある。

「CPU-Z」で今回入手したCore i7-7700Kの情報をチェックしたところ。ターボブースト最大時のクロックは4.5GHz。そのぶんTDPは91Wと高めだが、市販の3000円クラスのCPUクーラーでも問題なく冷やせる。

K付きモデルは倍率を変更するオーバークロック(以下、OC)にも対応するが、Kaby Lake-SのAVX命令はOC時にも実行できるよう、オフセット値の設定が可能になった。これは昨年登場したBroadwell-Eから持ち込まれた技術だ。

【2】Core i3にもK付きモデルが登場、最上位モデルは最大4.2GHz動作

 型番末尾に「K」が付くモデルは、倍率のロックがない「オーバークロック可能」なもの。従来Core i5とCore i7の最上位にしか存在しなかったが、今回はCore i3にもK付きモデル「Core i3-7350K」が存在する。かつての「Pentium 20th Anniversary Edition」のように、安価にOCに挑戦できる製品なのだ。

【3】CPU内蔵GPUの強化は継続、4K/HDR対応も

 第7世代Coreも強化のメインターゲットはCPU内蔵GPUだ。Kaby Lake-SのCPU内蔵GPU「Intel HD Graphics 630」ではEU数は従来と同じ24基だが、HDMI2.0aに対応することでリフレッシュレート60Hzでの4K出力に加えてHDRにも対応した。もちろんマザーボード側のHDMIポートや液晶ディスプレー側の対応も必要となる。さらに、4K HEVC 10bit並びにVP9のデコード機能も追加されたことで、オンライン動画の4Kプレミアムコンテンツ、例えばNetflixの4KがPC上で視聴可能となるという。

Netflixのヘルプには、Windows 10でEdgeまたはNetflixアプリが4Kストリーミング再生に対応していると書かれているが下のほうを見るとさりげなく「Intelの第7世代Coreプロセッサー」も必要と書かれている。

「Kaby Lakeならゲームも快適だぜ!」という内容の資料。モバイルPC用のUプロセッサーなら720pで遊べるが、Kaby Lake-SやHでフルHD~4Kでディープに遊びたいならグラフィックボードを使おうと謳っている。720p~1080pの部分にある「Iris Plus Graphics」という見慣れないGPUは、新型NUCなど向けのCPU(Core i7-7657Uなど)に搭載される。

【4】マザーボードはSkylake-S世代と互換性あり

 今回のKaby Lake-Sに合わせ、チップセットもZ270/H270/B250といった新しいものが用意され、各マザーボードメーカーも様々な新製品を用意している。これまでと同様、Z付き(Z270)のみがCPUのオーバークロックに対応する。

 だが、Kaby Lake-Sは設計的にSkylake-Sと互換性がある。そのため、マザーボードのBIOSが新CPUに対応しているなら、手持ちのSkylake世代のPCのCPUだけ載せ替えて使うことも可能だ。逆に新しいZ270マザーにSkylake世代のCPUを載せることもできる。CPUの予算はあるがマザーボードは……とか、逆にCPUは今あるSkylakeで当面我慢しつつも新世代のマザーボードを試すといったアップグレードパスも可能になる。

【5】新チップセットは2本のM.2スロットやOptane SSDに対応

 Intel 200シリーズチップセットの基本機能はほぼIntel 100シリーズを踏襲しているが、最上位のZ270ではチップセット(PCH)から出るPCI Express 3.0レーンが20から24に増加。より豊富なオンボードデバイスを搭載できるようになった。さらに、Intel 200シリーズチップセット搭載マザーボードのメインストリームモデルでは、多くの製品がM.2スロットを2本備える。チップセット側がRAIDに対応していれば、NVMeのM.2 SSDを2本束ねて超爆速ストレージを構築することも可能だ。

 また、Intel 200シリーズのM.2スロットはIntelが投入準備を進めている次世代高速ストレージである“Optane”にも対応する。まだ製品投入は先だが、将来性を重視するなら今あるIntel 100シリーズチップセット搭載マザーボードから、Intel 200シリーズチップセット搭載マザーボードに乗り換えておくのが吉だろう。

Optaneとひとことで言っても、メインメモリーの代替となるものと、SSDの超高速版的なものの2種類あるが、このIntelの資料で言及されているOptane Memoryとは、M.2スロットを使用することから後者のことを指していると思われる。

 ちなみに、SATA Expressを備えたマザーボードはIntel 200シリーズでは非常に少ない。これはIntel自身が搭載を推奨しなくなったため……とのことだ(マザーボードメーカー談)。

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